良薬口に苦し

(かわせみ亭コラム#27)
 初心者向けの教材となる文章をやっと書きあげて、数人の人たちに試読をお願いした。
 いろいろな指摘が出されるだろうとは思っていたが、実際に、ここが分かりにくいあそこは難し過ぎるとの指摘を受けてみると、良い指摘をもらったと感謝するよりも、何でそこが分かりにくいのだろうかという自己弁護の感情が先に立ってしまった。 しばらく時間を置いたあとで冷静な頭で考えると、もともと原稿のできの悪さをチェックするために第三者に試読を頼んだのは自分であり、試読者からのコメントは得難い指摘として受け止めるべきなのに、それを批判的にしか受け止められない自分の度量の狭さに落胆してしまった。
 そこで気を取り直して、一旦すべての指摘を飲み込んで修正することにした。その後、改定版と初版を比較してみたが、その出来ばえには雲泥の差が認められた。
 やはり他人の苦言には聞く耳を持つ方が身のためだということが身にしみた。 良薬口に苦し、他人からの指摘は耳に痛し。

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