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日に日に私の鬱は酷くなっているようで、いまは部屋から出るのが苦痛になった。

というのも、入居している施設の職員から叔母に「職員に対してすごく冷たいというか、愛想がないというか」と一報があったらしい。

これも一度ではなく二度ほど。その都度、叔母には愛想良く振る舞えと注意されている。

できるものなら最初からしている。自分はそう評価されているのか、自分でもどうしようもないのに。そう思うと、部屋から出て施設の職員とすれ違うのすら恐ろしくなった。

他人に愛想良く振る舞うこと、思ってもない褒め言葉やポジティブな表現を多用する事など大得意だった。むしろ27年間、それでしか自分の商品価値を上げられなかった。

だが、部屋の窓から飛び降りて病院のベッドで目を覚ましてから、なぜかそれが出来なくなった。ぴたりと。誰に対しても優しくなれない。

それに、上手く笑えなくなった。YouTubeなんかを見ているときや、親しい友人が面会に来てくれるときなんかは、面白いと思ったら笑える。しかし他人に笑いかけるのが全くできなくなった。

客観的に見ても、今の私は無愛想極まりない。自分でもすごく嫌になる。

全てが全て私発信ではなく、施設の職員が起因して気まずくなる事はあった。服薬の時間を間違えたり、入浴介助の云々を誤ったりなど。それにしても今まではにこやかに大丈夫ですよ、気にしないでください、と言えたはず。

いまの私は、そういう場面で無言になってしまう。無表情で。自分でもそんな風にされたら、怒っているのかと思うし冷たいとも思う。救えない。

そして、話は変わるが叔母から「施設には3年以上居てもらう」と言われた。障害者が一般住居に住まうとなると、市営住宅がベターなはずだが、意外と敷金礼金はかかるし初期費用が嵩む。入居倍率も高いし、いまの施設に住めている事自体ラッキーなのだからそう簡単に出ようと思うなとも。

言い分はわかる。理由も重々理解できる。

しかし、仮にあと5年ここに居たとして、退去した時には32〜33歳。入院期間を含めて、仕事はそれまで一切できていないし(できないだろうし)、野に解き放たれるのは"仕事のブランクが5年半のアラフォー障害者"である。

誰が雇うのだろうか。

別に私は仕事ができる方でもないし、物覚えも悪い。そんな人間が5年ものブランクを抱えて障害者雇用にしがみついて何ができるのだろう。

そう思うと背筋が凍る。

自殺未遂に至るまで抱えていた将来の不安を繰り越して、倍額になったその不安に毎日押し潰されそうになっている。

「お前が生きていて良かったと思えるようにする」と、意識が戻ってすぐの私に叔母はそう言った。

その気持ちはとてもありがたい。

申し訳ないが、私は今も産まれたことを後悔している。

つくづく親不孝者で申し訳ない。気持ちが悪い。



そんな今日の昼食は焼きそばとたこ焼きだった。今日は施設の夏祭りだったらしい。

歪にニコニコと微笑みながらたいらげ、部屋に戻る途中トイレで全て吐いた。

はやく殺してほしい。

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