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続・選ばれなかったファイナリストたちへ(後編)

 
    さぁお待ちかねの後半戦ですよ!
 ・・誰が待ってるんだ? という話ですが😅

 おかしいな、書いてた当初は「よくぞ落選したファイナリストにスポットライトを当ててくれた!」って賞賛の嵐になるはずだったんですが、全然、何の反応もないですね(ないことはないです。スイマセン)。
 
 でも愚痴ってても仕方ないし、第一すげー労力かけて書いちゃったので(笑)

 いきますよ、怒涛の後半戦!✊
 
 
  ・・と、お気づきの方はお気づきかもしれませんが、ここまで、去年のコピペです(笑)
 
 
 

知ってることしか、検索できない。


 【上智大学/上智大学が2024年度に新設する公開講座を受講して、教養を深めたくなるアイデア】
 
   上智大学。いろいろと物議をかもした課題ですね。というのも、この上智大学が新設する公開講座というのがどんな内容のことをやるのかがはっきりしておらず、過去にやっていたものを参考にすればいいのか、どんな感じの講座があるといいかを募っているのか答えればいいのかイマイチわからず、結局はでもなんとなく想像した通りの「教養の重要性」みたいなことをふんわりと答えればよかったのだな、ということがファイナリスト作品で判明しました(笑)
   本作も、もちろん見た時に「おおっ!」となり、その後に、じわじわと悔しい気持ちになりました。というのも、僕も、
 
AIにも答えられないことが、この世にはまだまだある。
 
    というコピーを書いていたからです。
    ただ僕自身もうっすら感じていたのですが、そろそろ審査員が「AI」って言葉に飽きてきているのでは? という気もするのですね。とある、グランプリ経験者とちょっとだけお話しする機会があったのですが、彼が「『AI』って書いときゃ大丈夫だよ。審査員、『AI』大好きだから」と言っていて、そのときに完全に、「あ、もうそろそろAIは古いのかも」と感じました(天邪鬼か、わしゃ)。
    でまぁ、AIっていうワードが原因なのか、そもそも僕のコピーがもっさりしていることが原因なのかわかりませんが、僕の上記のコピーは一次も通らず、しかしほぼ同様のことを謳っている本作がファイナリストとなったのを見て、つくづく、着眼点をどう料理するかでコピーは変わる、と思い知らされました。たしかにこっちの方がキレがよく、すっと入ってきますもんね。
 
    ・・と、書いたところで、実はひとつだけ、はじめに見た時からちょっと感じてる違和感について書いてしまうのですが・・。
 
    このコピー、実は僕、真の意味でちゃんと理解していないんですよ。
「知ってることしか」って、誰が? ってなっちゃうんです。誰が、知ってることしか検索できないの? と。ん? 知ってるんなら検索する必要ないのでは? と思うわけです。
    いや、だから、「人類全体が」ってことなんでしょうけど、人類全体が知っていること(つまり、既知の)しか検索しても出てこないんだよ、という意味だと思うのですが、うーん、ちょっとわかりづらい気が・・しないでも・・ない。
 
検索して出てくるのは、人類がすでに知っている事だけ。
 
    ってことなんでしょうが、たしかにこれでは長い。長いが、それをすっきりさせると本作になるのだろうか? ちょっと端折り過ぎな気もするのだが・・どうなんだろう? じーっと見て、しばらく、ん? どういうことだ? と考えてしまったのですよね。僕の、理解力の低さが原因でしょうか? ましてや、そこから、「だから未知のものを探求することって大事だよ。それが教養の大事さだよ」ってことに繋がっていくのでしょうけど、ちょっと、遠い気も・・しないでも・・ない。
    ごめんなさい、歯がゆくて。
 
 
 

