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クラフトフェア落選問題

こんにちは。
木のものを作ったり革のものを作ったりしています。
PLYLIST(プライリスト)の小尾口(こおぐち)と言います。

今回の記事はクラフトフェアに応募しても落選しがちな僕が落選する理由を考えてまとめた内容になっています。
今後の応募の際の改善点を洗い出すとともに、もしかしたら作家志望の方々の参考になるかも知れないと思い、せっかくなので公開してみようと思います。

ちなみに僕はなかなか作品も売れず、生活するのが苦しい作家です。バイトしながら生活しています。
いかにクラフトフェアの選考突破率を上げて、売り上げを出していくかということを戦略的に考える必要性を感じ始めてきました。
夢と理想と憧れだけでは食っていけない、生々しいリアルと向き合っている様子をご覧ください。

2022年のクラフトフェア応募数と選考通過数の現状。

具体的なクラフトフェアの名前を挙げると選考委員の方に目をつけられそうで怖いので、臆病者な僕は名称の公表は控えさせていただきます。
応募した数は4つ。
選考通過した数は0。
選考通過率、驚異の0%

応募したイベントとは別に
運営の人から「出展しませんか」という声をかけてもらったイベントは5つ。
そのうち出展したイベントは3つ。
運営の人から声をかけてもらってイベントになんとか出られたという奇跡。

出展したイベントはどれも長野県のイベントです。
どれもいい経験になりました。
でも来年はメジャークラスのクラフトフェア、選考通過したい・・・・

落選する原因は何か。

これはあくまで個人的な想像になります。
ですが、売れっ子作家の先輩やバイト先の親方。知人友人の作家にも相談しました。
僕以外の人たちの想像も一部含まれています。
しかし、クラフトフェアの運営側、選考側の人たちの意見は入っておりませんし、聞いていません。これから述べる意見、感想、考えは正解ではないです。その辺はご理解ください。

①邪道だから

これは僕の作風を知っている人だったらなんとなく想像できると思いますが、僕は木工だけでなく、革だったり、金属を使った作品を作っています。
わかりやすく言うと、異素材をミックスすることを自分の作風としている節があります。

例えばこんなものを作っています。

金属と木を使ったコーヒードリッパー


革と木を使った名刺入れ

しかし、これは選考側から見ると「なに屋さん??」となりかねません。
応募書類はA4一枚で写真を収めるというスタイルが多い気がします。(裏技的に増やす方法もあるみたいですが。。)
書類上の少ない写真から作家の強いメッセージや魅力を掬いきれない。
「いろんなことができることはわかったけど、それで?君はどうしたいんだい?」
となっている気がします。

さらに、応募書類を書く時、「ジャンル」という欄があります。
僕はどこのジャンルで応募していいのか毎回悩みました。
とりあえず木を使った作品が多いので、一応毎回木工としていましたが、
作品紹介の欄に革の作品の写真を載っけてしまうと選考側からしたら『???』となってしまうのは当然でしょう。
この人の掲げている看板はなんなんだい?なに屋さんなんだい??
と混乱するだけ。

クラフトフェアとは工芸や民藝のルーツを持った人たちが多く関わっています。
そういう人たちからしたら僕のものづくりは邪道と見られてもおかしくないと思うのです。
少なくとも本寸法ではないです。
僕はジャンルなんてクソ喰らえでやっていますが、
応募書類の作り方、イベント出展時の作品の見せ方などでその辺の折り合いやうまくやる方法はあるのかなと感じました。

②クラフトなのか。プロダクトなのか。

これも僕の作品を見たことある人ならなんとなく想像できると思いますが
クラフト感といいますか、そういうのが他の作家さんに比べると薄いんです。
若干語弊がありますが分かりやすく言うと、「手仕事感」「手作り感」が少ないんですよね。
そして「プロダクト感」がある。「工業製品」まではいかないんですけどね。
ある人からは「都会っぽい」とか「シティっぽい」と表現されました。
邪道なことやっている上に、さらにクラフト感の薄いデザインということで選考委員受けが悪いのかもしれません。

③そもそもクラフトフェアの雰囲気にマッチしていないのでは

クラフトフェアごとに空気感と言いますか雰囲気は異なります。
それは運営の人たちの理念や思想、価値観、目的なんかによって変わります。
そして運営の人たちが出展者を決めます。
この人はうちのクラフトフェアにピッタリだ!とか、
この人はちょっとイメージと違うんだよなとか。
出展者のラインナップによってイベントの雰囲気がかなり変わるからです。
それによって客層も変わります。
つまり、僕は応募したクラフトフェアにマッチしていないと判断されたのかもしれません。

ではどう解決するか(実際にやるかどうかは別)

①応募書類の改善点

まずは選考に関わる書類の改善方法を考えました。
応募するジャンルというのを一つに選択せざるを得ない以上、僕の作品のジャンルを絞っていった方がいいのではないかと考えました。
具体的には例えば革の作品は捨てて木工一本でいくということです。
うちの定番アイテムは木工作品が多いというのと、一応木工の学校を卒業しているので。
他の素材に関しては独学なので、ぶっちゃけ競合の作家さんたちと対等に勝負できないと思っています。
普段はいろんなジャンルの作品を作っていてもいいけど、クラフトフェアの時だけ首から下げる看板を決めていく。
そしてそれで勝負する。

おそらく有名なクラフトフェアに寄せられる応募書類はとんでもない数だと思います。
その中で目立つにはわかりやすい看板を掲げてアピールした方がいいのではないかと思いました。

