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【ライターの仕事】とびらを開く~NPO法人森の美術館

2022年1月29日付河北新報夕刊に、取材記事を書きました。
毎週月曜日に掲載されている、宮城県内の市民団体・NPOの活動を紹介するコーナーです。過去記事になりますが、アーカイブです。

ーNPOの輪ー
私たちの周りでは、たくさんの市民団体・NPOが地域課題の解決などを目指して活動しています。「認定NPO法人杜の伝言板ゆるる」と「NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター」が交代で担当し、さまざまな団体の活動や地域課題について伝えていきます。

河北新報ONLINE

廃校になった分校を再生
紡ぐ・染め・織る「衣」の自給を体験


廃校になった木造校舎を拠点にして、2020年8月から活動を開始した「NPO法人森の美術館」の理事長木ノ瀬千晶さんを、宮城県川崎町に訪ねました。


森の美術館の活動は、大地を耕し、種を蒔くところから食料や繊維、染料などを自給し持続可能な暮らしについて考えること。染色家の木ノ瀬さんが、地域の方々とさまざまな活動を行う仲間が出会い、ともに活動できる場所を求めていた時、巡り合ったのが(旧)腹帯分校の校舎でした。

廃校後も住民によって芸術活動の拠点となっていた木造校舎。傷んでいた部分の修繕作業に、会員自らが取り組みました。自然素材にこだわった漆喰の壁、柿渋塗り、床の張替え、暖房用のロケットストーブ作りなど。

改装が終わったひと部屋は、染織アトリエとして使用。「衣服の自給」が体験できるように、種から育てた棉の糸紡ぎ、草木染や正藍染め、布を織るワークショップを実施します。

木ノ瀬さんは、「自分が身に付ける衣服を、自らの手で創るという一連の工程を体験し、そこから生まれる価値観を分かち合いたい」。繊維を種から育て、衣服にするまでには膨大な時間と労力を要し、多くの人の手が必要です。「その体験から、身の回りの暮らしや現代社会におけるさまざまな事柄を考えるきっかけにしていきたい」と話します。

館内は、染織アトリエのほか、自然栽培やオーガニック食材を使った身体と地球に優しいレストラン。食品などの量り売りとフェアトレード商品や暮らしの道具を扱うショップを併設して、2022年3月にオープン予定です。

木ノ瀬さんは「環境再生の手法を学ぶ場や、人と人とが集い交流する場をつくり、新たな文化の発信地としていきたい」と、活動に賛同し集まった仲間のポテンシャルに期待を寄せます。今後は、竹細工や藁細工など、地域に残っている暮らしに根差した手仕事や文化を継承する若手育成プログラムも予定しています。

もともと学びの場であった校舎の役割を継承しながら再生した森の美術館。地元の人々と融合した暮らしを育む新しい試みに注目していきたいです。

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私の入稿原稿は、河北の担当記者が校正し、整理部で見出しや写真、キャプションを整えて掲載されています。新聞紙面掲載記事は、河北新報ONLINEからどうぞ。(見出しの付け方、ビフォーアフターをご覧ください)

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(ウチソト編集室ライター葛西淳子)

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