最近、指しか運動してない。


 【ティップネス/”総合型”フィットネスクラブに行きたくなるアイデア】
 
 いいですよねー。こういう、皮肉めいたコピー。僕は好きだな~。前年のサントリーやさしい麦茶の「今日やさしかったの麦茶だけ。」に通じるものがありますよね。
    ティップネスの課題について、やっぱりこう、考え方がふたつあってですね。ひとつはオリエン通りに「“総合型”フィットネスジムに行きたくなる」という部分ですね、こちらにちゃんと向き合って考えていくか、ということがあるわけですよ。その場合は「総合型」のメリットの部分をちゃんとコピーに盛り込まなければならない。トレーニングジムだけじゃないよ、プールもヨガ教室とかもサウナなんかもあるよ、ってことですよね。どっちかという「ゆる」のイメージ。
    でもうひとつは、「総合型」ってワードを思いっきり無視して、体を鍛えるんじゃボケー! 痩せるんだわよーオホホホホー! っていう「がっつり」のコピーですよね。この両方に足を掛けながら考えていくことになると思います。
    本作に関しては、どっちとも取れる感じですよね~。スマホばっかりやってないで、たまには体も動かしましょうよ。っていう。これ、「ゆる」でもあるし、「がっつり」でもありますよね。
    なので、ファイナリスト作品が発表されたときにこの作品がオリエンに沿ってないんじゃないか? という意見が出ましたが(でもよくあることですよね、宣伝会議賞というよりももはやこの業界全体)、僕は沿ってなくはないんじゃないかなぁ? と思っています。逆に、どっちともつかず、違う角度から攻めてきたのがこの作品の秀逸な所ではないか、と。
 
 
 

試着室で試されているのは私でした。


 【ティップネス/”総合型”フィットネスクラブに行きたくなるアイデア】
 
    これもね~。はい、好きです。なんでこういうのが賞を獲らないかな~? もうそういう時代ではなくなってきたってことかな~?(どの時代を知ってるんだよ?)
    これもねー、つまりは「反射」を使ってフィットネスジムを表現しているわけじゃないですか。まぁようはウェストに難があるってことですよね。だから「痩せよう」「運動しよう」と直接言うわけじゃなく、最近、ズボンがきつくないですか~? と、体の「影」から攻めている。しかもそれを、「20代の頃のスーツに拒絶された」みたいな書き方ではなく、「試着室で試されている」っていう表現にしている。この表現も、もちろん大発見なんですよね~。試着室って服を試すところなわけですが、そうではなく、服側に試されている、という。実に気持ちのいい、鮮やかなコピーだな、と思いました。
・・なんでこういうのが賞獲らないのかな?
 
 

 音声広告 『お見合い』篇

SE「カッコン・・(ししおどしの音)」
女「あの、このお見合い写真ですが、どうして2枚あるんですか?」
男「ビフォーアフターを見てもらいたくて」
 
NA「総合型フィットネスクラブ、ティップネス」

 
【ティップネス/”総合型”フィットネスクラブに行きたくなるアイデア】
 
 この批評シリーズで初の音声広告ですね。
 TOPPANエッジは強制的に動画広告となるわけですが、いわゆる正規の音声広告としてはこの作品を含めて3作がファイナリストとして残ったわけですね。でまぁ、その中のどれかがゴールドになるだろう、と予想されていたわけですが・・。
 こんなことを書くと角が立つのは重々承知ですが、僕は正直この作品がゴールドなんじゃないか、と予想しておりまして。というのも、内容が、わかりやすい(笑)。キレがありますよね。実質、セリフ2行で終わるわけじゃないですか。前年のグランプリに匹敵する短さです。
 こう、音声広告の暗黙の了解としてねー、やっぱり笑えないといけない気がするんですよね。ユーモアがないといけない。そういう点では、ファイナリスト音声広告の3作品のなかではこれがい一番ユーモアに富んでいた気がするんですよねー。
 うーん、なんだろ? ナレーション部分で、「違いを見せたくなる」的な文言が必要だったのかなー?
 ・・僕が悩んでも仕方ないんですけどね(笑)
 
 

