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アマゾンプライムお薦めビデオ③ 134 :結局観てしまった!そして唸ってしまった『グリーンバレット 最強殺し屋伝説国岡[合宿編]』

前回のこのマガジンでは『最強殺し屋伝説国岡[完全版]』を紹介したが、その続編でもある『グリーンバレット 最強殺し屋伝説国岡[合宿編]』を有料ではあるが観てしまった。そして後悔はない。むしろ満足し、感動している。

この映画、アイドル映画であり、アクション映画であり、バイオレンス映画でもある。つまり、我々中二病男子(というかおじさん)が期待するすべての要素を満たしている映画である。そしてそのすべての要素が中二を高二、さらには大二レベル、社会人二年目レベル、中年二年目レベルにまで引き上げている。そう、つまりはいい大人が観ても、というか中二病を引きずっているという意味でいい大人ではない大人が観ても、決して損はない傑作である。

前回のこのマガジンにも書いたように、この映画、当初のタイトルは『ミスマガジン、全員殺し屋』だった。事実、今回は殺し屋の国岡は主役ではない。主役はミスマガジン2021年度の受賞者6名のグラビアアイドル達である。そして、今回はもはやフェイルドキュメンタリーでもない。いわゆる「劇場映画」として完成している。アイドル達はアイドルとしての芸名ではなく(つまり、本物のミスマガジン)としてではなく、それぞれに役名が与えられている。つまり映画の上ではそこにいるのはアイドルではなく、アイドルが演じる殺し屋になろうとする(ならされている?)女の子たちなのである。

こうすることが良かったのか、前作同様、フェイクドキュメンタリーとしてアイドルがアイドルのまま殺し屋になるのが良かったのかは賛否両論あるであろう。しかし、個人的には、今回の阪元監督の判断は正しかったと考える。アイドルが実は殺し屋でした、という設定は、どうしてもフェイクドキュメンタリーの「フェイク」の部分を強調してしまうからである。で、あれば、アイドルが殺し屋を演じるという無理さのほうにこそ我々は「リアル」を見て取ることができる。彼女らはあくまでグラビアアイドルではあり、俳優(女優)ではない。はっきり言って演技は下手である。『ベイビーわるきゅーれ』の主演の二人とはそこが違う。と言っても決してこの二人と比較して、ミスマガジン達を下に見ているのではない。アイドルだからこそできる立ち位置、というものがあり、彼女達は見事にその立ち位置をこなしている。

「アイドル映画」というジャンルがあるとすれば、今となっては大女優であり大歌手(故高橋幸宏氏も所属していた伝説の音楽ユニット「Pupa」のメインボーカルが彼女であった)でもある原田知世氏のデビュー作、大林亘彦監督の『時をかける少女』がまさにそうであったように、演技が問題ではない。重要なのはまさにアイドル性としか言いようのないその存在感なのである。正直、今回のミスマガジン2021の6名は、この作品においてはそこまでのインパクトは残せていないかもしれない。しかし、その芽というか可能性は十分に残している。あの『あまちゃん』のGMTのメンバーがその後個々に活躍していったように、この6名の中から、今後、誰が出ていくのか。それに期待できるし、その「芽」を決して摘むことなく、むしろ大切に育てているのがこの映画でもある。そしてそれを見守っているのがフェイクドキュメンタリーの「フェイク」ではない「ドキュメンタリー」部分を担っている国岡、であるという点もうまくできている。フェイクなのかドキュメンタリーなのか、そんなのはもはやどうでもいい。ドキュメンタリー(事実)であってもフェイク(虚構)であり、フェイク(虚構)であってもドキュメンタリー(事実)であるという時代に我々は生きているのだから。そして「映画」という装置はまさにフェイクをリアルとして見せる装置であると同時に
リアルをフェイクとして見せる装置なのである。



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