マガジンのカバー画像

晴旅雨筆(エッセイ)

163
これまでの人生で書き散らしてきたノートの切れ端をちぎれ絵のように張り付けたエッセイ。本を読み、山に登り、酒を呑み、街を歩く。
運営しているクリエイター

2024年6月の記事一覧

学歴詐称はどこにでも(家で★深読み)

選挙のたびに経歴が問題になる人、いますね。 学歴なんてどうでもよく、仕事ができるかどうかが重要。 ただ、その仕事をする立場に就くため学歴・経歴を偽った、ということ、結構あるのでしょうね。 今から30年ほど前に参議院選挙(愛知)に立候補し当選したタレントが、選挙公報に「明治大学政経学部入学」という経歴を書き、「中学時代にスイスに海外留学した」と演説会で述べたことが虚偽であると告発され、有罪判決を受けました。 実際は入学などしていないのに、「政経学部」ということで単なる人気者

「母に花、父には酒」に少々変化

先週土曜に冷凍の荷物が届きました。 送り主には娘の名が。 「明日が父の日だからじゃないの?」 「え? ……でも……」 ── 娘たちは毎年母の日には花を贈ってくる。 費用は二人で出すようだが、手続きは国内にいる方が担当するらしい。もちろん、彼女たちの母はいつも喜んでいる。 そして、父の日にはこれまで、日本酒を送ってきていた。 「うーむ。ヤツらはオレがよほど酒好きだと思っているのだろうな」 「誰がどう見てもそうでしょ!」 それが、今年はなぜかラム肉である。 「お父さんに酒

【急がば回れ】(新釈ことわざ辞典)記事版

「大丈夫、時間取らないから」 「すぐ済むよ」 「実はね……」 急ぎの時を狙うかのように、どうでもいい話を長々としてくる人、いますね。目的地までの直線コースに《地雷原》があれば、大きく迂回するのが得策です。 会社勤めを始めた頃、趣味で書いていた小説はまだ商業誌デビューの段階には至っていなかったが、研究者でありながら社内親睦誌にショートショートを連載していた私は『珍獣』扱いされていた。 といってもほとんどの同僚は昼休みの食堂でたまに話題にする程度だったが、少数の例外もいた。

夢と現実の境

── よく夢を見ます。 夜中に1,2度必ず目覚めるため、その直前に見た夢を反芻しますが、やはり憶えているのは朝方近くに見た最後の夢です。 夢は脳が記憶の整理をしているのだ、と読んだことがありますが、確かに、まったく現実と異なる夢を見ることはなく、過去となんらかのかかわりがある夢が多い。 かかわりのない場合は、直前に観たり読んだりしたテレビ番組や本の情景と関係している。 以前、凡筆堂さんの夢エッセイに触発されて、夢を設計する小説を書きました。 子供の頃からほぼ毎晩夢を見てい