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📘#14 いえ 小野寺史宜

《妹が、怪我を負った。案外面倒な兄なんだな、おれは――。家族と、友と、やりきれない想いの行き先を探す物語。
友がいて職場があって、ひとが築く、まち。
その中に暮らす我が家。近くて遠い、家族。

社会人三年めの三上傑には、大学生の妹、若緒がいた。仲は特に良くも悪くもなく、普通。しかし最近、傑は妹のことばかり気にかけている。
傑の友だちであり若緒の恋人でもある城山大河が、ドライブデート中に事故を起こしたのだ。後遺症で、若緒は左足を引きずるようになってしまった。
以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡って、三上家はどこかぎくしゃくしている。教員の父は大河に一定の理解を示すが、納得いかない母は突っかかり、喧嘩が絶えない。ハンデを負いながら、若緒は就活に苦戦中。家族に、友に、どう接すればいいのか。思い悩む傑は……。》


ひと、まち、に次ぐ3作目。
読後のさわやかさがとても心地良い。
目次を読む前と読んだ後に眺める。
やっぱり小野寺さん、すきだな〜
主人公の傑の自分を問いながら答えを探して見つけた時の気持ちの変化が自分(私)の解決にもなった。
働いていて友達がいて彼女がいて家族がいて生活している。
そして周りも何か抱えている。
穏やかに過ごすことって当たり前ではなく幸せなことを教えてくれた。
人との関わり方と、言葉の大切さ。

✍️
前向き前向き。いやなことがあっても前向きに。
転んでもすぐに起きて前向きに。今は誰もがそんなことをいう。前向きでないことは罪であるかのように。前向きでないと罰せられるかのように言う。本当になんなんだろう。
どこでそう刷り込まれるのだろう。

人間、ものの感じ方は変えられない。
これはちょっといやだな、の感じてしまうのほしかたない。でも感じた後の行動を変えることはできる。こうは動くまいと努めることはできる。その意味でのみ、人は変われる。ただし、とても難しい。それは生きてるあいだずっと自分を律し続けるといことだから。

道はどちらでも伸びてる。左は上流側へ、右は下流側へ。
そのどちらへ行くのが前向きなことなのか、
考えてもないのに、結論がでる。
行く方向ではない、行くときの気持ちだ。

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