「明るい未来」の音色
音曲師の桂小すみ師匠が大好きだ。
以前、小すみ師匠の三味線教室にうかがったことがある。
その時に小すみ師匠が教えてくれたことを、今でも度々思い出す。
「明るい未来」を想像して三味線を鳴らす、というものだ。
参加者が順々に、三味線をテーンと弾いてみる時間があったのだが、「明るい未来」を想像して、目線を遠くに向けて三味線を弾くとなるほど確かに、高らかで伸びやか、そして軽やかな音色が響き渡った。
楽器はまったく演奏できないのだが、心持ちが音色に如実に出るのだろうということは、素人ながらに体感できた。
「明るい未来」。
なかなかそんなに前向きになれる世の中でもないが、想像するのは自由だ。
根拠などなくていい、自信などなくていい、ただひたむきに「明るい未来」が待っていると信じて、日々を過ごしてみよう。
なんだか最近は、小すみ師匠のあの言葉と、あの時の音色を、よく思い出すのだった。
ああ、寄席に行きたいなあ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?