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中野の駅で (14)

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東京は連日の猛暑。連続のコロナ感染者が増えていく日々である。

そうなると必然、また仕事がいくつかなくなるのがここ1年半の出来事である。

夏の仕事がいくつかなくなる。
まぁ、元々8月は仕事が少ない月ではある(私だけかもしれないが)がやはり仕事がなくなる。というのはなんとなくリズム感が狂っていくものだ。

それに加えて親しくしていた知人が仕事の都合でまた東京を離れる事になった。
兵庫に行くそうである。

出会いがそもそも変わっている。
数年前にふらりと私の落語会に来た。もちろん落語も好きだったそうだが、その知人は広島出身で、私が一時期プロフィールにカープファンと書いていた所に猛烈に共感したらしい。

そして毎回独演会に足を運んでくれるようになり、クローズドの落語会を開いてくれたり、挙げ句の果てにはカンボジアで落語会も開いてくれた。

「兵庫でなんか企画しますよ。もしかしたら大連に行くかもしれないからその時は大連で落語会を。そして3年ぐらいで出世して東京に戻って参ります」

と。

もちろん、まずその知人の新しい人生を祝福したいし、もちろん祝福した。

しかし、この2年で明らかに集客は苦しくなった。
元々、手打ちの小さな独演会であり40人ぐらい集客できていたがここ最近は20人超えれば御の字である。

いつも来てくれている人が予約してくれると嬉しく、新しい方の名前をみると更に嬉しくなる。

要はやはり来ていただきたいのだ。

貴重な落語会のお客様が1人減る。という事はボディーブローのように効く。

それが、知人の彼を含めここ2年ぐらいで幾度もあった。

最後に彼に
「夜明け前」という日本酒をプレゼントした。

歳も近い事もありプライベートな話ももちろんたくさん

我々の人生はこれから今はまだ
「夜明け前」

お互い中野の駅で再会を誓い、しばしの別れ。
陽が昇った時にまた再会。

という、今回のお話。

※写真は彼が連れて行ってくれたカンボジア

この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com