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コロナ融資の出口戦略|別枠への対応

こんにちは。
元銀行員の岩瀬 好史|財務コンサルタントです。

現在は主に、元銀行員による資金調達支援を中心とした「社外財務担当者サービス」という名前で、財務面から中小企業の経営を支援しています。

銀行から融資を受けている方なら、一度は銀行から借換の提案を受けたことがあるかと思います(以下のようなケースが典型的です)。

ケース①

5年返済で600万融資を受けて2年経過した(月10万返済、2年で合計240万返済、残高360万)。

⇒その後、5年返済で600万融資を受ける(うち360万で既存融資を返済することで、月10万返済は変わらず、手元に240万残る)。

ケース②

5年返済で600万融資を受けて2年経過した(月10万返済、2年で合計240万返済、残高360万)。
上記とは別に、5年返済で600万融資を受けて1年経過した(月10万返済、1年で合計120万返済、残高480万)。

⇒その後、5年返済で900万融資を受ける(うち840万で既存融資を返済することで、月15万返済になり、手元に60万残る)。

ポイント

融資残高は増えていますし、完済予定も先送りになっていますが、月返済額は変わらずに(または減って)、手元資金が増えるため、悪いことばかりではありません。

では、こういった借換ができなくなってしまったらどうなるでしょうか?
その部分がコロナ融資の出口戦略の肝になってきます。


融資の種類


中小企業向けの融資はざっくりと以下の3つに分かれます。

①プロパー融資(優良企業向け)
信用保証協会の保証を付けずに、各銀行が自己責任で行う融資のこと。

②信用保証協会の保証付き融資(一般企業向け)
信用保証料を払うことで、信用保証協会が保証人となる融資のこと。

③日本政策金融公庫(基本的にメインバンクにはならない)
公的な金融機関である日本政策金融公庫が行うプロパー融資のこと。

融資限度額


融資の種類ごとに融資限度額があります(例外もあります)。

①プロパー融資(優良企業向け)

各銀行ごと、各企業ごとに異なります。

②信用保証協会の保証付き融資(一般企業向け)

無担保:8000万円 有担保:2億円

③日本政策金融公庫(基本的にメインバンクにはならない)

運転資金:4800万円 設備資金:7200万円

コロナ融資は融資限度額の例外


上記の融資限度額以上に融資を受けている企業も多いかと思いますが、それが可能なのは、「コロナ融資は上記の融資限度額の別枠」とされているからです。

ここからが重要なのですが、信用保証協会のコロナ融資は2024年6月末に、日本政策金融公庫のコロナ融資は2024年12月末に終了する予定です(これまでは何度も終了期限が延長されてきましたが、今回はこの記事を書いている時点ではまだ延長するという情報は出ていません)。

コロナ融資が終了するとどうなるのか?


現在融資を受けている総額が、保証付き融資8000万、日本政策金融公庫4800万を超えない企業は、これまで通り通常の融資限度額の範囲内で借換できるため、大きな問題は起きないと考えています。

ただ、融資限度額を超えている企業は、別枠の部分の借換ができなくなるかも知れません(プロパー融資や、コロナ融資以外の別枠融資で借換することも可能ですが、かなりハードルが高いです)。

これまで借換を繰り返すことによって資金繰りを安定させてきた企業にとっては影響が大きく、借換ができなければリスケを検討することも視野に入ってきます。

そして、一度リスケを行うと、その後の新規融資は難しくなります。

どのように対応したら良いのか?


結論としては、手遅れになる前に行動するしかありません。

説得力のある事業計画書などを作れば、多少の追加融資は受けられるかも知れませんが、それだけでは根本的な資金繰りの改善にはならないと思います。

かといって、簡単に収益性を改善できるわけでもないため、施策を行ったり、そのための時間を確保するための支援を、メインバンクから受けられるようにするための銀行対応も重要になります。

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