『土地の記憶』 てくてく通信+🎈 #47
こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
今月のテーマはこちら。
あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。
土地の記憶
みなさんは旅行が好きですか?私は大好きです。めったに行かないけれど、行くとしっかり長い期間、2週間、3週間、行ってきます。大体は一人旅ですが、現地で友人やホストファミリーに会います。そして私は同じ場所に何回も行く癖があります。
例えば、豊島や直島には、たくさんの美術がありますが、すでに2回訪れています。1回目にはとても静かだった作品の周りが、20年後とても開発が進んでいて、だいぶにぎやかだったり、1回目は自分が歩くのが大変だったくらい体調が悪かったことが思い出せれて、今回はてくてく5㎞くらい歩いたりしていて、自分の変化も、相手の土地の変化も観測できます。同じところに立った時の気持ちの違いも判ります。旅定点観測です。
ノルウェーのベアバングには、ホストファミリーがいて、計4回既に行っています。最初に訪れた時は、4回目ほどノルウェー語が頭に入ってこなかった。私の脳が整理されたのかな。とか、昔は、ホストファミリーの家の周りでこんなにたくさんの車の音はしなかった、時代が変わったなとか感じます。
ノルウェーでは、学歴社会が最近はやっています。30年近く前に最初に行ったときにはなかった現象なので、ちょっとびっくりして話を聞いていました。そういえば、アメリカでも今は学歴社会がとっても流行っているなぁと思いつつ聞くその話は、日本のことに思いをはせることにつながります。
学歴社会とは、人にラベルをはる社会なので、その人の個人の人格を見るのではなく、学校の価値でその人を判断する要素なので、個人を見ることが大事になってくるとだんだんすたれてきます。日本ではひところのように学歴だけがとても重要視されることは減ってきたように私は思います。それは、ラベルだけでは人は見極めきれないという私たちの学習があったからだと思うのです。
でも、そのラベリングがアメリカやノルウェーでは流行っています。信仰のように。どうしてだろうと考えると、日本が30年前に直面していた経済成長に、それぞれの国が直面していることが判ります。そして、日本はバブルが崩壊してから、学歴社会に頼らないより実質的な人間性を見極めるような価値観を作り始めたんだなということにも考えが及びます。ということは、経済成長が止まったら、アメリカもノルウェーも同じような一途をたどるのだと考えられます。
それでも、日本の学歴社会は根深いです。私だって、その恩恵にあずかっているので、一概に悪いとは言えません。でも、もっと個人個人を見ていけるような社会ができたらいいなとは思います。
こうやって、同じ場所を時間がたってから訪ねる旅をしていると、まずは前回訪れた自分の記憶に会うことができます。同じ場所で感動したり、同じ人に会ったり、同じ喫茶店に行ったり、お店に行ったりできます。そして、土地が変化していることを感じることもできます。お店が閉まっていたり、開発が進んでいたり、村が小さくなっていたり。その土地の変化と自分の変化を比べてみると、その真ん中に世界の流れがたちあらわれてくるのが見えます。
ベアバングの海沿いに放置された作りかけの現代アートの大理石。アートを入れ込むことで旅行者を増やそうとする観光省の試みなのですが、アート・イン・レジデンス(アーティストが何か月かその場に住んで作品を作ること)がうまくいかなくて、途中で放棄されてしまったものです。これは、世界中に流れているひとつの産業の流れです。そして、それをみるホストパパの「いったいこれは必要なのか、いいものなのか?」という素朴な疑問。上から言われたから作っただけのアートと、実際にそこに何十年も何百年も住んでいる人たちが見ている景色とでは、大差があります。
