プログラマ夫と算数嫌いの妻が__プログラミングについて話してみたらのコピー-2

プログラマ夫と算数嫌いの妻が、プログラミングについて話してみたら【序章】

ここしばらく、夫と私はまじめにケンカをしてきた。

夫「……っていうのはまず、二進法8桁であらわせる最大の数っていうのが」

私「や、ちょっと待ってよ。どっから来たよそれ、二進数?!」

これは無数の闘いのほんの一片に過ぎないけれど、こんなふうに彼にとっての「前提」となっている要素に、いちいち“ど文系で算数嫌い”のわたしがつっかかって、かみくだいた説明をもとめてゆくという過程は、思っていた以上に骨が折れた。

これを男女脳の違いというべきなのか、理系脳と文系脳の違いというべきなのか、プログラマ脳とライター脳の違いというべきなのか。

そのどれもが複雑にからみあっているとは思うのだけれど、いかんせん、夫とわたしの違いはすごかった。

「せっかく夫がプログラマで私がライターもどきなんだから、自分みたいな“ど文系の算数嫌い”でもプログラミングの初歩の初歩を楽しくかじれるような、夫婦対談形式の読みものが書きたい」

そう思って取り組みはじめたこの企画(くわしくは10月に書いたこちらのnote)。実際やってみてよかったと思うし、「なるほど!」とモヤが晴れるようなおもしろい話がたくさん聞けて、「これは両者の溝を埋める意義のある企画だよ!」と自画自賛したんだけれども。いかんせん、まとめるのがものすごく大変だった。

そりゃそうだ。自分の苦手意識のある分野について記事にまとめるなんて、敵陣に裸で突っ込んでいって、やばい!わたし戦うどころかそもそも服着てないし装備ゼロじゃん、どうしよう?!と慌てているようなものである。

相手から話は聞けるけれど、結局それを最終的に、わかりやすくまとめるのは他ならぬ自分なのだから。まずは自分が逃げ出したくなるようなその内容を理解することなくして、ひとさまに伝えることなんてできないのだ。

“いったいなぜわたしはこんな企画を、自ら好き好んではじめてしまったのか……”。

なんどもそんな思いが頭をよぎり、正解の見えない原稿を編集しながら気の遠くなる日々だったが、なんとか第一部をまとめることができつつあるので、おそるおそる公開していこうと思う(第一部は思考編、第二部はまだ企画段階だけれど、実践編となる予定)。

* * *

今回は仕事ばりの時間とやる気をかけて原稿に臨んだので、当初は「読み切りの有料マガジン」という形式をとろう……かと思っていたのだが、うんうん悩んだあげく、すべて無料公開することにした。

理由は、やっぱり多くのひとに読んでほしいから。とくに今回は、「お金出すほどの興味はないんだよね」って方こそが主な想定読者でもあるからだ。

その代わりこのシリーズに関しては、サポートのおねだりの一文を、恥ずかしげもなく毎回入れてみることにした。

これはわたしの実験的挑戦でもある。日頃書いている雑多なエッセイはともかく、昨年行った作家・浅生鴨さんのインタビューや、今回のプログラミング連載のように「何かのプロ/専門家の話す内容をぽこねん視点でかみくだいたコンテンツ」に、果たしてひとさまが価値を感じてくださるかどうかの。自分の存在価値がそこにあるのか、または無価値なのか、の実験。

もしもそこに価値を感じてくださる方が一定数いるというなら、いただいたサポートを交通費にして、これからもっといろんな方々に取材しにいき、ぽこねんフィルターをとおしたインタビュー記事をお届けしていきたいなあ、なんて思ったりもしている。例えば、名前を聞いただけではいまいち何をやっているかわからないような職業のひととか。いろいろ。

なのでもし、読んでよかった、おもしろかったと思ってくださる方がいたならば、コーヒーでもおごってやるかみたいな感覚で、ぜひサポートしていただけると嬉しいです。筆者ぽこねんがまた、受注の仕事を削ってでも自発のコンテンツをつくろうという励みになります。とても、なりますので。

もちろん、つまらなければお代は要りません。そこはフェアに判断していただいたほうがうれしいです。Please pay as you wish!!

