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むすめの入院日記(1)

今回はほんとうに、ただの日記だ。しかも長い。

ただ、小さい子を育児中の家庭であれば、どこの家庭でも「突然こんな1日が訪れるかもしれない」1日の記録なので、ひっそりとnoteに置いておこうと思う。こどもの続く発熱には、要注意。

だらだら長い日記だけれど、「自分の友だちの家の話」くらいの感覚で、だらだらお付き合いいただけたら。いつか同じようなことが起きた日に、ほんのすこしだけ、落ち着いて行動できるかもしれない。

なんて偉そうなこと言ってますが、とりあえず、自分の備忘録に。

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■6/16(土)

もっと早起きするはずが、皆そろって8時ごろまで寝てしまう。

外は晴れてる。いい天気。

娘は、火曜日に発熱して、その後も39度超えの熱が続いている。毎日かかりつけ医で診察も受けているが、昨日の受診で「明日も診せて」と言われたので今日も行かなくちゃいけない。はぁ。

ずっと心配つづきなのと、採血やレントゲンでも原因がよくわからないのと、通院が遠いのとで、今週は夫婦ともずっと疲れている。私は発熱、夫も咳。

昨夜も娘は、立て続けに咳込んで起きてしまうこともあり、高熱で不機嫌でなかなか寝苦しそうだった。明け方になって少し眠ってくれたので、そのまま朝まで、皆そろって寝てしまった次第。

寝坊したせいで、8時からスタートするかかりつけ医(超人気)のネット予約のスタートダッシュに間に合わず、順番が遅くなる。今日は昼の飛行機で夫が出張へ行ってしまうから、早めの順番をとって、病院まで送ってもらう予定だったのだが。どうするかなぁ。

おととい38.7度まで熱を出した自分も、とても本調子とはいかず。

とりあえず皆にごはんを食べさせなければ、と重たいからだで支度する。合間に洗濯を干す。娘が夜中に少し吐いたりしていたので、3人分のシーツも洗濯機にかける。天気がよくてよかった。

ようやくなんとか家事を終えて、自分もごはんを食べようとするが食欲がまったくない。というか、体調が悪いなか一気にいろいろ動き過ぎたのか、突然気持ちがわるくなって、横になる。夫に頼んで、洗濯が終わったシーツをベランダに干してもらう。

診察の時間が迫るため、夫に、娘を連れて先に病院へ行ってもらうことにする。わたしは少しだけ横になってからバスで追いかける、と。

夫が予定通りの飛行機にのるには、何時までに病院を出れば間に合うのかを確認し、出発してもらう。

わたしは30分ほど横になり、体力を回復させる。充電器につないだスマホみたいだ、と思う。残りパーセンテージを、10%でも回復させておかないと、今日がもたない。

午後は家に帰ってきて、ひとりで娘のお世話だしなぁ。

なんて、このときは思っていた。

* * *

なんとか15%ほど自分の体力を回復させて、バスと電車を乗り継いで病院へ。バスが遅れたため、夫が出なければいけないギリギリの時間になってしまい焦る。乗り換えは走った。

やっとの思いで病院へつく。

待合室では、ちょうど診察を終えたばかりの夫が娘を抱っこしていた。「どうだった?」と聞く。

返ってきた答えは予想外のものだった。

熱が続いているのと、発疹が広がってきているのと、これこれこういう点が気になるということで、とりあえずいまから入院になりそう。いま、こども病院の方で今日受け入れ可能か聞いてくれてるところ」

自分がなんて答えたかはよく覚えていない。

もうずっと通院していたから、驚きとともに、ああ、とうとう入院になってしまったのか、という感じだったかもしれない。でもよりによって今日。夫が出張へ行ってしまうこのタイミングで。

