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ここにいるよって言ってみる

昨夜、ふと思いついてこんな記事を書いた。

わたしはいま福岡に住んでいるのだが、実はこれまで福岡についての記事をnoteで書いたことはない。むしろ、どこに住んでいるか特定できないように「地方都市」という書き方をしたりして、意識的にぼやっとさせていた。

だけど最近、いろんなことがあって、いろんなことがどうでもよくなってきた。ああ、はしょりすぎたのでもう少しだけ補足すると、娘の病気にまつわるいろいろなことがあって、手術の予定や療育の検討なんかもあって、健康で元気であること自体が何より奇跡だなぁと思い、それさえあればあとはもうどうでもいいなぁ、という心持ちが強まったのだと思う。

だから自分自身の体裁や世間体なんてものに割く意識も、以前と比べて著しく低下した。住む場所を特定しないように書いたほうがいいかなぁ、なんてのも、あのひとやあのひとには絶対にこのアカウントを発見しないでそっとしておいてほしい、みたいな思いがきっと潜在的にあったのだと思うが、もはやそれすらどうでもよくなってきたのだ。暑さにやられているのもあるかもしれない。

* * *

そんな折、たまたま素敵な木のおもちゃ屋さんを訪れるという偶然があり。

帰ってから検索をしたら、かなり昔の小さなブログ紹介記事は見つかったものの、公式ページは更新の途絶えたFacebookページしかなさそうだった。

昔のブログ紹介記事も、文章の紹介内容は情報として参考になる内容だったけれど、写真のサイズは小さく、画質もこだわったものではなさそうだった(アップしてくださった方ごめんなさい)。

それを見て、大変おこがましいのは承知のうえで、あの空間についてはもう少しだけ、写真と文章でその魅力を伝えられるんじゃないか、なんて思ってしまったのだ。

そして自分が書くなら、エッセイ風のものがいいな。その場のすべてのできごとを実録するというよりは、そこで感じとった雰囲気や、浮かんだ考えなんかを交えながら。写真も大きくたくさん入れよう。単なる情報としての紹介ではなくて、読んだ方が少しその場の空気を吸った気持ちになれるような、追体験ができるようなもの。

そんな思いでつづらせてもらったのが、昨夜のnoteである。

* * *

初めて、福岡のことをさらっとnoteで書いてみて、ああ、なんか自分の中で何かがひとつ抜けたな、と思った。窮屈に押し込めていたものが、スポンと抜けた感じ。

これからは、福岡のこともときどき、書いてみようかしら。そんな気分になった。

もうすでに福岡の観光情報は紙でもWebでも充実しているので、そういうところをめざしてはいない。ただ今回みたいに、本当に心が動いたとき、それを紹介できる「場」がここにあるのは嬉しいなぁ、と思えた。

* * *

実はわたしにとって福岡は、いろいろある土地を比較して「ここに移り住みたい!」という理由で選んだ土地ではない。

夫になるひとがたまたま福岡で友人たちと会社をやっていたので、結婚を機にわたしが引っ越してきただけだ。もともと旅は好きなので、「どこかへ場所を移す」ことへの抵抗はものすごく低かった。いいんじゃない?知らない場所だしおもしろいんじゃない?そのくらいの感覚だ。

だから「福岡の人や街にひかれて、移住してきました!」みたいなキラキラしたモチベーションがない。ただ、流れで生活拠点が移った、それだけの話だ。

むしろ今は福岡といっても都市部に住んでいるので、生活環境すらも個人的には全然、しっくりきていない。自分ひとりで住環境を選ぶなら、もっと緑豊かで、海にも気軽に行けて、道が広くて、空気がきれいで、できれば近くに図書館があるようなところを選びたい。毎日そう思いながら数年が過ぎてしまった。

つまり、数年を経てもなお、しっくりきていないし、なじんでもいない。

なーんか、ずーっと、よそものだなぁ。そんなふうにも思っている。

一方では、もっと仲良くなりたい、とももちろん思っているのだ。人と、街と、もっと仲良くなりたい。できるなら、もっと好きにもなりたい。

* * *

そんなふうだから、noteはまた、わたしにいい機会をくれるのかもなぁ、なんて思っている。

福岡で心が動いたひとやお店やイベントなんかに出会ったとき、それを写真やエッセイ調の文章で伝える、ということができるなら、わたしの場合はそれ自体が大きなモチベーションになる。楽しいものやおもしろいものに出会おうとする気持ちになる。

『福岡で心を動かされたヒトモノコト帳』。そんな感じでマガジンにまとめていこうかな。

いまのところはそれ自体を目的にがんがん取材に行く、というよりは、偶然「あ、これはいいなぁ!!」というものに出会えたときにだけ、ゆるく書いていこうかなと思っている。有名なところも、無名なところも。私なりのトーンの写真と文章で、記していけたら。

今のわたしにとって大切なのは、それができる「場」があるということだ。

心地の良い場所、おいしいもの。せっかくなんだから、この地に来たからこそ出会えたものたちを、ぽつりぽつりとためてゆこう。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。