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東京オリンピック (53)

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 4年に一度開催されるオリンピック。開催期間中は紛争も停止するこの祭り、スポーツの祭典であると同時に平和の祭典ともなっている。オリンピックを政治利用してはいけないなんて言葉もあるが、規模が大き過ぎて利用しないなんて無理なのだろう。大きなものが動けばそれに流されて小さなものが吹き飛ぶ。それを受け入れるかどうかは別だが、当たり前の世の哀しい理なのである。当然アスリートの選手達もそのことは理解しているはずだ。誰よりもオリンピックを望み、その延期に泣き、中止も考えていたはずだ。例え中止になったとしても、幼い頃からオリンピックを目標にしている選手達は、さらに4年後に向けて闘志を燃やしていたことだろうし、年齢的に次のオリンピックに間に合わない選手達は、自分の夢を後輩に託すための努力をしていただろう。正直このコロナ禍でのオリンピックには賛否あるだろうが、始まったものにとやかく言っても仕方ない。だってもうやってるんだもの。おそらくオリンピックによって何か悪いことが起こったとしたら、「ほれみたことか、だからやらなきゃ良かったんだ」と”ほれみたことか村の人達”があらゆるところで出てくると思われるが、それは詮ないことである。影響を受けている当事者の方もいらっしゃることは理解しているが、大きなものに庶民が出来ることなどないのだ。ここはもう庶民は庶民らしく、ドス黒い政治話などに関わらず、血と汗と涙で構成された純粋なアスリート達を応援しているのが一番なのだ。
 ともかくオリンピックは面白い。日本だけじゃない世界中のトップレベルの選手達が、メダルをかけて闘う姿に、胸が暑くなるのを止められない。出場するだけで凄いし、勝っても負けてもみんなが素晴らしい。勝負が決まった瞬間に積み上げてきたもの全てが溢れ出し、感情が爆発する選手たちを観ると、色々あるけれどオリンピック出来て良かったねと思わずにはいられない。みんな凄い、本当に頑張りました。

 日本だけでなく世界でもまだ終息が見えないコロナ。東京オリンピックも後で振り返ると、開催したことが失敗となるかもしれない。大きな祭りの影で大変に苦労している人達がいるのだ。そしてアスリート達も我々と同じなのである。コロナで一生懸命に生きる我々庶民と、何ら変わらないのだ。後で何がどうなるかはわからない、しかし今この瞬間だけ、人生をかけて勝負に挑む選手達を応援してあげたい。うーむ、ちょっと偽善者過ぎただろうか。とにかく頑張れニッポン、頑張れセカイ!!

この連載は±3落語会事務局のウェブサイトにて掲載されているものです。 https://pm3rakugo.jimdofree.com