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なつのケ/自選短歌二十首(2020.7-8)

白米に梅干しを混ぜ唾をのむ ひとりランチに雨は降りつつ

晴れるなら晴れるとはっきり言ってくれ また生乾きを抱えて生きる

布マスク・ファンデ問題顕在化、二〇二〇年。テストに出ます

火傷しそうに熱いわたしのPCがじわじわ動かなくなる やめて

静寂の中でスマホが「ニィ」と鳴きかろうじて世とつながるを知る


夏が来る アイスクリームの本数を決めてくれる人がまだいません

「解像度、電光掲示板くらい」「じゃあ最近は精度がいいね」

フラペチーノ飲みたいなって足止めて結局パピコを買って帰った

きれいだな、って近づいてみた噴水は塩素の匂いでなんか泣きそう

雲を食むキリンが二頭おりましたそれを眺める人がいました


保育園より持ち帰りたる笹で知る今日は七夕 カレーできてる

苦いかな、とひかえめに皿に盛るゴーヤ 子は躊躇なくこりこり食へり

水しぶきあげてる吾子が水しぶきみたいに笑う夏、夏、ここに

目覚めると一本の川になっていた 寝はじめたときは三本だった

白糸を竹筒に放つ そうめんは流れるものだと子が知った夏


縫うようにとんぼの群れをよけながら自転車をこぐマイナの私

こころここにはいないようだこころどこだろうかここらでここにいでぬか

夏の朝がらんどうの道ただひとり拍子木鳴らす男ありけり

ねむたいなとおもってねむたいなというと「mta」のあたりでとくにねむたい

「とんぼさん、ひとりだねえ」と子が空をながめて言ひし夏がもうゆく


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