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ただ、ぶりを買いたいだけなのに

スーパーの鮮魚コーナーで、今日は何がお得かしらねと売り場を見回す。

ええと。かれいはこの前煮付けたし、鱈のバタぽん焼きとか、キノコとあわせたホイル蒸しなんかはわりと定番だ。お、ぶりもいいね。身が厚くておいしそう。うーん。でもちょっとお値段が張るなあ。もうひと声。

そんなことを考えながら「養殖ぶり2切れパック」から横に目をうつすと、「天然ぶりぶり大根用」と印字された値段シールのパックが目に入った。

おお、久しぶりに見たぞこれ。この表示、見るたびに「ぶりぶり大根」とひとつづきに読んじゃって、胸の内でくすりとする。いやあね、「天然ぶり」の「ぶり大根用」だって、わかってるけどさ。

……ぶり大根、ありだな。

最近わが家でぶりといえば照り焼きか竜田揚げだったし、なんだか数日前からぐんと冷えて芯まで寒いし、味のしみ込んだ厚切り大根を、はふはふと言いながら囲むのもよいだろう。

よし、決まり。今夜はぶり大根。

心を決めて「天然ぶりぶり大根用」をふたたびちゃんと見ると、500円ほど。うーんと思ってふたたび横に目を戻すと「養殖ぶり2切れ」が400円強。2切れでこれは、やっぱり、うーん。

こういうときはあれだ。

いや、あらだ。

目線を棚の上段へやると、あったあった、「ぶり身あら」197円! よし、こっちだな。

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どうでもいいことをすごくしんけんに書いています。

<※2020年7月末で廃刊予定です。月末までは更新継続中!>熱くも冷たくもない常温の日常エッセイを書いています。気持ちが疲れているときにも…

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