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国道の女王様

交通量の多い国道を折れると、急に田舎道になる。

街中や高速道路の運転はビビるくせに、郊外ではブイブイ走る。
(元ヤンキーでもなければ、モーターで走るからブイブイもいわないけど)

やっぱこのタイヤにしてから、コーナリングのグリップがいいわなんて、ちょっといい気になっている。

次の信号で止まってしばらくすると、さっき後ろにいた車が追いついてきた。

そこでようやく気づいた。

あのクルマ、M教授のだ。

さっき私は国道で、追越車線を走るトラック2台の後ろにいた。
前方は見えないし、抜きたいけど抜けない。

左車線を見ると、抜いてくのかと思った車が、入っていいよと言うように間を開けている。

サンキュー!と思いながら、左に車線を変えた。

あれやっぱ…、M教授だったんだ。

たまーに、忘れたころに遭遇する。
そしていつも、私が車線変更しやすいように前を空けてくれて、先に行かせてくれる。

職場について朝の準備をしていると、M教授が部屋に来た。

ニコニコ笑っている理由は言わなくてもわかる。

「だって、御手洗さんのクルマ遠くにいてもすぐわかるもん」と。

確かに赤いラインが目立つかもしれないけど、国道を折れてから次の信号まで、突っ走ったのも見てました…?

前にもこんなことがあって、職場が近づいたら安全運転でと思ったのに、調子に乗りすぎてた。

でも、あんな風に道を開けてくれる人、カッコいいと思う。
おかげですっかり女王様気分、気分よく出勤できたもん。

なんてこと、M教授には言わないけど。

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