この格差が、世界中どこでも起きているし、大きな大理石の塊はクレーン車を入れないと動きません。そして、このアートはイタリアでも同じものが作られています。ホストパパとホストママはノルウェーの人口400人の町の寂れた海をとても豊かな海として毎日見ているのです。それを置いて行った人たちにはそれが伝わったでしょうか。それは、例えば、宮城県で開かれているリボーンアートフェスティバルにも言えることです。よいとされるアートの導入は余儀のないものです。本当にそれをその土地の人たちが選んだといえるでしょうか。それは大多数の意見なのでしょうか。どうやってそれを確かめたらいいのでしょうか。そういう疑問が、例えば、共通してわきます。
そうやって、いくつもの世界に共通する型が見えてきます。そうすると、型の考え方のこっち側にはこういう人がいて、こっち側にはこういう人がいるんだなということが見えてきます。それは、土地を動かすと変化する部分と、土地を動かしても変化しない部分が見えます。それを、私は、世界の流れとして感じ取ります。
その全体の流れが、どっちの方向に動いているのか、なんとなく感じながら、帰りの飛行機に乗ります。飛行機の中で、ノルウェーの友達に「ノルウェーではこんまりが大流行!」と聞いたことを思い出し、そうか!と思いながら、どうしてかな。そうか、たくさん持つ時代は終わったのだ、今は、じゃぁ何を持ちたいか、世界の人は考えているのだ。その流れに、こんまりはぴったりなのだと思いつきます。
インターネットができた昨今、地球の裏の人と連絡を取るのは、ボタン一つでできてしまいます。なんて便利な時代だろうと思いつつ、それでも、実際に飛行機に乗って泊まって、旅をして、身体ごと丸ごと土地に入って初めてわかることがいっぱいあるとも思うのです。そのためにするのが旅だとも。
30年前に比べるとLCCもできて、タイミングを考えれば、旅は格安にできる時代になりました。ネットで買い物もできて、だいぶ安い値段でほしいものが手に入るようになりました。工夫すれば、そんなに多くの稼ぎを得なくても、楽しく過ごせるようになってきたのです。それが世界の流れだなと私は感じます。
じゃぁ、その中で、私はどうやって生きていきたいのだろう。誰と、どこで、何を話して、何を共有して、生きていきたいのだろうということを考えます。それが、私の旅の一番豊かなところです。離れれば離れるほど、くっきり自分の人生を観測することができるのです。見えてきた世界の流れの中にある自分の立ち位置と未来と過去を見つめて、私はいつも最終の飛行機に乗ります。疲れ切った身体を抱えて眠り込みながらも、いいことを学んだなと思いながら、自分の家に向かう帰路につきます。
例えば、自分の人生を終えるときも、こんなかなぁと思います。俯瞰して人生全体を見ながら、じゃぁ次はどこに行くのか、考えて、希望をはせて、人生を振り返り、この地球を離れていくのではないかなと思うのです。それができるように、ひとつひとつの旅を大事に感じ取っていきたいと思います。あなたの旅はどんなですか?ぜひ教室で聞かせてください。
ちょっとしたおすすめ
そよ玉
生徒さんに2年前に教えていただきました。
北仙台に近いところにある
カフェSOYO。
鉄器でお湯を沸かしていて、そのお湯で、飲み物を作ります。
私はほうじ茶が大好きです。
マスターはアートが大好きで、店内には、陶芸作品も
アート作品も飾ってあります。
その中の一品そよ玉がお勧めです。
ココアとか、よもぎ、かぼちゃ、ココナッツなどいろんな味がある
練りきりみたいなまるいお菓子です。
ご飯を食べた後、お茶と一緒にいただくと
とってもおいしいのです。
これぞ、日本の食!という感じ。
私はしばらく行けてませんが、秋が始まったこの頃、
ぴったりな一品です。
ゆっくりしたいなと思ったら、そよ玉をじっくり味わう時間を作ってみてください。
カフェSOYO
http://soyo.main.jp/index.html
編集後記
本当に自分の楽しみのために始めたブッククラブがかけがえのない大事な場所となってきています。普段話さないネガティブな感情をみんなと一緒に安心してシェアできることで自分がどんどん強くなっていくのが判ります。古くからの友達も参加してくれました。とてもありがたいです。そして、ノルウェーではRisaさんが早くも家を見つけて活動しているようです。次回お伝えしますね。ブログは25日ごろ更新予定です。
(初出:2019.8.17)
宇宙料金
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?