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“自分達が思いついたことをぶつけてみよう、まずはやってみよう” 小山 貢弘✕北村 侑大【+tech laboメンバー座談会】

+tech laboメンバーたちは、どんな思いで+tech laboに参加し、どんなプロダクトに携わっているのか? 本人たちの声を直接聞くため、座談会を行いました。今回集まったのは、小山貢弘と北村侑大の2名。進行役は所長の遊佐智明です。

「リテール」と「ものづくり」、+tech laboに参加した2人の「異能」

遊佐:今回はちょっとユニークな技能を持つ2人に来てもらいました。まずは自己紹介からお願いできますか。

小山:小山です。電通テックには当時の福岡支社で採用されました。生まれも育ちも九州なので、九州から出るつもりはなかったんですけど、3年目で東京に出向になって(笑)。そこから全く未経験だった流通の仕事を手がけるようになります。

小山さん

小山 貢弘
2007年、電通テック入社。様々な業種の小売・流通業のプロモーション・マーケティング業務に従事。小売マーケティングのスペシャリストとして外部講師なども担当。+tech labo主任研究員として「ニューリテール」「感覚化」をキーワードに研究を重ねる。

小山:やがてスマホが当たり前になってきて、ECサイトが盛り上がりを見せる中で、”リテール”に注目が集まるようになり、新たに立ち上がった「リテール開発事業部」のメンバーになりました。当時はデジタルトランスフォーメーション(DX)の黎明期で、流通企業を開拓していくうちに、識者として社外に発信したり、講師をしたりするようになって。

遊佐:人に教えるのはもともと得意だったんですか?

小山:学生時代に塾の先生はやってましたが(笑)。社内勉強会などを通じて、自分も1から勉強していきました。今はプロモーショナル・マーケター認証資格試験の教科書を書いたりしてますし、リテールの時代の波にワーッと巻き込まれていたら、ここまで来ちゃったという感じです。
そうやって自由にやらせてもらった分、新しい事業を開発して会社に貢献したい思いがあって、+tech laboに参加しました。クライアント請負ではできない、自分の理想型を形にできたらいいなと思っています。

遊佐:小山君はリテール周りの知識が非常に豊富で、面白い仮説もたくさん聞かせてくれますよね。活動を言語化して体系化していくという面でも、+tech laboに貢献してくれる人物だと思っています。

北村:次は私ですね。北村です。学生時代はペーパークラフト作家になりたかったんですけど、それじゃ食べていけないなと早々に気づきまして。なにかしら面白いものを作って暮らせたら、という思いで入社したのが電通テックでした。

北村さん

北村 侑大
販促 DM や店頭 POP、パッケージなどの設計、開発に携わる。+tech laboではその経験と開発力を活かし、IoTデバイスの開発、社会実装に取り組む。IoTに限らず、新しい技術によって人体というデバイスや生活様式がアップデートされる事を願っている。

北村:入社後は特殊印刷とかグリーティングカードなどの特殊な加工物に関わって、「電車をラッピングしたい」みたいな不思議な案件が出るたびに現場と一緒に作ったりしてましたね。3年目からは主に販促物を製作していて、ルーブ・ゴールド・バーグマシン(ピタゴラ装置)を作ったこともあります。企画は通ったけど作れる人がいなくて、自分に回ってきたという(笑)。

遊佐:(新型コロナウイルスによる自粛で)リモートワークの期間に作ったボタンも面白かったよね。押すと「おはようございます」ってMicrosoft Teamsのスレッドに書き込まれるボタンを作った(笑)。

北村:ありましたね。家でもずっとものづくりの研究はしてるんですよ。技法とか仕掛けとか、自分の中に引き出しを増やしておきたいんです。最近は材木を切って歪ませることにハマっています。

北村:今年の1月に+tech laboにジョインしたのも、何かしら新しいことがしたかったからですしね。紙の販促物が全体的に縮小傾向なこともあって、弊社の発展のためにネタを作れないかと。

遊佐:どんどんアイデアを出して、何でも自分で作って先に進める人なので、小山君と組んだら良い化学反応が起きるんじゃないかと今からワクワク期待しているんです。ちなみに、2人はどっちが先輩でしたっけ?

小山:僕ですね。実年齢で2歳くらい上?

北村:そうです。僕の方が先輩っぽい顔してますけど後輩です(笑)。

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ハプティクス(触覚)技術:コロナ禍で失われた「触れあい」を再現する

小山:私が現在進めようとしているプロジェクトの1つが「ハプティクス」を用いた取り組みです。触覚技術(haptic technology)とも呼ばれるものですね。

ハプティクス
振動や衝撃などを利用し、触覚を通じて情報を伝達する技術分野。タッチで入力が行われたことを振動で示すといったユーザーインターフェースのほか、VR空間で物に触れた感触を実際に再現させるなど、幅広い活用が期待されている。
https://plustechlabo.jp/projects/tech-development/

