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第3話 居たのが当たり前。
あなたが居なくなったのは、突然だった。
ひとつ減った私だけの数字。
好きな人達が集まった数字。
なんの前触れもなく、あなたは姿を消した。
心配で、心配で。
あなたは
男の人で、
優しい声で、
歌が上手くて、
話し上手で、
若干訛ってて、
私を楽しませてくれて
私を癒してくれる
どこに住んでいて、
どんな生活を送っているのかも分からない。
分からないことだらけの
私の…私の…
あ
第2話 居るのが当たり前。
私のルーティーン。
開きっぱなしの携帯の画面を閉じる。
食事を済ませ、身支度をする。
決まった場所へ赴き、決まった仕事をする。
決まった時間が終われば、
疲れた体を引きずり、コンビニに寄り、
今日の晩御飯を買う。
テレビでも眺めながら、
コンビニ飯を口にする。
お風呂を沸かし、疲れた体を労るように
静かに湯に浸かる。
寝る前の身支度を済ませ、布団に入る。
そこからは携帯を眺め、
第1話 居なくて当たり前。
私はあなたのことは何も知らない。
ただ、
あなたという人間が、そこで生きていて
あなたという人間が、そこに存在している。
たったこれくらいの事しか、私の中にはない。
何がきっかけで、どんな巡り合わせで
私の体が動いたのか。
ただ、ふとした拍子に
あなたの声を聴いてみたくなってしまった。
どんな声をしているのか、
どんな話をしているのか、
どんな言葉を使っているのか、
訛りとかはあるのか
裏切った俺と裏切らなかった僕
「ここはどこだ」
2人の男が言う。
一人の男は
「どうして俺は、こんな場所にいる。」
と嘆き、
一人の男は
「どうして僕は、ここに立てている。」
と問う。
私の見てきた二人の男は、
2人とも努力家であった。
自分の事を”俺”と呼ぶ男は
自分の信念を持ち真っ直ぐと前だけを見て
突っ走る男。
自分の事を”僕”と呼ぶ男は
弱々しい中にも野心を燃やし
決して諦めない男。
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