優しい花屋さん #6
夜もまだ明けない頃。
外からする物音で目を覚ました。
誰かが店のフェンスを叩いている。
何か言ってるようだ。
酒の入った寝ぼけた頭では
処理が追いついていなかった。
時計を見ると1時過ぎだった。
重い身体を起こして店へ向かう。
ドンドンと叩く音と男の声が聞こえる。
「おい!いるんだろ!!出てこい!」
フェンス越しに男へ話しかける。
「裏口から行くので少々お待ちください。」
自室へ戻り、
水を一杯口にして外へ出る。
フェンスの前に立っていた男は
こちらをキツく睨みつけてきた男であった。
「ここだろ!優花に花を売ったのは!」
「優花?どなたですか?」
「昨日ここでラベンダーを買っていった女だよ!」
「僕の覚えてる限りの方で間違いがなければ
昨日購入された女性はいました。」
「じゃあお前だな!
あの花の花言葉を教えたのは!」
「いえ。そのような事は。」
「じゃあ一体なんなんだよ。」
頭を抱えながら崩れ落ちる男。
「よろしければ中でお話を聞きましょうか?」
男を中へ案内し、
お茶を差し出した。
一息入れると男も落ち着き、
何があったのかを細かく話してくれた。
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