小山:コロナ禍では、スポーツ中継や音楽ライブなどの動画配信が盛んになりましたが、同時に物足りなさも感じた時期だとも思います。視覚や聴覚だけでは情報が足りない、そこで、「触覚」(ハプティクステクノロジー)を加えて、視覚+聴覚+「触覚」で新たな視聴体験を提供できないかと考えています。

ライブ映像を観戦するときに、ベースやドラムの響きがカラダに振動で伝わったら、没入感も高まるかなと。

北村:小山さんはSHISHAMOの大ファンですからね。

小山:最近はライブがなくて気分が沈んでるんですよ……。

遊佐:肌の温もりや触れ合いへの飢餓感を「スキンハンガー」と言うと聞きました。それがコロナ禍で加速していると。その飢餓感を埋めるデバイスには、チャンスを感じますね。

小山:ハプティクスはリテールにも応用できます。店頭で商品を買うとき、見るだけの場合より、触れた場合のほうが購買率が高いと言われているんです。ECサイトなんて、まさに商品が触れない場面じゃないですか。ハプティクスによって手触りを疑似体験できたら、購買率も大きく変わるのではと思います。

北村:ひとくちに「触覚」といっても、体中に触覚はありますよね。「VR空間で肩を触られたことを感じる」とか、どこで触覚を覚えさせるかでいろいろ広がりそうです。

遊佐:やっとラボらしい感じの会話が出てきて、ホッとしました(笑)。 アカデミックな分野とのつながりは、これから開発を進める上でも、とても大切にしていきたいことの1つですね。

IoT Project:企業と生活者の「ハッピー」を交換する

北村:企業とエンドユーザの接点として、IoT(Internet Of Things)を活用したサービス開発を行っているのが、私が担当している「IoT Project」です。

IoT Project
あらゆる場所で買い物が可能になった今、企業が生活者と接点は多様化、複雑化してきています。生活の質を向上するサービスを提供し、なおかつ生活者目線の情報を得る接点として、IoTを活用したサービスを提案。課題の発見からプロトタイピング、PoCまでの一連の流れを提供します。
https://plustechlabo.jp/projects/tech-development/

北村:例えば、「SMART BEER STOCKER(仮)」は冷蔵庫内で冷えているビールの本数をスマホで確認できるデバイスです。会社から帰って冷蔵庫を開けたらビールがなかった、なんて悲しいじゃないですか。帰宅途中に「ゼロ本です」と通知してくれたら、どこかで買って帰ることができる。購買行動を把握できれば、企業側は広告やクーポン発行なども可能になります。生活者と企業、双方に嬉しいことがあるんです。
他にも、「ペットボトルに装着し水分の摂取量を記録できるデバイス」や「食べるペースに合わせてお米が自動で届く米びつ」など、企業と生活者の「ハッピー」を交換するデバイスを提案しています。

小山:お米なんて運ぶのも重いし、品種と好みをデータ化すればレコメンドもできそう。

北村:あとは、どの食品メーカーが広告主になるかで商材も変わるので、シリアルのメーカーが広告主になってくれたら、お米がシリアルに変わりますけど(笑)。 小売店やECサイトが広告主になれば、購買行動の誘導先も変わりますし。

遊佐:IoTプロダクトを通じてワン・トゥ・ワン・マーケティングを実現していく。早くプロトタイピングも進めたいですね。

北村:そうですね。本来は高速でプロトタイピングを回して、たくさんの打席から何本ホームランがでるか試したいところですが、それもなかなか難しいですから。小さくてもいいから具体的な実績を積み重ねて、足固めをしていけたらと思っています。

未来は誰にも分からない。だから、やってみる。自分たちで創る

遊佐:最後に、ここまで読んでくださった方に向けて、二人からメッセージをお願いします。

北村:そうですね……。コロナ後の「ニューノーマル」の時代については、誰も正解を持っていないわけですが、だからといって手をこまねいてはいられない。失敗から学ぶつもりで、一緒にいろいろやってみませんか? とお伝えしたいですね。

小山:明日がどうなるかわからない世の中だから、自分達が思いついたことをぶつけてみよう、まずはやってみよう、という動きはやっぱり必要で、その相手に僕らがなれるのかな、なりたいなと。

北村:思いを僕らにぶつけてもらってね。僕らもぶつけ返すという(笑)。

小山:色んなキャラもいますし(笑)。 組織の中で「自分の力だけではできないけど、これをやりたいんだ」という熱い思いを持っている方と、一緒に仕事ができたら楽しいだろうなと思います。

遊佐:最近思うのは、改めて「本気」であることの重要性が増してきているのではないか、ということです。真顔で言うことでもないんですが…。
本気で取り組みたいテーマに対して、本気のチームメイト達と、覚悟をもって取り組んでいく。正解の無い、逆に色々な答えがあってもいい世の中に対して、僕らの取り組みを本当に皆さんに使ってもらいたいサービスやプロダクトとして生み出していきたい。そのためには、様々な方々ともつながっていきたいと考えています。

前編で紹介した3人、今日話を聞かせてもらった2人と、+tech laboにはユニークで力のある人材が集まっています。エネルギーを束ねてどんどんチャレンジして、自分達の力で未来を創っていきたいですね。