「ごめん、もう行かないと」

そう言い残して夫は出発。うん、ありがとう。ぎりぎりまでよくお世話してくれた。もうあとは自分がなんとかするしかない。

娘を抱っこ紐に入れて、紹介状を受け取り、タクシーを呼ぶ。

そのまま、病院からこども病院へ直行した。道のり、車で20分ほど。

* * *

昼ごろ到着。

土曜日のため、時間外入り口から中へ入る。

到着早々、簡単な診察をして、娘は検査へ。保護者は外でお待ちくださいとのこと。娘の泣き叫ぶ声を聞きながら、ひたすら廊下で待つ。

検査は何種類もあるらしく、時間がはてしなく長く感じる。売店でカロリーメイトを買って、自分にエネルギーを補給する。ちょっとでも食べておかないと。いま私が倒れるわけにはいかないだろう、どう考えても。

友人から「誕生日おめでとう!」とメッセージが来る。ああ、そういえばわたし今日、誕生日だったのか。なんだか遠くの話。

ようやく娘が出てきたと思ったら、すでに点滴につながれていて、抜けないように左腕はガチガチに固定されていた。指先ほんのちょっと、だけしか見えない。健康と安全のために「必要」な処置だとわかっているけど、やっぱり、切ない。

そこからレントゲンへ。普段は上半身裸でレントゲン撮影をしていた記憶があるが、今回は点滴をつないだままなので、洋服を片腕に移動して、と言われた。

そして、普段は台に横になって撮影していたが、今回はゆるやかすぎるイスのようなところに頭、腕、足、といろいろなテープでくくりつけられて、横から撮影。

自由を奪われるのと恐怖とで娘は怒り泣きまくる。「だいじょうぶよー、だいじょうぶだいじょうぶ。痛くないよー」と、なるべく明るい声で声をかける。むしろ自分に言い聞かせてる。

* * *

「お利口さんやったねぇ」「がんばったねぇ」と看護師さんたちに褒めてもらいながら、ようやく病室へ移動。15時ごろ。

売店で買ったベビーフードの離乳食、月齢が少し低めのものしか置いていなかったが、仕方がないのでそれをあげる。相当おなかは空いていたようで、これはぺろりと完食。

お昼寝もしていなかったのと、検査で泣きつづけ叫びつづけていた疲れとで、ベッドに置いたら珍しくそのまま寝た。

合間に入れ替わり立ち替わり先生や看護師さんが来たりして、挨拶。診断もこのときにはだいたいわかっていて、病気について説明をしてもらう。治療の方針もなんとなく聞く。あとでまた説明しますので、と言われる。

しばらくして看護師さんがやってきて、これからまた検査だという。こんどは心臓エコーと心電図。あばれると正確な検査ができないから、眠り薬を飲んでしっかり眠ってもらって検査をするのだそうだ。

お昼寝しかけていた娘だが、やはり検査するには眠りの深さが足りないとのこと。起こされて、ふたたびの採血と眠り薬を飲むために連れて行かれる。16時ごろ。

帰ってきて、抱っこしてしばらくしたら、また眠った。

* * *

入院のための着替えやら何やらをとりに家に帰りたいが、遠方なのでまとまった時間が必要だ。いまはまだ待っててくださいとのことなので、眠る娘の横でひたすら待つ。

17時ごろ、心臓のエコーチェック。

先生方がエコーの画像を見ているのをぼんやりと見つめる。自分も昼の薬を持ってきていなかったので、朝飲んだ薬が切れてきて、しんどくなってくる。ソファに深く座って頭をあずけながら、検査が終わるのを待つ。

これが終わったらいったん家に荷物をとりに帰れるだろうか。重たいあたまでそんなことを思っていたら、どうやらその先生方は機械の操作が一部わからないらしく、「もう20分くらいしたら別の先生がくるので、念のためもう一度検査してもらいますので、お待ちください」とのこと。

おう、帰れない……。ひたすら待つ。

知らない番号から電話がかかってくる。出ると、注文していたネットスーパーの宅配のひとだった。ああ。完全に忘れていた。キャンセル料支払わなきゃだ……。普段のわたしならかなり落ち込んだだろうが、そのときのわたしにはもうそれどうでもいい……という感じ。

目下の課題は、必要物をとりにいつ家に帰れるかだ。しんどいので、自分の風邪薬もとりにいきたい。ああ、洗濯物出しっぱなし。今日に限って、シーツなんて大物まで3枚干してきた。でも戻れないので、ひたすら待つ。