こんなことなら、同じ苗字の人と結婚すればよかった。


【TOPPANエッジ ”AIRPOST”を検索したくなる、「動画広告内でキャラクターが言うセリフ」のアイデア】
 
 TOPPANエッジの課題は、動画にアテレコみたいな、登場人物のセリフを考える、というものでしたね。もちろん丸々一本動画広告を作ってもいいが、セリフだけでもいい。だから、若干フツーのコピーとなにが違うんだ? みたいなものになってしまいますね。
 5人の登場人物の中から、誰に言わすセリフかを選べるんですが、これは、女性のキャラクターなのかな? パッと見ただけではさっぱりわからない。そういう配慮も、全然やってくんない。さすが宣伝会議賞。
 でまぁ、このコピー(動画?)なのですが、パッと見て思ったのは、「うわ、そんなフツーのことでよかったのか!」と。結婚して苗字が変わる。そうすると名義変更の手続きをしないといけない。同じ苗字の人だったらこんな苦労せずに済んだのに・・、という実にシンプルな内容ですよね。もちろんそのあとに、「そんなあなたのために、手続きを簡単にしてくれるAIRPOST!」と続くわけなのですが。
 そうか、でも、こんなシンプルでよかったんだ・・と思いました。
 ちゅうか、だから、これはもうコピーの発想ですよね。コピーで、よかったんですよ。つまり、何が言いたいかというと、短く、キレよくまとまっていないといけない。
 僕ももちろん、結婚で苗字が変わって手続きが面倒くさい、みたいなことを書いたのですが、
 
中田から田中に変わっただけだけど、名義変更いる? いるわよね・・。
 
というものでした。「こんなことなら、中田じゃなくて田中と結婚すればよかった」にしておけばファイナリストだったでしょうか?(笑)
ついでにもうちょっと紹介すると、結局、「結婚」はみんな考えるけど逆の「離婚」はあんまり考えないだろうなーと思い、
 
あー、この人と別れたい。でもまた名義変更の手続き、めんどいしなー。
 
父ちゃんと母ちゃんが離婚したとき、なんで母ちゃんに着いてく、なんて言っちゃったんだ・・。
 
 ってのも書きました。
 あと、結婚して名前が変わる、を意識して書いたんでしょう。読み返してみるとそんな要素がないことに、「あれ?」となりましたが、
 
 「おおばかなこ」って何回も書かされるうちに、なんかそんな気持ちになってきたわ・・。
 
 ってのも書きました。
 要はねー、動画ってなんか面白くなくちゃいけない、笑わせなくちゃいけない、という悪しき伝統、あるじゃないですか。あれに、引っ張られたんですよね、きっと。
 シンプルでよかったんだな。シンプルで・・。
 
 

弁護士呼ぶぞ、と言う人も、
たいがい事務所を知りません。


 【平松剛法律事務所/平松剛法律事務所にいざという時相談したくなるキャッチフレーズのアイデア】
 
 平松剛法律事務所。何回思い出そうとしても、西松剛になっちゃうんですよね。しかも相変わらず、「つよし」と読んじゃうし(本当は「ごう」)。
 今回のファイナリスト作品は、新しく協賛企業になったところからたくさん出ていますよね。たまたまなのか、何らかの忖度なのか。いやまぁ、当然新しいところの方が新鮮味がある、ということなんでしょう(商工中金やイー・スピリットからはもう出にくいよね)
 ほんでまぁ、この新規参入の協賛企業のファイナリスト作品ですが、これも言い方悪いですけど「普通」。いや、言ってることが、ってことですよ。
 たとえばこー、日常での法律上のトラブルはこんなのがある、とか、平松剛法律事務所のことを調べて、過払い金問題に強いとかB型肝炎給付金に力を入れているとかを書くんですが、フタを開けてみると、なんだ、そんなことでよかったのか・・ってなる、という。コピーの本とかで読んだ、深掘りとか切り口の話って、宣伝会議賞では一切出てこない気がするんですよね。逆に、審査員、ちゃんと調べてる? と疑いたくなります。
 でもまぁ、「いざという時相談したくなる」というオリエンには沿っているのかなぁ? という気もしますね。「弁護士呼ぶぞ」といきまく人も、実は事務所を知らずに言ってるわけですから、知っといた方がいいよ、ってことですもんね。なるほど。
僕もなんか、そういう感じのもの書いてなかったかなぁ? と見返してみたら、
 
かかりつけの法律事務所って、お持ちですか?
 
