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部屋着 (39)

冬は寒い。それは誰もが知っている事実である。工事現場の職人さんを始め、肉屋のおじさん、はたまたデパートのエレベーターガールまで知っている。中華料理人の金萬福だって、炒飯を作りながら「ソレハアタリマエノコトヨ」と言うだろうし、山奥に祭られた神社のお狐様ですら「お主は何を当たり前のことを言っているのじゃ」と呆れることだろう。当然外に出る時は防寒具を身に付けるし、場合によってはカイロまで貼り付ける。つまり冬には冬の服装というものがあるのである。では、家の中ではどうだろう。そこまで厚着をしているだろうか。寒いのに薄着ではないだろうか。薄着ではないにしろ、充分に防寒しているだろうか。今日はそんな冬の部屋着について少しだけ煮込んでみる。

服装をどうするかは男女でかなり違うだろう。しかし部屋着に関してはそこまで差がないのではないだろうか。特に夏、ほとんどの人が男女問わずにTシャツを着ているのではないだろうか。偏見かもしれないが、8割(何の根拠もない)の人がTシャツであると考えると、夏に関しては煮込むほどのことはないように思う。問題は冬である。冬の部屋着は多種多様なように思う。特に女性はそもそもお店で売っている服の種類が多いので、必然的に部屋着のバリエーションが増えていくのではないだろうか。それに対して男性は服の種類が少ない。少ないからこそ意味もなくジッパーを変な所に斜めにつけたりするお洒落を装った服で、無理矢理種類を増やすのだ。大体あの天下のUNIQLOですら紳士服のコーナーは御婦人の半分以下の狭さなのだ。服屋において女性と男性では扱いが月とスッポン、ヨーカ堂と宝くじ売り場なのである。いや、ここで紳士服の少なさやデパートでの男性ものの扱いなどに触れるのはやめておこう。下手をすると戦争になりかねない。何もファッションのことを語りたいわけではないし、そもそもそういう知識は疎いのだから。本題は、何枚着るか、なのだ。

住んでいる地域によって部屋着は変わるだろう。北海道と沖縄では気温も違うし、何より家の造りからして真逆だろう。なので、東京について考える。東京の家は何故か寒い。筆者の家はエアコンもオイルヒーターもあるのだが、何故か寒さを感じるのだ。きっとこれは部屋着のせいなのだ。常にあと一枚着足りない感じなのだ。”じゃあ一枚着れば良いじゃない”というだけなのだが、そうではないのだ。因みに筆者は今、スウェットを着ている。”フリースでも着なさいよ!”という意見もあるが、そうではないのだ。なんか、例えフリースを着たとしても、着足りない気がするのだ。なんか寒いのだ。このなんか寒い感じ、少しは共感してくれる方はいるのだろうか。もしかしたら誰も共感してくれないのではないだろうかとも思っている。ただ、わかって欲しいのは、北国生まれの人にとって、東京は何故か寒いのである。
何処かに他に何も着なくても良い、丁度良い部屋着はないものだろうか。今モーレツにドラえもんの”あべこべクリーム”を欲している。

今年も煮込む日々を読んでいただきまして、誠にありがとうございます。良いお年をお迎えくださいね♫

立川談吉 印

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この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com