なんだかひとりで抱えきれなくて、眠る娘の横でこんなつぶやきを投稿していたら、先生が来た。再度の心臓エコー。そして心電図検査。

いまのところ、一番心配している事態にはなっておらず、問題なしとのことで少しほっとする。病気についてと、これから行う治療についての説明。使用する薬についてのリスク説明を受け、同意書にサインをする。

* * *

疲労困憊のところに眠り薬も入ったので、娘はぐっすりの上のさらにぐっすり眠っていた。

荷物をとりにいく件を看護師さんに相談する。今夜は治療が開始されるので、できれば部屋に待機しておいてほしいとのこと。近くにスーパーがあるので、そこで必要なものを買って、明日の日中に家に戻っては、と提案してくれる。そうするしかなさそうだ。

19時ごろ、点滴経由で治療が開始される。

副作用で反応が出る場合もあるため、15分間は看護師さんがそのまま病室に待機。その間に夫、夫の両親、自分の実家と関係各所に連絡する。

明日の日中に、夫の両親が近隣の県からヘルプに来てくれることになり、救われる。

娘用の夕食が運ばれてくるも、娘まったく起きず。くすぐってもなにしても起きない。看護師さんにも相談し、しかたがないので娘用の食事を私が食べ、娘の夕飯はあとで外で買うことにする。看護師さんがまだ待機するなか、ごはんをもぐもぐ食べる。シュール。

携帯の電池残量が残りわずか。病院内の売店で充電するも、30分200円で、10%くらいしか増えなかった。電池は大切に。

21時前ごろ、看護師さんに不在を伝えて、近くのスーパーへ夜道を歩いていく。オムツ、ティッシュ、自分の食料、娘のベビーフードやおやつ、飲み物、歯ブラシ、タオルやバスタオルなどを購入。24時間営業で助かった。

自分もふらふらの中、重たい荷物を手に、気力だけで病院へ歩く。

* * *

22時ごろになっても、娘は起きる気配がない。

少しでもごはんを食べさせたいのと、夜のうちに飲ませなければいけない薬があるので、いろいろ手を尽くしてなんとか起こす。薬の余韻でぼーっとしていて、ふらふらした感じ。

とりあえず、薬をゼリーに混ぜて食べさせる。甘いのでゼリーは完食。ごはんも食べさせるが、昼には勢いよく食べたベビーフード、半分も食べず。

咳もつづくので吸入するよう看護師さんに言われるが、嫌がって暴れてできず。寝ている間にやることにする。

自分自身ものどは痛いし、夜になって朝からのいろんな疲れがドドドッと押し寄せてきているのを感じながら、気力だけで娘のお世話。

娘の歯を磨いて、ベッドに横にならせる。いつもならおとなしく横になっていることなんてまずないのに、さすがに体がきついのだろう、そのままぼーっという感じで横になっている。

ふとスマホを見ると、noteで知り合った方からtwitter経由でDMが。あたたかいことばがしん、と心にしみて。ずっと、ひとりでピンと張り詰めていた強がりだらけの気持ちにじわっと染み込んで、泣きそうになる(本当にありがとう)。

部屋の明かりを落として、わたしも付き添い用の簡易ベッドに横になった。

横になりながら、今日一日に起きた出来事が頭のなかをぐるぐると回る。

ああ、洗濯物…。しかもシーツ3枚干しっぱなしとか、不在宣言をしてるようなもんじゃないか。空き巣に入られてもおかしくないなぁ……。ああ、今日、誕生日かぁ。何才だ、私?

なんだかいろんなことを思いながら、目を閉じる。

2時間ごとに看護師さんの巡回。ぐるぐる寝返って、点滴やらモニターの線やらが体にこれでもかとからまっているのを直していってくれる。

それ以外も点滴のアラームや、心臓モニターのアラームやらでなかなか眠れず。落ち着かないまま、固いベッドで夜が過ぎるのを待った。

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※初日の分だけはどうしてもボリューミーになってしまいました。ここまでただただ時系列に記録しただけの日記更新は初めてですが、少なくとも自分のためにはなっているようです。以降は数日分を簡単にまとめて、更新するかもしれません。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。