#25 「ちゃぶ台がえしは悪か?」

今回は、「ちゃぶ台がえしは悪か?」というテーマで、ステークホルダーマネジメントの話をしています。

ちゃぶ台返しは悪?

はち :今日はまた世の中に扇風を巻き起こそうと思って…
ちょっと激しめのテーマなんですけど「ちゃぶ台返しは悪か」っていう

ジョン:どこの会社でもあるんですかね?

はち :ま、あるでしょうね。どうですか?
第一印象で「ちゃぶ台返しは悪ですか?」

ジョン:えー…一概に悪とは思ってないですね

はち :うんうん。

ジョン:その理由や背景がちゃんと筋が通っていれば全然悪じゃない。けど、そこに関係者が納得できるかどうかかなとは思います。

はち :そうですね。結論それに近い話ですね。
僕、今ご存知の通りシード期のスタートアップに居まして、まぁよくひっくり返るんですわ。ちゃぶ台がひっくり返って、元に戻って、またひっくり返って、元に戻るみたいな。結果、フィギュアスケートのトリプルアクセルみたいな状態になってることが結構あるんですよ。「またかよ、おいおい〜」ってなりますよね。
内容とフェーズによるのかなと思いますが、当然社長がひっくり返すんですよ、一番。でも、何回か前に話した通り、社長はプロダクトないし事業を一日中どころか二十四時間考えてるからこそ、行ったり来たりするんですよね。だから、ひっくり返るのは当然っちゃ当然です。それが前提かなと思いますっていうのが1つめの解。

はち :一方で、それを適切なタイミングでやってもらわないと「おいおい〜」となることと同時に手戻りが発生すると思います。
例えば、一か月後にリリースする機能の実装が終わって、テストしてる状態の時に「やっぱ違うかも、そもそも〜」という話が出てくると「作り直しですね」の結論になりますよね。
これはプロダクトマネージャーが「ちゃぶ台返しをしてもいいよ」「もうできないよ」のタイミングをプロジェクトマネジメントできていないから起こるのかなと思います
取り返しのつかないちゃぶ台返しは、ABCというステップがあった時に、「Aはもう着手してんだけど、BとCはまだひっくり返してもいいよ」の時ではなく「もうBCに入ってるのにAをひっくり返す」ことと思います。これはただ単に議論が足りなかっただけっていう気がしています。

ジョン:はいはいはい。

ちゃぶ台返しOK・NGの条件提示

はち :大抵ちゃぶ台返す時は「本質はこっちじゃない」みたいな話で立ち止まるので、議論が十分じゃなかったってことなのかと思うんですよね。もしくは思いついてなかったか。

ジョン:うんうん

はち :だとすると、じゃあそれだけの議論をしておきましょうよっていう話。
例えば僕がよくやるのは「Aまでは議論した通りで、もう動き出しますよ。もうひっくり返せないですよ。これでいいですね。」を重要な関係者に確認して、OKの確認が取れたら進む。
一方で、「BCはまだ余裕があるからちゃぶ台返しOKだよ。もう一回本質を考え直してもいいよ」もお伝えすることでマネジメントします。
ひっくり返す側も別にひっくり返したくてやっている訳ではないじゃないですか。

ジョン:そう信じています。笑

はち :意地悪でやっていることではないじゃないですか。だから「BCはひっくり返していいんだな。Aは覚悟を決めて進んだ方がいいんだな」の判断をつける材料をあげなきゃいけないと思うんですよね。
そこがうまくできる人とできない人によって、本質を適切に射抜けているか、もしくは本質を射抜くことによってスケジュールがぐちゃぐちゃになるかが変わってくるのかなと思います。
これもPMのスキルの一つだなと思うんですよね。

ジョン:うん。でも難しいですよね。
今、お話を聞きながら自分の経験とか自分だったらどうするかみたいなのを考えてたんですけど、ちゃぶ台返しを前提に考えるのってすごく難しくないですか?

はち :ちゃぶ台返しをされないという前提で日頃仕事してるからってことですか?

