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【一を聞いて十を知る】(新釈ことわざ辞典)記事版

その多くが単なる《早とちり》であることは言うまでもない。

私の評判は悪い ── 家族とTVドラマを観ている時は特に。

「こいつが犯人だ! 間違いない!」
「お! この事故であのヒト、記憶喪失になると見た!」
「この二人、幼い頃に生き別れになった姉妹 ── っていう設定じゃないかな!」
「この手術、そろそろ問題が起きるぞ ── 出血が止まらなくなるとか……」

「ああ、うるさい! ちょっと、黙っていてよ! 聞こえないじゃないの!」

さらに評判が悪いのは……

「『僕が君を守るから』」
「『ではここで、種明かしをしましょうか』」
「『君に責任を取ってもらうからな』」

「もう、うっとおしいなあ! 先回りしてセリフを言わないで!」

いずれの『予言』も、当たらないこともあるけれど、当たった時は、
「ほらね」
と鬼の首を獲ったような顔をする ── これも不快らしい。

「アンタねえ……ここで嫌がらせ目的のようにその才能を無駄遣いしているより、自分で小説書いたらどうなの?」

……ごもっともです。

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