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キズナちゃん(#KZN)という集合知性

2月26日に行われた「#kzn 1st live "play with me" 」をSPWNで生視聴しました。音と映像(というか空間)が展開するなかなかスゴイ演出でした。次回は是非これをVRとして3D空間で見たいものです。

さて、この「キズナちゃん」こと「#KZN」ですが、「キズナアイがスリープしている間に、みんなをつなげるハブ役として、 キズナアイとクリエイターをサポートする歌唱特化型AI」だそうです。つまりキズナアイ自体は、あくまで「バーチャル」という形ではありましたが、ひとつの人格、一つの存在であったのに対し、こちらのキズナちゃんはあくまでAI、姿かたちを持ったAIという位置づけです。事実、今回のライブ中も、いわゆるMC的なことは一切行いませんでした(つまり歌は歌っても話はしなかったということ)。途中質問に答えるコーナーがあったのですが、そこでも敢えて合成音声と分かる形で質問に対し一言答えがあっただけです。

しかし、それが、というかそれだからこそいいと言えるでしょう。キズナアイの分裂騒動とその後のごたごたはまだ記憶に新しいですが、そこで確認できたのはファンは、キズナアイを一人の存在として、一人のアイドルとして見ていた、ということです。だからこそ「分裂」となると「えっ、違うだろ」となるのですが、その点キズナちゃんはキズナアイの分裂体ではありません。というか基本的にいわゆる「命」はない存在です。では、そのような存在に対し、ファンというものは付き得るのか、ファンというものがある意味感情移入を行う存在だとしたら、ファンはキズナちゃんにどうやって感情移入できるのか、その意味で、このキズナちゃんは極めて実験的な試みであるとも言えます。

そしてそこでのキーワードとなってくるのが「ハブ」という言葉ではないでしょうか。そう、今までのアイドルはアイドルのほうがファンの心に、その心を形成する一部、一要素として入ってきました。しかし、キズナちゃんの場合はある意味その逆だと言えます。ファンのほうがキズナちゃんに入っていき、ファンの方がキズナちゃんを構成する一部、一要素になる/なれるという意味でです。

事実、今回のコンサートで使われた楽曲も、基本的には「#KZN」という音声合成ソフトを使ってファンが作ったものでした。またステージ演出もSTYLYのコンテストで選ばれた人たちが行っていました。振付もまた別の人が行ったとのことです。つまりファンというかキズナちゃんに思い入れのある人達が作り上げたのが今回のキズナちゃんであり、キズナちゃんのライブなのです。

Web2.0ということが言われ始めた時によく「集合知」という言葉が使われたました。それをもじれば、今度のWeb3.0の時代に生まれたのがまさに「集合存在」「集合知性」としてのキズナちゃんだと言えるでしょう。だからこそキズナちゃんは変化、変身できるし、可能性に満ち溢れているのです。いわゆるアイドルの場合(バーチャルアイドルであるキズナアイも含め)、アイドルであるが故にこれはやってはいけない、これをやるとファンが離れてしまうという縛りがどうしても出てきます。しかし、キズナちゃんはその意味で自由です。キズナちゃんには決まった音楽ジャンルはありませんし、決まったスタイルもありません。何をやってもいいし、何をやっても許されるのです。

ということで、このライブ、今後も定期的に続いていくことを期待します!

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