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晴旅雨筆(エッセイ)

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これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
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#あったらいいな

女子高生の「あったらいいな」は20年後に大学の先生が「叶えてくれた」(エッセイ)

一昨日の日経電子版に、次のような次世代技術が紹介されていました。 《テレビの前で試食も 明大、味がわかるディスプレー開発》 要は、テレビで見ている食品の味を、基本とする10種類の味を組み合わせて再現する装置を開発した、というニュースです。 この記事を読んで、ちょうど20年前、2002年の7月に提出された、ある高校生の提出レポートを想い出しました。 このレポートは発想がユニークなだけでなく、その《発明》を描いたイラストも《簡明ながら秀逸》であったので、コピーに残しておいたので

「その風は、どんな桶屋をどう儲けさせるのか?」妄想するのはけっこう楽しい (エッセイ)

「もしも《真の》男女平等が実現したら」と題する下記のショートショートで、《人工子宮》の開発によって男性の妊娠・出産が可能になった世界を描きました。 このエポックメイキングな発明は、大きく世の中を変え、《マタニティー背広》や《授乳用模擬乳房》など、一連の革新的商品群が付随的に開発されます。Noterさんのコメントから、《乳母》という古典的サービス業の《復活》も示唆されました。 以前、学生に「こんな商品が《あったらいいな》」を考えてもらう宿題を出した話を書きました。 この場合は

自分が想像する「あったらいいな」は他の誰かも想像してる (エッセイ)

このところ、約20年前の講義の宿題で、学生が提出してくれた「あったらいいな」のいくつかを眺めています。 その中に、ちょうどその頃私が書いたショートショートにかなり近いアイディアがありました。 業界誌に掲載し、このnoteにも再掲した話です。その内容は: ・エレクトロニック・ショート・サーキット(ESC)社で開発中のテレビ用画像処理装置《配役》は、ユーザーのテレビに映る、ドラマ出演者の顔を好みの誰か──例えば、自分や知人に挿げ替えることができる。 ・このためには、自分や知人の

《「あったらいいな」想像》に関する「ドラえもん」の功罪 (エッセイ)

工業高専で講師を務めた時に、次のような宿題を出し、翌日、学生にそれぞれの《商品企画》を発表・議論してもらった話を書きました。 (1)あなたが「こんなモノがあったらいいな」という製品を書いてください。できれば、イラストを使って表現してください。 (2)その製品は、どんな《技術上のブレイクスルー》があれば実現するでしょうか? 工専での講義を3年3回終えた後、今度は某国立大学の工学部から、短期留学生向けの講義を頼まれ、こちらは5年間務めました。 半年間だけ来日している種々の学

誰かの「あったらいいな!」「こんなの欲しい!」は、誰かが実現する (エッセイ)

「再勉生活」中に研究室の同僚だった友人が、日本で工業高専の先生に就任し、この先生から2時間×2日がかりの「特別講義」を頼まれました。 これも、かなり前のことです。 学校で講義をするのは初めての経験だったので、なかなかうまく行かず、一方的な知識の伝達は、学生たちを退屈させただけでした。 翌年も頼まれたので、内容を見直し、知識の伝達に使う時間を半減させて、以下ふたつの「KAIZEN」を加えました。 ➀ 講義内容の材料を使った電子部品やデバイスを回覧して実演する、という《大道