だからドキドキしています。この丸裸で立ち向かう読みものが、果たしてみなさんにどんなふうに読んでもらえるのか。なんていうか、魚市場で自分を競りにかけられてる気分。ひえ……。

* * *

それでは、ちょこっと内容に触れておきます。

■ 本シリーズは、こんな方に向けて書いたものです。

(7割くらい当てはまった方は、かぎりなく「ぽこねんに近いひと」です。必ず読んで、感想をください。笑)

夫婦の日常的な会話を聞いたり、読んだりするのが好き
ダラダラした会話にも魅力を感じるほうだ
算数、数学と聞いただけで「あ、自分の聞く話じゃないな」と思う
・「二進法で……」とか当然のように言われると、「あーもう聞くのやめようかな」と思う
・幼い子を育児中である
・「プログラミング」って重要らしいとは感じているけど、自分で「学ぼう!」というほどのモチベーションはない
・「プログラミング教育」が小学校で必修化するときいて、よくわからず漠然と不安
・「プログラミング的思考」と聞いてもピンと来ない
・プログラミングが、夫婦喧嘩を減らしたり、育児中のパパメンタルの強さにつながると聞くと興味がわく
・プログラミングが、ラーメンズのネタにつながると聞くと興味がわく
ことば遊びが好きだ
・計算より、日本語を読んだり書いたりするほうが圧倒的に好きだ
・「プログラミング」にはあまり興味がないけど、ぽこねんの書くものに興味がある
・自分は「プログラミング」になんて縁がないと思っていたけど、もし楽しくそれを変えられるのなら、ちょっと知りたい

大切なことなのでもう一度だけ。本シリーズは、上記のような「わたしのようなひと」に向けて書いたものです。

つまり、ど文系の算数嫌いで、「プログラミングって聞いたことはあるけど、なんか取っ付きにくい。敵陣な気がするし、縁遠い。でも、誰かがとっつきやすく雑談ベースで、お茶でも飲みながら、やさしく教えてくれたらいいのになあ」って方へ向けた、気楽な読みものです。

とくに第一部となる今回は、すぐに使える知識が身につくようなものではありません(第二部では、実際に手を動かして何かを作ってみる予定です……で、できるのか?)。

どうかそこんところご理解のうえ、ご笑覧ください!

■ 【注】こんな方には、おすすめしません。

・プログラミングについて学ぼうという意欲がすでに高く、独学できる
・読みものを楽しむより、てっとりばやく効率的に知識を学びたい

※上記のような「苦手意識のない方」「すでにやる気のある方」「効率的に知識を得たい方」は、プログラミング初心者向けの良書が世の中にたくさん出ていますので、そちらをググって購入されることをおすすめします。このエッセイは、あくまでだらだらした夫婦の雑談です。

* * *

■ 目次

(※連載全5回を予定。見出し・構成は変更となる可能性があります)

【1】そもそもプログラムってなんなのさ
・「プログラミング」ってそもそも何?
・なんで最近、プログラミングが注目されているの?
・プログラミング教育の必修化って、実際どんな感じなのだろう?
・プログラミングが必修化されたら、社会はどう変わる?

【2】お笑いと育児とプログラミング

・「プログラミング的思考」ってなんなのさ
・「牛乳を買ってきて。卵があったら、6つお願いします」
・プログラマは、怒りにくい?
・育児における「パパメンタル」の強さもプログラミングのおかげ?
・ラーメンズのあのネタは、プログラミングのデバッグ作業?—お笑いとプログラミング

【3】日常生活にひそむプログラミング

・プログラミングはいたるところに
・たとえば、センサー付き水栓の動作なら?
・信号機や、自動販売機にも
・プログラマとひとくちにいっても◯◯系がある?

【4】当然のように数字の話をはじめないでください

・プログラマは「翻訳者」って言えるかもしれない
・「プログラマあるある」を、理解してみたいけど
・ 当然のように数字の話をはじめないでください

【5】プログラミングは理系のもの、ではない

・「ど文系の算数嫌い」にプログラミングってできる?
・非エンジニアが、プログラマと仕事をするときに知っておいたほうがいいこと
・ 作者へのリスペクトってどの分野でも必要よね
・こんな私にも、プログラミングで何かが作れるの?

―第二部・実践編につづく(……のか?!)―

* * *

それでは、今日はこのへんで。

第1回は、明日アップする予定です。

その後は、ふだんの日常エッセイをはさみながら、日をあけて、不定期でアップする予定です(まだ編集終わってないのに見切り発車!)。

では、また明日〜。


自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。