2021年振り返り #キャリア編

キャリア編

同じ状態が続くことに対するリスクと違和感

2021年の振り返りの話を書くと言っておきながら、比較のために2020年の話をまずしたい。2020年は挑戦の年にした。時間的な拘束が少なかったことと、自分の状態が一定に収束する不安があったからだった。人間は新しいことをする際に失敗するリスクを過度に感じやすく、今と同じ状態が続いた場合のリスクは感じにくいという。私の場合同じ状態、心地良い環境に不安を感じることが多い。自宅でさえ居心地の良い環境を作ることに抵抗感がある。過ごしやすい安全地帯を作ってしまったらまずい茹でガエルになってしまうことに強い恐怖を感じる。

だからと言って新しいことに対する恐怖心がないわけではない。心編の不安などはこれが大きな原因の一つだった。視覚を奪われた暗闇の中を全力疾走するほどの勇気はないが、2020年はその暗さに気づかないフリ、見ないフリをしようと決めた。実際は見ないというよりは、暗すぎて見えなかっただけなのだが。やりたくないことは極力やらないと決め、直感的にやりたいことだけ意識的に選んだ。元々直感的なタイプではないので、計画や戦略なく瞬間的な感情に従うことは新鮮で楽しかった。

公開カードがない状態でベットした2020年で意思決定の判断材料になったのは、違和感。世間で正解であると思われているものに対してどうしても納得できないことが多かった。違和感というのは厄介な感情である。自分が間違っているのか、それとも周りが間違っているのか判断がつかない。大抵の場合自分が間違っているので、誰かのありがたいお話を聞いて違和感を打ち消し今日も変わらぬ日々を過ごしていく。ただ、周りが間違っているということも稀にあるからややこしい。

言ってみれば2020年はポーカーで言うプリフロップの年、公開されているカードがない状態でベットしなければならなかった。それに代わって、2021年はカードが1枚ずつ開いていったフロップの年になった。2020年に感じていた違和感に対して答え合わせをする機会が多かった。そこで気づいたことがある。違和感を打ち消そうといくら人に話を聞こうと消えない違和感が残った。人はポジショントークばかりするということが諸悪の根源なのだと分かった。しかも達が悪いことに本人もポジショントークをしているという感覚がなく、見たいものしか見えなくなった結果このようなことが起きている。構造的にトラップされてどう足掻いても抜け出せなくなった人は、認知を歪め捉え方を変えることで自己正当化を図る。自己正当化をした調子の良い自己を使って他者の相談に乗ってありがたいお話をする。それがキャリアなど重要なテーマになればなるほど顕著で危険な行為だとも知らずに。見栄を張る人たちでできた業界が本当に見栄だけで成り立っていると気づいたときの恐ろしさたるや。

違和感を抱えながらも飛び込んでしまうのはなぜだろう。違和感、違和感と騒げど、「体験してみないとわからないじゃないか」と人は言う。体験したことがある人の話を仰ぎ、信じ、自分も体験すれば抱いている違和感も消えるのだという妄想を抱く。しかし、そのセリフは思考停止のサインだと分かった。体験してみないとわからないじゃないかというセリフを何度も色々な人から聞いた。その言葉で自分を納得させ、違和感を覆い隠し問題を先延ばしする。しかし、その言葉は思考停止や調査不足を隠すための甘えのおまじない。自由に考えるということは難しい。20年以上生きてしまうとある程度思考が自動化されてしまう。それに抗うために教養をつけるのだと思う。知らないと言うのは恐ろしいし、知れば知るほど知らないことを知る。詳細は自由編で書きたい。

ボラティリティとショートカットと

私は資本主義に気づくのが遅かった。資本主義、というよりどのゲームの上でプレイしているのか気づくのが遅かった。キャリア選択を迫られたときにどのゲームの上で戦っているか判別できないと命取りになる。なぜならばキャリア選択時のノイズは大きく、様々なステークホルダーの思惑のために偽のゲームで踊らされることが多いからだ。周りを見渡した時に一緒にゲームをしているプレイヤーを見ると謎の安心感に包まれ、この方向に進めばいいのだと思い込む。みんなで同じ戦場でみんなで同じトロフィーを奪い合うときに競争心がきちんと芽生えるように小学校からの教育でプログラミングされているからかもしれない。

そんなときにゲームボードをコンコンと叩いてみる。ボードの下の階層に実は別のボードがあるのではないかと確かめる。2020年はボードをコンコンと叩いていた年だとすれば、2021年はプレーしていたと思い込んでいたボードが割れ、本物のボードが現れてやはり自分の違和感が正しかったのだと知ることができた年になった。本物のボードが現れるとショートカットする道が見えた。階層が上のボードからは全く見えていなかった道が見えた。ただ、その道はみんなには見えてないからこそ、不確実性が孕んだボラティリティの大きい険しい道となる。当たりにつながるショートカットかもしれないし、どこにもつながらない道かもしれない。キャリアにおける旨味の源泉はショートカットとボラティリティだと思う。まだ何か大きなリターンを出したわけではないし、公開カードもまだ開ききっていないので確実なことは何も言えないが、ショートカットを見つけた身としてはこの道にベットしたいと思う。

具体的な話をせずここまで書いてしまったので、大変抽象的で分かりにくい文章になっているなと思いながら、分かる人に分かればいいやと思い直す。

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