第4部 XR論=空間論:「実存」から「実在」へ(16)
16. (もうすでに何度目かの)サルトル再考
そしてそのように考えると我々は、サルトルの言うところの「実存主義」をまた新たな視点から、より現代的な視点から、捉え直すこともできるようになるだろう。サルトルは「実存=現実存在」主義を唱えながらも、そこで目指されていたのは「では、どう生きるか」という「本質存在」としての人間のあり方であった。その点にある種の矛盾というか、謎があったのであるが、しかしそれが矛盾であり謎となるのは、やはり、我々が「存在」=モノと「認識」というものをどうしても分けて考えてしまうから、その二元論から逃れられないからであった。そしてそれから逃れるべく提案、あるいは採用されたのが現象学であることはこれまでに見てきたとおりである。
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主に2022年から2023年3月頃までに書いたSF、アニメ、アバター(Vチューバー)、VR、メタバースについての論考をまとめました。古くな…
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