②クラフトフェアの選考を通過するためのアイテムを作る

僕の作風としている異素材ミックスを自ら封じ、手仕事感、クラフト感ある作品でかつ選考委員受けの良さそうなアイテムを作り、それを看板として掲げて応募する。
もしかしたらここまでやってもいいかもしれませんね。
でもここまでやったらそれは負けな気がする。
クラフトフェアの選考の通過を最終目的とするならこれをやった方がいいと思います。僕は選考に通過したいけど最終ゴールは違うのでここまではやらないかなーという感じです。
自分の理念や目標と作品がうまくすり合わせできればありですね。
あと、新しい自分に挑戦、新しい作風にチャレンジするという形でお試しでやってみるのもありかもしれません。
ただ、これやるなら屋号とかもクラフトフェア用に変えた方がいいかもですね。これまでの作風と整合性が取れないので。

③そもそもクラフトフェアの出展を諦める

もうこんなことを考え始めたら学生時代の入試を思い出すようで嫌な感じもしてきました。傾向と対策。過去問を当たってひたすら試験勉強。模擬試験。みたいになると自分はなんのために作家になったんだとふと我にかえってしまいます。クラフトフェアの出展を諦めるというのも選択肢の一つかも。

来年の応募どうするか(実際にやること)

いつか出展を果たしたい目標としているクラフトフェアはありますが、それは最終ゴールではないです。
ということで応募書類は「分かりやすさ」を重視する方針で行こうと思います。
去年と違って、定番アイテムのラインナップも増えました。
おそらく選考する人もイベントも毎年いろいろ変わると思います。
作る人も変われば運営する人も変わる。
今年落選しても来年は通過するかもしれないし、今年通過した人も来年は落選するかもしれない。
とりあえず、今できる精一杯の書類を作って応募するという当たり前の普通のことをしようと思います。
結局大して面白いこと書けてない。みんなやっていることを書いただけでごめんなさい・・・
参考にならなかったらごめんなさい。

クラフト、工芸の近い将来に思いをはせる

異素材ミックスの作家やジャンル不明の作家は間違いなく増えていると感じます。クラフトや工芸という線引きがかなり曖昧になってきていると感じている人はかなり多いのではないでしょうか。
アートなのかクラフトなのか。芸術なのか工芸なのか。はたまたプロダクトなのか。

例えば工芸都市高岡クラフトコンペティション
このコンペのグランプリや入賞した作品を見ると分かります。
例えば2022年。
僕も応募して入選したコンペですが、今回びっくりしたのは「結束バンド」を使った作品が優秀賞でした。

例えば2021年。
この年のグランプリは薪ストーブ。
しかし見た目はクラフトというよりはかなりプロダクト寄りに感じます。

そして他にも国立工芸館の2022年の展示企画に「ジャンルレス工芸展」というものがありました。
ジャンルにこだわらず、素材をいかす卓越した技術を用いた表現を楽しむというコンセプトのようです。
この展示の背景には

「交通網やインターネットの普及により、これまでの美術や工芸の概念が揺らぎ始めています。実際、最近では美術や工芸といったジャンルにこだわらずに、工芸素材と技術を用いて自身の表現を追求するという姿勢の作家が増えてきました。」

国立工芸館
https://www.momat.go.jp/cg/exhibition/genreless-kogei/

とありました。

作る人も変わってきているし、見る側、審査する側、企画する側もいい意味ラフになってきていると思います。
これまでの固定観念に縛られない、いろんな余白の使い方が許される時代が来ていると思います。

これらの流れからクラフトフェアも少しずつ変わっていくんじゃないかなと個人的には思っています。
具体的にどのように変わるのかは分かりませんが・・・
もしかしたら既存の有名なクラフトフェアはこれからもずっと今まで通りかもしれません。
しかし、その中から派生した企画として新しい工芸やクラフトの流れを汲んだものが出ることはあり得ると思います。
また、まったく新しいクラフトフェアが出てきてもおかしくありません。

そして、新しい作家(仮にポストクラフト作家と呼びます)はもしかしたらクラフトフェアという場で販売や露出はせず、他の場所を選ぶかもしれません。
その場所がどういう場所なのかは分かりませんが・・・

ちなみにそういう意味では、僕は2022年にb8ta Tokyoに出品しました。
このお店は「売らないお店」として知られる最近話題になっているサンフランシスコ発の企業です。
ガジェットから化粧品や食料品などのさまざまなプロダクトを某有名企業からスタートアップ企業まで、都心のショールームで展示しているお店です。
運よく出品する機会を得たというのももちろんありますが、クラフトフェア以外の露出する場所を探していたというのは事実です。
そして、挑戦してみました。

が、正直僕は思ったよりも手ごたえを感じることはできませんでした。
話題のお店で扱ってもらえる!という期待が大きすぎたのかもしれません。
これはいろいろな原因が考えられて一言で語ることはできないので割愛します。

とにかく、クラフトフェア以外で目立つことができて売り上げを立てる方法が見つかれば、もしかしたらそちらに流れるポストクラフト作家がでてきてもおかしくないなと思います。

今年応募したクラフトフェアの選考通過率を考えると、どうも僕は選考委員受けが悪いようです。
イベントに出展できないなら、もはや僕自身がポストクラフト作家のためのイベントを企画・運営した方がいいんじゃね?とすら思えてきました。
(イベントの企画・運営の大変さは棚上げしている)
まあしかし、それはそれでやってみたいのですが今は作りたい作品のアイデアがたくさん溜まっているので、それを形にしたいという欲求の方が強いです。

長くなりましたが2022年の僕のクラフトフェアに関する感想と考察まとめてみました。
来年も懲りずにいくつかのクラフトフェアに応募してみたいと思います。

もし僕の作品や制作、イベントの出展情報などに興味を持ってくださる方がいらっしゃいましたら
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