男子高校生への供物

どーも、元男子高校生です。

というわけでタイトルを見て「どーせ、下ネタだろ」と思った不埒な方々を絶対零度の冷笑と共にスルーして、おれが高校時代に編み出した、食べ物を紹介したいと思う。

男子高校生は部活の内容に何ら影響を受けず、おそらく人生で1番食べられる量が多いと言われている。
なので、世のお母様方はどうダマくらかして愚息のハラを満たせるかを常に考えていらっしゃる。
しかし今回紹介するのは普段の食事ではなく、男子高校生が友人を連れてくるという、ドラクエでキラーマシーンが3〜4体並んでるような絶望の状況でこそ真価が発揮されるものである。
世のお母様方にはご了承いただきたい。

ちなみに、開発したのはうちのかーちゃんではなくおれである。
食欲が料理を作ったのである。
レシピにしてしまうと簡単なので、あえておれの思い出を書き記し、それを追体験していただければ幸いだ。
※面倒な人は戻っていただければ幸いだ。

高校時代、比較的学校と家が近かったため、我が家は溜まり場のようになっていた。
その日はテスト期間だったのか午前中だけで授業が終わり、昼メシをみんなで食おうとなった。

誰かが「鍋パーティーしようぜ!」とナイス提案をかまし、学校帰りに食材を買ってうちで食べるという流れとなった。
高校生の知能と財力を持ってすれば、買うのは豚肉、白菜、ネギくらいのものである。
その他に、豆腐やら他の野菜やら栄養バランスや彩りを考慮した食材を買った記憶は一切ない。
とりあえず肉を2キロ買ったのは覚えている。

何鍋にするかも話していたのだが、おれのとんでもないヒラメキによって、味は任せろ!と言い切った。
「鍋」「豚肉、白菜、ネギだけ」「高校生」「バカ」…など様々な点が頭の中で一本の線になり、コナンくんばりのドヤ顔で、じっちゃんの名にかけて謎は全て解けたのである。

そして作ったのは豚しゃぶである。
調味料はうちに豊富にあるのでポン酢やらゴマダレなんかでおいしく食した。
実に普通のしゃぶしゃぶである。
男子高校生の食欲は、形容すると「アホ」以外の何者でもなく、すぐに作った豚しゃぶは無くなった。

第二弾は、豚しゃぶで残った汁に、和だしと醤油で味付けした寄せ鍋風である。
しゃぶしゃぶで豚の旨みが滲み出た汁に醤油の味がつき、炊いておいた白メシにもよく合う。
コレもあっという間に無くなった。
味変することで同じ食材であっても全く別の料理のように輝くのである。

友人達に聞くと、「まぁまだ食べれるね」とのことで第三弾は、味噌を入れた味噌鍋である。
少しニンニクを入れることで、味噌ラーメン的余韻が含まれる。
最近はスーパーにも売っているが、当時はメジャーでもなく、天才と崇められたことが懐かしい。

「結構おなかいっぱいかな」となる者もいるが、最後は味噌鍋にキムチをぶち込んだキムチ鍋である。
辛さが足されることにより、もうちょい食える。
白メシもなんか食いたくなる。

…と、1つの鍋のおかわりをするごとに味を変えるというアイディアなのである。
ポイントは順番で、最初にキムチ鍋にしてしまえば何を足そうがキムチ鍋、先に味噌を使えば味噌鍋になってしまうので、この順番を閃いたおれを食欲が生んだ天才と思ってもらって差し支えない。

ちなみに最後、豚肉が多過ぎて、鍋のことを「この"豚"さぁ」と皆で呼んでいた。
なので料理名は「豚」である。
男子高校生であればぜひともパクっていただきたい。

ちなみにさすがのアホ達も2kgを完食することは叶わず、大変申し訳ないが我が家の庭に埋めさせていただいた。
かーちゃんにはバレなかった。

何十年も経ち、そこにはキレイな花が咲いている。
実に、SDGsを先取りした高校生たちなのである。

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