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ヘビー級 (79)

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拝啓

虫の音に秋の訪れを感じるころとなりました。読者の皆様はますますご清祥のことと存じます。
いつも煮込む日々を御拝読くださりまして、誠にありがとうございます。感謝の念が尽きません(感謝の気持ちが尽きることなく湧き上がって辛抱たまりませんという意味)。
おかげさまで毎度好きなことを、好きなように書かせていただいております。
さてこのたびは、少しだけもの申したいことがございます。別に胸の内に秘めておいても良いのですが、この場を借りて吐き出させてもらいたいのです。
最近のプロレスラー、小さくないですか。
いえ別に小さいからどうのというわけではないのです。むしろ小さい方が小回りもききますし、投げ技によるダメージも体重が軽い分安全だと思います。しかし、どうしても一つ気になることがあります。
最近のヘビー級のレスラー本当にヘビー級なんでしょうか。
もちろん今のプロレスも面白いです。運動神経抜群だし危険な技にも挑戦して素晴らしいと思います。しかしヘビー級のレスラーがヘビー級なのかどうなのかが疑問なのです。
渕正信という選手を知っていますでしょうか。全日本プロレス所属のプロレスラーで、全盛期はジュニアヘビー級王者として活躍ししていました。階級はジュニアでありながらヘビー級の選手に混じって試合をすることもあり、2メートル近くある外人レスラーと並ぶと凄く小さく見えたものです。この話をするとプロレスを知らない方は、ジュニアというくらいだからその渕正信選手の身長はよほど小さいのだろうとお思いになるかもしれません。しかしそうではないのです。実は渕正信選手の身長は183cm(多少のサバ読みはあるかもですが180cm以上ではある)、体重は105㎏(これもサバ読みあるかもです)もあるのです。当時の全日本プロレスは社長のジャイアント馬場さんが、なるべく体の大きい選手を集めていたため、渕正信選手は180cm超えでも小さく見えたのです。
現在プロレスラーの身長はヘビー級でも180cmない人が多いように思います。体重も軽いのでくるくると持ち上げたり回したりしながら相手を投げ飛ばしてたり出来るのです。それはそれで面白いのですが、ヘビー級なのかと思うと疑問に思います。昔のヘビー級は体重が重く、自らの体重でダメージを負うほどです。スタン・ハンセン、スコット・ノートン、ビッグバンベイダーなど、体重150㎏以上の投げ飛ばすのが難しい重い選手が沢山いました。そんな化け物みたいな外人レスラーにぶつかっていくわけですから、日本人レスラーも体が大きい選手が多かったように思います。大きければ良いというものではありませんし、体が小さい選手もスピーディーで面白いのはわかるのですが、ヘビー級とはなんなのかがわからなくなってきているのです。面白ければ良いとは思いますが、あれもこれもヘビー級だとして良いのか、疑問がわいている今日この頃です。
長々と不満めいたことを書いてしまいまして申し訳ございません。季節の変わり目です、どうぞご自愛くださいませ。

敬具

追伸 道場六三郎のYouTube、面白いですよ。

立川談吉


この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com