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父と母と弟と私。 #3

すごいタイミングで京都行くやつ。

病院から家へ。なんちゅー朝を迎えてるねん。
朝の6時半、お母さんが弟と私のお弁当作ってくれてる。弟は朝練があるから、早く行くそう。へぇ。もうどこまで根性あるねん。こんな状況でもちゃんと出来んのか。すげぇわ。

…ん?え、あ!待って!

私、今日京都に遠足!!!!!!ここここりゃまたなんちゅータイミングで遠足行くねん。どのタイミングで清水寺見に行っとんねん。清水の舞台から飛び降りられるで、今の私はな。とか思いつつ制服を着てメイクをする。

この数時間。何もなかったと思い込もう。普通の日。普通の金曜日や。そう思い込んで今日を過ごすことにした。

弟は私より早めに家を出た。
「お弁当ありがとう!行ってきます」と言った時の顔と声、もうそれはそれは、とびきり爆イケ坊主でしてね。またまた気合いが入った。

久々にゆっくりメイクをしてゆっくりご飯を食べてゆっくり家を出た。こんなことがあったのに。信じられへんぐらい気持ちに余裕がある朝やった。

今思うと、それは余裕なのではなくて、一旦脳がショートしていたのかも。

友達と待ち合わせて、阪急電車に乗り河原町に向かう。
しょーもない話をして笑って電車に乗る。京都に着いて清水寺も行ったし、お土産屋さんでお土産も買った。写真も沢山撮って楽しかった。

楽しい時間はあっという間。めちゃくちゃ楽しかった。
春の京都、すごいタイミングで楽しみました。
友達と解散して、お家に帰宅。

551の豚まんが、ある時ない時~大号泣事件~

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夕方6時頃。家に帰るとお母さんと、母方のおじいちゃんとおばあちゃんがいた。というか、いてくれた。
当時、じいばあちゃんは70歳。2人は、私たち家族の家から徒歩10分の所に住んでいる。
(多分、週4くらいで遊びに行ってた。笑)

このタイミングでおじいちゃんおばあちゃんの顔と声。
「安心」という言葉の直訳にしてほしい。

「おー、早かったなぁ。おかえり。春の京都楽しかったか?」

リビングにいたおじいちゃんが笑いながら聞いてくれた。お父さんの事には触れず、ずっと他愛のないことばかり喋っててくれた。

おばあちゃんは、お母さんとご飯を作ってくれていて台所にいた。少し耳が聞こえにくいおばあちゃんやけど、その場の空気・雰囲気で状況をすぐ分かってくれる。

「おぉ!ぷーちゃんおかえり。お腹空いたやろう?おじいちゃんと551の豚まん買ってきたんや。着替えて早く食べな😌」

おばあちゃんは台所からそう言ってくれた。

家の近くに551なんてない。電車に乗ってどこかに買いに行かないとあかんねん。その気持ちがもう嬉しかった。とにかく嬉しかった。

テーブルに置かれている551の赤い箱を開けると、豚まんが沢山入っていた。制服脱いですぐ家着に着替える。からの京都のお土産披露会。できるだけ昨日のことは考えないでおこう。そう思っていた。

椅子に座ると、前に座っているおじいちゃんが「一番でっかいの選びや~」って言ってくれた。一番手前の豚まんをとる時にふと、お父さんに残しておいてあげよう。と思った。551大好きやから。
けど、食べられへん。。家にいつ帰ってくるかすらも分からんし。少しぬるい豚まんを持った途端に、涙があふれてきた。

考えてもどうすることもできず、何もできない。のに、あれこれ考えているともう涙が止まらなくて、豚まんを食べて涙をおさめよう(どういうこと?笑)って思ってかぶりついたけど、それでも涙が止まらなくて、泣きながら豚まんを食べた。泣きながら食べる豚まんも、いつもと変わらず美味しかった。目の前にいるおじいちゃん、台所にいるお母さんとおばあちゃん、全員がすごく心配そうに、私の方を見ていたが何も言わないでいてくれた。

私は、ジブリ作品の千と千尋の神隠しがすごく好きです。(いきなり?笑)
映画の中でも一番好きなんです。
千尋がハクから貰ったおにぎり(元気になるおまじない付き)を食べて、うわんうわんと大号泣しているシーンがあるけど、まさにあの状態。
千尋もこんな気持ちで豚ま、じゃなくておにぎり食べてたんかなぁ。

あの551の豚まんは、おじいちゃんとおばあちゃんの愛が沢山詰まっていた。だからあんなに涙が出てきてしまったんや。

余談は置いておきまして。

これから私たちの話をする上で、おじいちゃんとおばあちゃん。この2人の存在は欠かせない登場人物なので、きちんと紹介しておきますね。

最強の2人(平均年齢70歳)


おじいちゃんは、根っからの昭和のオラオラ男。
昔は金色のベンツ、黒のBMW、とにかく高級車を乗り回し、ヘビースモーカーで大の酒豪。見た目は完全あちらの方々。

やけど、そんなおじいちゃんがすごくすごく好きやった(笑)
白のスーツがよ〜く似合う、ちゃんとカタギの人間でした。(ほんまにカタギですからね。)

小中高と、学年が上がる度に「誰かに嫌な事言われたりされたりしたらすぐおじいちゃん呼びよ。2度とそんなこと出来へんようにしたるからな。」って言われていた。
今思ったら、めちゃくちゃ怖いこと言ってるね(笑)
その時は「おじいちゃん何者?」って思ってましたがすごく心強かったです。
孫を持つおじいちゃんは皆この気持ちやろうね。

おばあちゃんはその逆。
もう、下界に降りてきた神様みたいな人。おばあちゃんの器はどの海よりも広く、深い。料理がとにかく上手で、明るく、お世話焼き。
人のことを絶対悪く言わず、おじいちゃんの3歩後ろに下がっていて、とにかく何事においてもアシストが超上手い人。かと思えば、昔おじいちゃんが痛風になった時、夜中におじいちゃんおぶって緊急外来に連れて行ったという女前エピソードをお持ちの凄ウーマンです。

この2人にどれだけ助けられたことか。本当に何度御礼を言っても足りない。けど2人はいつも「何言うとんや。家族ってそんなもんや。みんなで幸せに過ごすために互いに支え合うのが当然やで」と口をそろえて言う。
今は少し歩きにくくなったり、年齢的なものが出てきて通院したりもしているけど、まだまだ元気でいてくれていることに心から感謝しています。


551もビックリするほどわんわん泣きながら、豚まんを食べ終えた。
「どうにかなるから大丈夫や。お腹だけはすかしたらあかんで。またなんぼでも美味しいもん買うてきたるからな。」
おじいちゃんは、笑いながらそう言って私の手をギュっと握ってくれた。

怒涛の2日間が終わろうとしている。明日から土日。
本来は、ご飯でも食べに行こうかぁと言っていたやろう。

この土日は、有無を言わさず病院や。
お父さんの状態はどうなってるんやろか。会いたいような、会いたくないような、すごい複雑な気持が入り乱れていた。

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