見出し画像

+tech laboは「テクノロジーで生活者のしあわせを実装する」【所長に聞く】

+tech laboが掲げるステートメントは、「私たちはテクノロジーで生活者のしあわせを実装する研究所」という言葉で締めくくられています。

「テクノロジーでしあわせを実装する」とは、どういうことなのでしょう? そもそも+tech laboは、どのような思いから立ち上がったのでしょうか。所長の遊佐智明に、改めて+tech laboの成り立ちや、目指す姿について話してもらいました。

遊佐さん2

遊佐 智明
2001年、電通テック入社。大手飲料メーカーのプロモーションを中心に活動。2018年4月より +tech labo 所長。OMO 時代の購買行動デザインをテーマ に、プロモーションにテクノロジーをインストールし、 人々にしあわせを届けるべく奮闘中。

物の買い方が変わった。プロモーションはそのままでいいのか

+tech laboが立ち上がったのは、2018年のこと。その背景には「購買行動の変化」が大きく関係しています。

これまで、物を買うことは店頭という購買地点における「点」での行為でした。
しかし、インターネットやスマートフォンが普及した現代社会では、「商品を知る」「自分で検索する」「友人に薦められたり口コミで人気のモノを買う」「買ったあとにその体験を評価としてシェアする」というように、生活者と商品とのコンタクトポイント(接点)が多点化・多様化しています。当然、購買行為そのもののあり方も変わりますし、プロモーションの役割も変化します。そして、それを下支えするテクノロジーの存在も無視できません。

例えばこれから5年後、2025年にはどんなテクノロジーが一般的に普及していて、どんな新しいサービスとして提供できるのか。これを自ら主体的に調査・研究し、アイデアや仮説をもとに具体的に「社会実装」することにチャレンジしたいと立ち上がったのが未来のビジネスを構築・開発することを目的とした開発型組織「+tech labo」です。

IoTの活用で暮らしを「OMO型」にアップデートする

+tech laboは「私たちはテクノロジーで生活者のしあわせを実装する研究所」を、ステートメントに掲げています。それを可能にするのが「データ」です。生活者との接点からさまざまなデータを取得し、それを分析・活用することで、より良い体験として還元していく。これにより、暮らしをオンラインとオフラインがフリクションレスにつながるOMO(Online Merges with Offline)型にアップデートする、という設計思想を持っています。

具体的な例を挙げましょう。開発中のIoTプロダクトの1つに「SMART STOCKER(仮)」というものがあります。

これは冷蔵庫内に設置するIoTデバイスで、冷えているビールの本数をスマホで確認できる機能を持っています。帰宅途中にスマホを見れば、「家に帰ったらビールが冷えてない」といった、日常の小さなストレスを解消することができますよね。

同時に、このデバイスは「誰がいつ・何本・どのビールを飲んだのか」という行動データも把握できます。これを活用すれば「お気に入りのビールのクーポンをスマホに発行する」など、生活者の実態に沿ったサービスの提供が可能になるでしょう。

冷蔵庫の中という新たな「接点」から、より良い「体験」を生み出し、そこで得た「データ」から新たなサービスが生まれる、というわけです。

よく驚かれるのですが、電通テックでは年間1億個以上ものプレミアムグッズ(景品)を作っています。私もかつては飲料メーカーの担当で、キャンペーンやプレミアムグッズの企画、製作を数多く手がけてきました。当社が得意とする「モノヅクリ」の力を活かし、景品のIoT化によって、生活者のより良い暮らしづくりに貢献したいと考えています。それが長期的には生活者と商品を結びつける新しい消費の形、LTV(ライフタイムバリュー:顧客生涯価値)の最大化にもつながっていくと考えています。

電通テックだからこその価値を創造し、これからのプロモーションを開拓する。+tech laboのステートメントには、そうした思いが込められています。

このチームで未来を作る

開発型組織ということで、従来のクライアントワークとは異なる部分も多く、ある種の自立自走が求められます。それぞれに張り巡らせたアンテナに反応する日々の暮らしの中での気づきや、当たり前を疑う視点をヒントに課題を発見し、仮説を立てる。リサーチによる仮説の裏付け、サービス設計、プロトタイピング、実験、検証、と、社会実装のための長く広範なプロセスの全てに関わり、その多くを自分たち自らが中心になって推し進めていかなければなりません。

手探りで道を切り開く中で、メンバーたちが新しいツールや思想を持ち込んでくれることもあります。彼らの能力を引き出せるように目を配りつつも、私自身、日々アップデートされていると感じます。

このメンバーで未来をつくる……と、言葉にすると大げさですが、本心からそう思います。社内外の様々な方たちとつながりながら、自分たちの手で新しいものを生み出していく。今、ようやくその手応えを感じているところです。

プロモーションはデータに裏打ちされた「提案型(プロポーザル)」へ

+tech laboでは、現在プロトタイプの実証実験を行っているプロジェクトがあり、リリースに向けた大詰めの作業に入っています。

他にも、Z世代(現在10代~20代前半)との体験価値共創プロジェクトであるBoys Beautyや、ハプティクス(触覚)技術を応用したプロトタイピングなど、複数のプロジェクトも並行して動いています。

日々膨大な情報を受け取ることを余儀なくされている現代社会において、私たちが提供すべき次世代のプロモーションは、データに裏打ちされた寄り添う形の「提案型」であるべきだと考えています。
それぞれの生活者1人1人にとって、最適な情報を最適なタイミングで提供し、本当に欲しいものを手にすることができるように。新たな時代のプロモーションをプロポーザルで実現できるよう、+tech laboでは引き続きその挑戦を続けて行きます。