見出し画像

Bリーグ2022-23シーズン決算の読み方①売上

はじめに

 本日、Bリーグ2022-23シーズンの決算概要が発表されました!今回からは、Bプレミア審査もありますます注目が集まるこちらの決算について、特筆すべきポイントをまとめていきます。初回の今日は”売上”がテーマとなります!

1.全クラブランキング

 こちらが全クラブのランキングです。参考に前期数値及び増減、順位も記載しています。

売上ランキング

トップはA東京

 前期比43.1%増加のアルバルク東京がトップ!26.9億の売上の内、実に22.4億がスポンサー収入と今季もスポンサー収入が多額となっています。代々木第一に移転して初のシーズンでしたが、無料招待も多く入場料収入は2.9億に留まりました(B1平均2.7億)。平均入場者数は6,065人とリーグ全体2位の好記録でしたので、2023-24シーズンは単価の上昇が期待されますね!

4クラブが20億超え!

 トップのA東京をはじめ、千葉J、琉球、川崎の合計4クラブが20億円を超える売上を計上しました。2021-22シーズンに千葉JがBクラブとして史上初の20億超えを達成しましたが、複数のBクラブが同時に20億超えを達成するのはこの2022-23シーズン決算が初の快挙となります。

琉球がBクラブ初の入場料収入10億超え!

 驚くべきことに琉球は入場料収入だけで10億超の計上額となりました。2022-23シーズンにおける入場者数の合計は238,176人(RS+CS)ですから、入場料収入(1,014,661千円)÷入場者数(238,176人)=チケット単価(4,260円)と、常に満員状態を継続しつつ高単価で興行を行う事が出来ています。上記の計算式はあくまでチケット単価の算定なので、入場料収入に物販収入(332,929千円)を加えた金額で客単価を算定すると5,657円となります。
 先行して夢のアリーナを開業させ、あらゆる点でロールモデルとなっているキングスですが、夢のアリーナが10以上日本国内に竣工する2020年代後半において、キングスのようなクラブも10以上存在する世界を想像すると、本当にBリーグが優良ビジネスとして社会全体に良い影響を与えてくれるのではないかと、期待に胸が膨らみます。

増加率上位は川崎、滋賀、京都、佐賀

 約70%以上の前期比増となったのが4クラブ。中でも佐賀はSAGAアリーナ開業はプレーオフ初戦だったので、アリーナ効果は限定的になると見込んでいたので前期比2倍超の7.0億円は正直驚きました。Bプレミア入会審査は2023-24シーズンにおける売上12億円&平均入場者数4,000人が必要な2次審査で入会が締め切られるという声も小さくない中ですが、平均入場者数は本日現在4,513人で全体11位。アリーナには不安要素はないので、あとは売上5億円増加のみ。スポンサー企業やブースターの熱量が、一歩一歩着実にBプレミアへバルーナーズを押し上げている感じがします。

前期比増加の三河が順位を7つ落とす

 三河は前期比約+4%で14.3億円を計上していますが、これでも前期の5位から当期は12位まで順位を7つ落としています。この事から思うのが、Bリーグは急速に発展しており現状維持は相対的には後退なのだ、という事です。2016-17シーズンにおける売上10億超えクラブは2クラブのみでしたが、この2022-23シーズンは17クラブ。B1平均は14.2億です。売上10億は目立たない規模感の数字になってきています。

前期比減収は富山、神戸、香川の3クラブのみ

 想像は出来ましたが36クラブ中、前期比減収は僅かに3クラブでした。中でも意外だったのは神戸です。2023-24シーズンよりホームタウンを神戸に移転しBプレミア参入を狙っているクラブなので、12億円に近づくためのステップアップのシーズンかなと思っていました。

2.Bプレミア参入の観点から

 最後に、Bプレミア基準にあてはめて各クラブの決算を見てみましょう(文字数の観点から百万円単位に変えています。見づらくてスミマセン。。)。

Bプレミア基準へのあてはめ

 念のためですが審査は終了した2022-23シーズンに加え、進行期の2023-24シーズンまでを対象としていますので、上記の数値にて審査が行われる訳ではありません。あくまで、2022-23シーズンの決算数値を審査基準にあてはめたら、という仮定の話になります。

17クラブが12億超え!

 正直ここまでとは思いませんでしたが、12億を超えたのは17クラブ!また、やはり多くのクラブがTo B事業のスポンサー収入を最大の収入源とする状況は変わりませんが、入場料収入10億超えを果たした琉球をはじめ、5.8億の千葉J、5.2億の川崎、4.8億の宇都宮と、To C事業でここまで収益拡大を果たしたクラブが出てきたのはかなり大きいと思います。しかも、いずれも夢のアリーナは開業前なので、開業後の未来の収益が楽しみでたまりません!

B.ONE基準充足は31クラブ!

 目をB.LEAGUE ONEに移すと、何と31クラブが基準である4億超え!当然売上だけでなく債務超過解消や黒字計上など、充足すべき指標は他にもありますが、やはりトップラインが順調に成長するというのは企業経営において最重要だと思います。コスト側の調整や資本政策などは後で考える事なので、まだまだ成長期にあるBリーグ市場においてはこのような状況はむしろ好感されるべきでは、というのが私見です。

現Bリーグは全クラブB.NEXT基準2億超え!

 売上高36番目の青森も2.3億ということでB.NEXTの基準である2億を超えています。これも地味ですが大きいと思います。逆に言うと、現B3にはほぼ確実に2億未満のクラブが複数あると思いますし、進行期の2023-24シーズンの予算上も2億未満で編成されているところもあると思っています。
 B.ONEの入場者数基準として仮ライセンス1,500人というのが今シーズン初頭にアナウンスされましたが、財務基準についても将来の改善計画の提出を条件に仮ライセンス付与があるのかどうかは、個人的に注目しています。名前を出すのは申し訳ないですが、シーズン前にスタッフの大量離職があった金沢、平均入場者数258人で過去最多入場者数も386人、未だにホームアリーナが決まらないしながわ、この2クラブについては、特に会社としての未来が危ないと思っています。

3.終わりに

 今回は売上全体を見てきましたが、入場料収入、スポンサー収入、物販収入、ユーススクール関連収入、配分金、その他収入、と内訳についてもまだまだnoteに書いていきます。特に入場者数や勝率など、非財務的な定量情報と掛け合わせた分析は面白いものが多いと思うので、少しでもBリーグビジネスに関する情報を多く発信させて頂きたいと思っています。


この記事が参加している募集

Bリーグ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?