 ってのが唯一近いかなぁ、という感じで(それでも大分遠いけど)。
 
 
・・ごめんなさい。ちょっと、一点、いや二点だけ気になることがあって。やっぱり、この機会を逃すとあと言うチャンスないので。
 このコピーで疑問に思うところがあって、「弁護士呼ぶぞ」って人って、いる? と思うんですよね。「警察呼ぶ」ならわかるんですよ。弁護士って・・呼ぶって言うかな? あとは捕まった時とかね、「弁護士呼んでくれ」ならわかるんですよ。でも、弁護士呼ぶぞ、っていうシチュエーションって、人生にあるのだろうか? と、僕、そこが気になっちゃうわけです。
 あと、「たいがい」かぁ・・っていう。なんか、話し言葉みたいじゃないですか? 「大抵」じゃないかなぁ? と思うんですよね。でも「大抵、事務所を知りません」では、ちょっと語感が普通な気もするし。たいがい、の方が新しいというか、身近な感じがするってことなのかなぁ? でもちょっと、そこ、気になりました(笑)
 
 

投資はじめた。退屈なニュースが無くなった。


 【松井証券/「投資をまじめに、おもしろく。」というスローガンを踏まえ、松井証券で新NISAをはじめてみたくなるような広告アイデア】
 
   最後ですね。
   課題は、新NISAをはじめてみたくなるようなアイデア、ということですが・・。
    結局これも課題への向き合い方が何パターンかに分かれて、真面目に「新NISA」と向き合うもの、ちょっと離れて「NISA」と向き合うもの。そしてさらに離れて「投資」全体と向き合うもの、という具合に分かれていて、それぞれで書き方も変わってくる。
    当然、手慣れた方々はそのどの切り口でも書いていくのだけど、本当にまじめな方は、新NISAのみに引っ張られてしまうだろう。オリエンで「まじめに」っつってんのに、そのまじめを否定してくる、とんでもない課題である。
 
    でまぁ結局ファイナリスト作品も新NISAそのものではなく、「投資」という部分から切り取ったものが選ばれたわけですが・・。
初めて見たときの感想は、「あー、そういうことだったのかー」ですよねー。結局こう、投資をすることにより儲かるよ、とか、損するよ、みたいなことを謳いたくなるんですが、投資を始めて人生が豊かになる。それも経済的にではなく、心が豊かになる、ということを謳うべきだったんだなー。
    結局ねー。この世で起きるあらゆることが、経済に結びついているわけじゃないですか、経済って人間が生きていく、その活動の内容そのものなんですから。戦争、天災、厄災、芸能、スポーツ、可愛い動物の赤ちゃんが生まれたって話ですから、そこに経済活動が関わるわけですよね。だから、この世のニュースはすべて経済と繋がっているわけです。
    うーん、で、そのことに気づいたとしても、僕はそう、書いちゃうんですよね「すべてのニュースは経済と繋がっている」と。
    そこをひとひねり加えたところが、秀逸だなぁ、と思います。
    だから、うーん。
    ひねるってそういうことなんだよね。
    ついつい、ひねった中身を考えたくなっちゃんですよ。
 
これまでの収益額は、税込み表示でした。
 
   とかわたしゃ書いてるんですけど、そういうこっちゃないんだ、と。内容はフツーでいいから、外見をもうちょっとひねりなさいよ、ということなんだなぁ・・。
 
 
 


 そういうわけでいかがだったでしょう?
 選ばれなかったファイナリストの皆様、ちょっとは溜飲、下がりましたでしょうか?
 僕が未熟ゆえ、もしかしたら作品の意図が上手く理解できておらず、余計にモヤモヤすることになったかもしれませんが。
 
 今後も、出来ることならこのシリーズ、続けていきたいものです(大変ですが)。
 タイトルも、「続々」、「新」、「真」、「シン」、「帰ってきた」、「The FINAL」くらいまでは考えているのであと6年は続くものと思われます。
 でも出来ることなら早くやめれるように、僕も頑張ります。
 え? どうやったらやめれるかって? もちろん、何かの賞を取るわけですよ、宣伝会議の。そしたら、選ばれなかったファイナリストについて論じるの、厭味になるわけじゃないですか(笑)
 

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