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優しい花屋さん #10


その後2人がどうなったのかは僕は知らない。

ただ一つ変化があった。

花屋を続けていて、
ずっと空いていた心の穴は静かに埋まっていた。

浩平が帰ったあと、僕はもう一眠りをした。

その夢の中で

真っ暗な闇の中にいる
淡く小さい光が僕に話しかけてきた。

「よくやった。」

これがどう言う意味なのかは
イマイチわかっていないが

おそらくあの二人のことであろう。

最近はとても楽しく花屋をやっている。

何故浩平にあんな話をしたのか、

心の底から湧き出た言葉達は
僕をあの頃へ戻してくれた。

父さん。母さん。

僕は夢を叶えたよ。

父さんと母さんがやってた
”お花屋さん”に僕もなれたよ。

毎日違う花を売って、
花の美しさを知ってもらって、

ニコニコしながら綺麗な花を
お客さんに渡してるよ。

今日はどんな花を渡せれるかな。

「この花綺麗ですね。」

夕暮れ時、

OL姿の女性が声を掛けてきた。

僕は満面の笑顔で接客をする。

「いらっしゃいませ。
なにか御用ですか?」

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