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+tech laboのアイディア発想研修で作ったモノ〜モノがあるって素晴らしい〜

こんにちは。+tech laboの北村です。この記事では私たちが実施している頭の体操のような取り組みをご紹介します。

北村さん

北村 侑大
販促 DM や店頭 POP、パッケージなどの設計、開発に携わる。+tech laboではその経験と開発力を活かし、IoTデバイスの開発、社会実装に取り組む。IoTに限らず、新しい技術によって人体というデバイスや生活様式がアップデートされる事を願っている。

背景

電通テックは生活者の皆様に最も近いプロモーションという領域で、企業と生活者を結ぶ色々なソリューションを提供してきました。

一社員としての意見になりますが、これからも皆様の生活のお役に立ちたいと思う反面、今までのままでは、それが難しいのではないかと考えています。なぜならば読者の皆様も肌で感じている事かと思いますが、我々の生活様式がとても速いスピードで変化しているためです。ある地点から見た「将来こうなるだろう」という予想は裏切られがちで、実際に迎えた現実は予想と乖離してしまっていることがほとんどです。なんなら昨今では新型コロナを含めた諸要因で予想と結果のずれ幅が大きくなったような気さえします。

もちろん私自身も未来を考えながら業務を推進しているわけですが、すべてを見通し、正確に予想をしたうえで提案、実施、大成功!といった流れの仕事ばかりをできているわけではございません。先述のとおり生活様式が高速で変化しており、正解の予想もなかなかつかない訳ですから、素早く社会情勢に呼応し、様々な解決策を発想しながら当たる目を探していくことが必要になってきたように感じています。

アイディア発想研修とは

前段が長くなりましたがそんな背景もあり、私が所属しております+tech laboではアイディア発想研修と題しまして、生活者視点でペインを解決するサービスを発想してみる、という訓練を行っております。この訓練ではアイディアを出しっぱなしではなく、実際にモノとしてプロトタイプを作り、プレゼンするまでを範囲としております。理由としましては大きく二つございます。

一つは「夢の企画」は描くことが容易なためです。

描くまでは容易ですが「夢の企画」の実施、実装までが弊社の業務範囲です。そのため、絵に描いた餅ではなく、実際に食せる餅が必要です。企画実施のための調査等を通じ「できそうなこと」の積み上げ、掛け合わせで現実的な「夢の企画」を作る能力を育てたい、というのが理由その1です。

もうひとつは夢を現実にした際に生じるギャップの補正です。

実際に作った時にがっかり感やコレジャナイ感があれば、そこから修正やアイディアを捨てる必要がありますし、逆にもっとこうしたらさらに面白くなるんではないか、というバージョンアップがなされる場合があります。いずれも実際にモノを目の前にして体験してみない事にはなかなかわからないため、まずはモノを作ろう、というのが理由その2となります。

研修の大まかな流れとしましては

(1)自分の使っているサービスや商品、担当しているクライアントを挙げる。
(2)上記に対し他者が「もっと○○であればもっといいのに」「××部分が気に食わぬ」といったペインを挙げる。
(3)他社が挙げたペインを解決できるプロダクトを自分で作る。
(4)プレゼンテーション。

となります。
全部で5回程度のカリキュラムです。

教材としては主にMESHを活用しております。MESHはスマホやタブレットなどを経由するため、ネット上の表に情報を記入したり、スマホに通知を送りつけるといった事が容易です。生活者視点でペインを解決するにあたり、インターネットを使いたくなる事が多い訳ですが、そのハードルを簡単に超えられる事、またプログラミングが容易な事、センサーの接続に結線などが不要といった事も有り採用しております。(私見ですが、サービスやプロダクトの試作を行う際に、ネットを介した通知や票の更新といった機能を盛り込む場合、MESHが一番容易であると思っています。)

今回の記事では直近に実施しました研修で、私が作ったサンプルをご紹介します。

北村の発想したアイディアプロダクト

(1)北村が挙げた最近使っているサービス:動画配信サービス
(2)上記に対し、他者が挙げたペイン:いつ開いても同じ画面に見える、新しい出会いが欲しい
(3)解決するプロダクト:ジャンルシャッフラー(仮称)
研修で使うテンプレートにはめたプロダクトの紹介シートがこちらです。

キャプ+

そしてモノがこちらです。

説明 1++

実際、動画配信サービスシステムを私がいじることは不可能です。

ですので画面左の緑の「MESH:ボタン」が「通知が来た」ことの代わりとなります。
右にある「MESH:GPIO」が、通知が来たことを受け、ジャンルシャッフラーを光らせたり、事が済んだら光るのをやめたりする部分を担っています。
真ん中にあるのがジャンルシャッフラーであり、GPIOから繋がっているLEDが内蔵された「台座」と、「MESH:動き」が内蔵されたシャッフラー(今回はサイコロの形で実装)となります。

動きとしては
【1】台座が光る
配信コンテンツに更新があった際に、まずそれを通知すべく、台座が光ります。

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【2】通知に対してリアクション
コンテンツの更新に気が付いたユーザーは、通知に対しリアクションをします。シャッフラーを手に取り、軽く振る事で起動し、一方で台座の光は収まります。

【3】シャッフラーを投げる
通知を消したいだけであれば、そのまま戻せば次の通知まで待機となります。しかし「何か見たい、でもいつもの動画じゃなくて新しい何かが見たい!でも決めらんない…!」感のある心理状況であればそういった想いをシャッフラーに込めて投げることができます。もちろん、通知が来ていなくともそういった心理状態になった際にはこのシャッフラーにすがることが可能です。

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【4】シャッフラーが答えを導く
すると何という事でしょう!シャッフラーはあなたの想いや重力、空気抵抗等の物理現象の力を借りての答えを導き出してくれるのです。

【5】動画との新たな出会い
シャッフラーが答えを導いたと同時にテレビの電源が付き、新しい動画と出会えるトップ画面が表示されます。(今回はLINEで通知がくる形です。)

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※補足
・今回はこちらで手を加えられない点や開発できない点を置き換えています。
・「更新があった」というイベントを「ボタンを押した」に置き換えています。
・【4】【5】は試作であるため簡易実装とし、導き出された答えはLINEで通知される事にしました。

発見

実際モノにすると発見がありました。
●前向きな発見
・スマホをポチるよりも動線が短くてよい
・モノがあることでシンプルに面白い。
・子ども(3歳)が大喜び。(子供映画6種を選ぶ際に使用)

●課題発見
・やはりジャンルが決まったと同時にFireTVを起動させたい。
・当たり前だが全く見る気が沸かないジャンルも出てくる。
・わざわざ買うか?となるともうちょいメリットが欲しい。
・LEDの主張が強すぎる。

●その他の発見
・晩飯メニュー、職場への土産決定にも使えそう。
・物理現象に由来しているためランダム感の演出が信用できる。
・自分が関わったため、結果に若干責任感を感じる。

まとめ

・いつも同じような画面が出てくる、というペインの解決はできている。
・モノとしてはありだが、有料で購入されるか?というと、もう少しメリットやエンタメ性等が欲しい。
・特にデメリットのない選択を決定する装置としてはありかも。(時短になる) 私が作ったサンプルの紹介は以上です。

私からは実際にモノを作ったり、検証したりといった手を動かして行う事を中心に紹介していければと思っております。

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このような頭の体操を行っている我々ですが、そんな我々と共に活動してみたいと思われる企業・団体の方は、お気軽にお問い合わせ頂けますと幸いです。