【触らぬ神に祟りなし】(新釈ことわざ辞典)記事版
満員電車では両手を上空に上げていなさい、という教え。
これはきわめて重要なことわざで、通勤ラッシュ時に電車やバスに乗らなくてはならない人びとは(主に男性だが今や女性客も)、冤罪回避のため、座右の銘とした方が良いでしょう。
この項目に、ぺれぴちさんからコメントをいただきました:
ご存じのように、【李下に冠を正さず】とは、スモモの木の下で頭の上の冠を直そうとすることは、スモモを盗もうとしていると誤解されるから避けるべきであるという故事に基づき、誤解される紛らわしい行為はさけるべきであるという戒めです。
元々は、『古楽府・君子行』中の「瓜田不納履、李下不正冠」だとか。
李の実って、何かに似ていますね:
実は【李下に冠を正さず】も、たとえ自体が、まさに李に似た人体の一部に手を伸ばそうとしている、と誤解されないようにしなさい、という警句だったりして……。
だとすると、【触らぬ神に祟りなし】とは二重にリンクしていることになる……。
ならば、「李下不正冠」とペアになっている、
【瓜田に履を納れず】
はどんな『誤解』なのだろう? ……どこかの家に上がり込んでしまったのだろうか? 『瓜』とは何の暗喩なのだろうか? ……いや、深読みはやめましょう。
ところで、列車内で相次いだ襲撃事件への対策として、国土交通省は、利用者が一定以上の3大都市圏の路線を走る車両やすべての新幹線を対象に、新たに導入する車両には防犯カメラの設置を義務づける方針を固めたそうです:
これによって、痴漢を働く不逞の輩も減るのではないかな。痴漢冤罪もなくなるだろう ── 最初はそう思いました。
「いや……まてよ」
以前、満員電車で私の手の甲が女性の胸に食い込み、動かすこともできずに『天国と錯覚→実は地獄の数分間』を経験したエピソードを書きましたが:
この場合のように『不可抗力で【李下に冠を正してしまった】人』が、防犯カメラ画像を『動かぬ証拠』としてつきつけられてしまったら、どうやって言い逃れをすればいいのだろう……。
特に私のように、家族も職場の人たちも守ってはくれない過酷な環境(↓)で暮らす人間は、冤罪を主張しても誰も耳を貸さないだろう。
ますますの四面楚歌、孤立無援になりそうだ。
やはり、ことわざ
【触らぬ神に祟りなし】
の教え通りに、いや、カメラ導入後はますます、
満員電車では常に両手を上空に上げているしかなさそうだ。