ジョン:無意識のうちに「ここまでは変えていい。ここまでは変えちゃだめ」を考えつつ、「ここはもう確定です。ここはまだ柔軟性、余白を持ってます」みたいな話はしてると思うんですね。
ただ、ここまでは変えちゃだめのところも平気で返ってくることはあると思うけど、そこをカバーするのって相当難しいよなと考えていました。

はち :それはステークホルダーマネジメントですよね。

ちゃぶ台返しへの対策は?

はち :そこをひっくり返す人にはまずコラって言いたいですね。笑
基本的に「ここは守りたい。ここをどうしてもひっくり返すんだったら、ひっくり返すための必要な条件がある」ことの期待値コントロールを日頃からしていく必要があるかもしれないですね。

ジョン:そうですよね。ちゃぶ台返しって結局最初言ったように納得感が鍵。
どこを見て、なぜ、何のためにするのかだと思うんです。理由に納得がいかなかったらもちろん反論はするし、とはいえ、ちゃぶ台返しにもリスクはあることをちゃんと伝えるべきですよね。

はち :そうそうそうそう。

ジョン:今ここでゼロに戻るんだったら、これだけのリスクをはらんでますよ。それを承知の上でちゃぶ台返しするんですか?とコミュニケーションが必要ですよね。

はち :うん、そうそうそう。
不確実性のコーンじゃないですけど、工程が後ろに行けば行くほど、ひっくり返した時の影響がでかくなるじゃないですか。だからトレードオフだと思ってます。たとえ本質だとしても、今ここでひっくり返すとQCDSのどれかを犠牲にする必要があります。その犠牲を負ってでもひっくり返すべきですかっていう話ですね。
それに対して「全部大事。全部そのままでひっくり返す。」と返事されたらそれはもうコミュニケーションができない。そういう人はトップをやめた方がいいですね。笑
意思決定をする器じゃないです。

ジョン:少なくともそこで議論できないような人にはなかなかついていけない。

はち :それはもう、その人についていかない方がいい。意思決定権限を剥奪した方がいいですね。

ジョン:確かにそうですね。意思決定権限をどこに置くかっていうのは、すごい大事なポイントな気がする。

はち :そうそう。

ジョン:ちゃんと議論できる人で、ちゃんと納得感を持たせれるような人じゃなければ、意思決定権を持たないようにしてくださいという話ですね。

はち :議論できない人はアドバイザーに留まってもらって、意思決定は別の人がした方がいいですね。

ジョン:めっちゃその通りだと思います。
でも難しいですよね。下の人が意思決定持つ人に影響を与えるっていうのは。

はち :下の人でもできることはあって、トレードオフを示すことですよね。提示した上で、建設的な意見ができるかどうか。提示した上で全部やれという話になるんだったら、少なくともその場にいる人全員「えっ?」ってなるじゃないですか?

ジョン:うん、まともな人なら。

はち :そうならなかったら、その組織からは抜けた方がいいですね。大体「え?」ってなるはずで、その後に意思決定権限を委譲の議論が生まれるはず。

ジョン:意思決定権限を委譲しようの議論は普通に仕事してたらあんまり出てこないかもしれないですけど、すごい大事なポイントだと思う。そこの議論も本当は必要ですよね。

はち :うん、そうなんですよ。
ぜひ別で話したいんですけど、めちゃくちゃ意見を持ってる人が会議を掻き乱した末に、その人が意思決定権限は無いみたいな場面を色んなとこで見るじゃないですか。それは意思決定者が決まってないと起きてしまう。自他共に認める意思決定者を決めて、この人が決める前提で全部ファシリテーションした方がいいなと思いますね。

ジョン:意思決定者問題については、また別テーマにしましょう。

はち :ステークホルダーマネジメントの肝なんでどっかで話したいですね。

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キャスト

  • MC

    • はち (PIVOT株式会社 プロダクトマネージャー)
      https://twitter.com/PassionateHachi

    • ジョン (とある上場スタートアップ プロダクトマネージャー)
      https://twitter.com/john_tk120

  • スタッフ

    • 「PMのネタ帳」コミュニティーメンバー

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