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消費税の会計処理(税込経理方式・税抜経理方式)について

こんにちは。
元銀行員の岩瀬 好史|財務コンサルタントです。

現在は主に、元銀行員による資金調達支援を中心とした「社外財務担当者サービス」という名前で、財務面から中小企業の経営を支援しています。

「消費税の会計処理」という言葉を聞いて、何のことかイメージできる方は少ないかも知れませんが、銀行の担当者が決算書を見るときに必ず確認する重要なポイントのひとつです。

具体的には、「税込経理方式」と「税抜経理方式」という処理方法がありますので、それぞれの「特徴」や「メリット・デメリット」について簡単にお話ししたいと思います。


特徴


税込経理方式

仕入や売上を消費税込みの金額で計算する方式のことです。

 期中の仕訳
商品を税込み550円で仕入れたときの仕入金額は550円と計算します。
商品を税込み1100円で売ったときの売上金額は1100円と計算します。

 決算時の仕訳
消費税の申告額50円を租税公課として損益計算書に計上します。
未納の消費税額50円を未払消費税として貸借対照表に計上します。
*簡略化のために消費税の中間申告は考慮していません。

税抜経理方式

仕入や売上を消費税抜きの金額で計算する方式のことです。

 期中の仕訳
商品を税込み550円で仕入れたときの仕入金額は500円と計算し、消費税分の50円を仮払消費税として貸借対照表に計上します。
商品を税込み1100円で売ったときの売上金額は1000円と計算し、消費税分の100円を仮受消費税として貸借対照表に計上します。

 決算時の仕訳
仮払消費税(50円)が仮受消費税(100円)より少ないため、差額の50円を未払消費税として貸借対照表に計上します。
*簡略化のために消費税の中間申告は考慮していません。

メリット・デメリット


経理の手間

税込経理方式(簡単) > 税抜経理方式(大変)

税込経理方式は仕入や売上を消費税込みの金額で計算するため、特別な手間はかかりません。
それに対して、税抜経理方式は仕入や売上を本体価格と消費税に分けて計算するため、経理の工程がひとつ増えます。

損益の把握

税込経理方式(分かりにくい) < 税抜経理方式(分かりやすい)

税抜経理方式は損益計算書に消費税に関する項目が出てきません。
そのため、損益を把握する際にそもそも消費税を考慮する必要がありません。

税込経理方式は損益計算書に消費税が費用として計上されます。
そして、費用として計上される消費税の金額は決算時にならないと分かりません。
そのため、試算表を見ていて今期は利益が出そうだなと思っていたのに、いざ決算書ができてみると消費税の影響で赤字になってしまったということが起きてしまいます。

まとめ


ざっくりまとめると、経理は簡単だけど損益が分かりにくいのが税込経理方式、経理の手間はかかるけど損益が分かりやすいのが税抜経理方式となります。

実務的には創業したばかりや事業規模が小さい企業は税込経理方式が多く、事業規模が大きくなるにつれて税抜経理方式に移行することが一般的です。

消費税の会計処理以外にも、銀行からの評価を上げたり、自社の経営に役立つポイントがたくさんありますので、何か気になることがある方はぜひご相談ください。

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