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SF名作を読もう!(8) 『三体Ⅲ 死神永世』

前回『三体』を紹介しましたが、今回紹介するのはその3部作=最終作である『三体Ⅲ 死神永世』です。

と書くと「Ⅱはどうした?」と言われそうですが、もちろんⅡもいいですが、個人的にはⅠとⅢが傑作です(でも、もちろんそのためにはⅡも読んだ方がよいに越したことはないですが)。これは書いてもネタバレにならないと思うので書きますが、訳者あとがきには作者の言葉として次のように書かれています。

「出版社と私の到達した結論は、第三巻が市場で成功することはありえないので、既存のSFファン以外の読者を取り込もうとするのは諦めるのが最善というものだった。かわりにわたしは、ハードコアのSFファンを自認する自分自身にとって心地よい”純粋な”SF小説を書くことにした。」

しかし、SFファンをなめてはいけませんし、一般読者もなめてはいけません。ハードコアSFであるからこそこの作品はSFファンだけではなく、広く一般にも最高のSF小説として受け入れられ、人気が出ている(実際に売れている!)のです。

では、改めてSF小説とは何か?現時点での私見ですが、それは時間と空間の可能性、そのあり得なさとあり得さ(もっともらしさ)というテーマに集約されるかと思います。時間とはいわゆるタイムトラベル、タイムトリップもので、空間とは主に宇宙のことです。この両者、どちらも無限であり、どちらも謎だらけであります。そしてこの作品ではその両者がまさに度肝を抜くスケールで目まぐるしく展開されます。特に後半、読者は「スゲー!」の一言を発し続けることになります。

ということですべてのSFファン、そしてSFを知らない人にもこの『三体Ⅲ 死神永世』は是非お勧めです。第1作目の『三体』で十分満足している人も多いかと思いますが、是非、ここまで足を延ばしてみてください。まさに何次元も上の次元の世界をみることができます。お薦めです!

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