見出し画像

三日目。商談の時

商談に向かうため、朝早くから身支度を整えた。急に決まった商談のため、準備が不十分で、よれよれの白いTシャツをどうにか見せかけだけでも整えようと必死だった。ネパールいつもの朝を感じながらも、気持ちは緊張と期待が入り混じっていた。

タクシーに乗り込み、街中を抜けてパートナーを迎えに行く道中、車窓から見えるネパールの風景が目に入る。いつも通り流れる時間とともに、今日の商談が成功することを願いながら、頭の中で話す内容を再確認した。
(ここで情けないくらいの英語力にもっと勉強しておけばよかったと今更ながら思うと同時に、ネパール人のパートナーの有難さが身にしみる)

約1時間後タクシーは商談先の会社に到着し、ゆっくりと車を降りた。窓からたくさんの女性が顔を出し出迎えてくれた。活気に満ちたスタッフたちの姿が印象的だった。

案内が進む中で、担当者は会社の歴史や成長過程について丁寧に説明してくれた。どのような事業を展開しているのか、今後のビジョンについても詳しく話してくれた。彼らの情熱や自信が言葉の端々から伝わり、こちらも自然と気持ちが引き締まった。

案内の中で特に印象深かったのは、30年もの長い間、村の貧困女性の課題に取り組んできたという話だった。その会社は、女性たちが少しでも豊かに暮らせるように、様々な仕事のスキルを教え、経済的な自立をサポートしてきた。単なるビジネスを超えた、地域社会への深い貢献と情熱が伝わってきた。

ドイツへ輸出する商品

女性たちの未来を切り開くための取り組みが、ここで生き生きと続けられていることを知り、その姿勢に心から感銘を受けた。この商談が単なるビジネスの枠を超えて、私たちにも何か大きな影響を与えてくれる予感がした。

案内を終え、ついに社長室へと通された。ドアが開くと、落ち着いた雰囲気の部屋の中で、笑顔で社長が迎えてくれた。彼の姿を目にした瞬間、これまでの努力や準備がすべてこの瞬間のためにあったのだと感じた。

社長は笑顔で手を差し出し、握手を交わした。その握手には、これからのビジネスパートナーシップへの期待と信頼が込められているように思えた。彼の眼差しからは、経営者としての鋭さと、地域のために貢献し続ける情熱が感じられた。

面会が始まり、社長自らが会社のビジョンや今後の展望について熱心に語り始めた。彼の言葉一つ一つが、この企業の未来を見据えた堅実な計画と、社会的な使命感に満ちていた。

私が事業について話し始めると、社長は真剣なまなざしで耳を傾けてくれた。その姿勢は、私の話をただ聞くだけではなく、深く理解しようとしていることが伝わってきた。彼の視線の中に、私のビジョンに対する敬意と、真摯な関心が感じられた。

社長は、私の事業が抱えるであろう課題についても率直に語ってくれた。これから直面するであろう困難や、克服すべき障壁を考慮に入れるよう助言をしてくれた。その言葉には、単なるビジネスの枠を超えた実践的な知識と経験が込められていた。

それでも彼は、今のネパールには私の事業が必要になるかもしれないと、背中を押してくれた。その一言に、私の心の中にあった不安が少し和らぎ、この国で新たな挑戦をする勇気が湧いてきた。

商談の終わりには、社長から貴重な言葉をいただき、私の気持ちは一層高まった。彼の激励とサポートの言葉に勇気をもらい、次回の渡航にはネパールで作成したサンプルを持参することを約束した。

最後には、社長から『協力する』という力強い言葉をいただき、これ以上ない収穫を得たと感じた。この言葉が私の心に深く刻まれ、今後の挑戦に向けたエネルギーとなった。これからの展開が楽しみであり、実現に向けて一層努力を重ねる決意を新たにした。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?