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川に沿って歩く

秋田市に転居して十年目に入りました。

生まれは上州群馬県で、秋田に引っ越す前は長らく東京の郊外に住んでいました。夫の両親の介護のために移り住み、お二人を見送って一年後に今度は群馬から自分の母親を呼び寄せました。

群馬在住時には利根川が、東京郊外の頃は多摩川が、そして、秋田では旭川が身近にあって、出不精な私を戸外へと連れ出してくれました。

川に沿ってカーブする緑陰の道を歩くのは、私の日常の小さな楽しみ。土の感触、草の匂い、うぐいすやかっこうの鳴き声、目線は遠く空へといざなわれます。山の方から川に沿って下ってくるカモシカや、雪景色の川に優雅に浮かぶ白鳥にも出会いました。

エッセイや小説もどきを書くようになってしばらく経った頃、こう思いました。

「ライフワークは何の役にも立たないことをしよう!」

それから、その言葉のとおり順調にそれは続いております。これからも、このささやかなライフワークという川に沿って歩きながら、たまには小さな自分の外に出て広い空を見上げたいと思っています。


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