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事務局の本間健太郎です。最近素晴らしい作品を見たのでプロジェクションマッピング関係者、演劇関係者、多くの方に知っていただきたくて共有します!

今まで多くのプロジェクションマッピングを使うステージや舞台を見てきましたが、この公演はその中でも群を抜いて素晴らしかったです。
英国でやっている公演が、現在NTLiveとして映画館上映されています。僕は池袋シネリーブルでスクリーン上映を見ましたが、舞台の迫力と映像とパフォーマンスの融合にびっくりでした。

あらすじ

「ライフ・オブ・パイ」はヤン・マーテル作の小説『パイの物語』が原作で、以前映画化もされました。、インド人の少年パイがサーカスをやっていた家族と一緒にカナダへ移住する途中で、船が沈没し、救命ボートで生き残り、ベンガルトラと共に広大な海で奇跡の生還を果たす物語。
この物語は、パイが救出された後に話す二つのバージョンから成り立っており、観る人に「何を信じるか」という問いかけをします。

パペットと、映像や舞台機構、役者の芝居のハーモニー

パペットと、映像や舞台機構のマジック、役者の芝居、どれも緻密に融合した演出で、場面の転換も観客の感情や没入感を妨げることなく時間経過も含めて見事に繋いでいきます。

パペットで表現されたトラ、カメ、ハイエナやシマウマ、オランウータンなどの動物は、それぞれの特徴や感情が細かく再現されていて、まるで本物のようでした。相当観察と訓練の中で生まれたものだと思います。

ベンガルトラは、獅子舞にも似たパペットで表現されており、その躍動感と迫力、細かい表現は本物がいるみたいです。パイ役のハイラム・アベセカラさんは、パペットと息の合った演技で、パイとトラの絆を見事に表現していきます。

プロジェクションマッピングと舞台装置の融合

そしてなによりプロジェクションマッピングと舞台装置の融合。大嵐の海が一転して、病院になったり、魚が泳ぎ回ったり、床面プロジェクションマッピングだからできると言う表現を徹底的に追求していました。
救命ボートが床面からせり上がってくるシーンや、海面が光り輝くシーンなど、海の広さや深さを感じさせてくれるんです! 狭い舞台が広大な海を感じさせたりします。

「何を信じるのか」という問いとテーマ

テーマも秀逸で、壮絶なストーリーの中で問われる、「何を信じるのか」という問いが深いです。パイが話す二つのバージョンの物語は、どちらも真実であり、どちらも嘘であると言えます。
つまり人間は自分の捉え方一つで、違う次元、人生を生きていけるんです。
とある事象を「幸せ」で捉えたら、全ては明るく「幸せ」のエネルギーとなり幸せなことや人々が集まってきます。
「疑い」で捉えたら全てが疑わしく、悪い方へ悪い方へ邪悪なエネルギーがその人の脳裏を包んでしまい、邪悪なものを自ら出現させてしまったりします。
最近、流行りのマルチバース的な考えに通じますね。
(こういう作品が増えてきたということは、人類がまた昔、普通に持っていた感覚に気づき始めた証拠です)

僕は、パイが「生きるために選んだ物語」を信じたいと思いました。
それは、パイが自分に与えた希望と勇気の物語だからです。そして彼はその次元で生きていくのです。

「ライフ・オブ・パイ」は、舞台芸術の可能性を感じさせてくれた作品でした。見ている間は、パイの感情に入り込み一緒に冒険しているような気分になりました。こういうエネルギーのあるアートやエンタメ作りに僕も携わっていきます。ぜひ、みなさんにおすすめしたいです。

「Life of Pi」
https://www.ntlive.jp/lifeofpi

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