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「Dolby Atomos for headphones」 所感:映画であれば、まだ疑似サラウンドで十分なのでは?

先日、新しくDTM用のラップトップPCを導入した件を書きましたが、そのPCがDolby Atomos for headphones に対応していたので、それを使ってみた後、メインで使っているPC(=映画鑑賞用のテレビモニタにもつながっているPC)にも「Dolby Access」を導入してみました。

Dolby Atomosに対応するスピーカーシステムが整っていないので、ヘッドフォンで楽しみましたが、確かに音の広がりというか方向性は凄いです。しかし、ここがヘッドフォンの限界でしょうか、やはり「耳元感」は否めません。ヘッドフォンでは(もちろんレベル=価格によって違いはあるのでしょうが)、Dolby Atomosの本来の魅力である空間の広がりを感じるには、まだ限界があるようです。やっぱり「空間」を感じるのであれば、現実的に空間を作ること、つまりはそれに対応したスピーカーシステムの構築が必要なのでしょう。しかし、実際に聞き比べたわけではありませんが、そうであれば、サラウンドスピーカーを設置するだけ、つまりは疑似サラウンドであっても十分な気もします(こちらの記事もご参照ください)。Dolby Atomosか疑似サラウンド化という問題は、音ではなく映像で例えるととFull HDと4Kの違いくらいではないでしょうか。確かに、4K、さらには8Kの映像は凄いですが、今現在、それで見る価値のあるコンテンツというものは限られていますし(映画版、フルCGアニメの「スーパーマリオブラザーズ」はそれで見たかったかも)、同様にDolby Atomosを使って見る(聴く)コンテンツは量的にもまだ限られています。さらには、コスト的にも、本格的なDolby Atomosの空間をスピーカーを使って構築するにはかなりの金額がかかりますし、賃貸暮らしであれば、どうしてもお隣さんや上下の階への音の迷惑というものも気にしてしまいます。私の場合、二拠点生活を楽しんでおり、「別宅」と呼んでいる田舎の家の方は隣の家との距離も十分にある一軒家なので、夜中でもない限りは近隣への音漏れはそう気にしないでいいのですが、一応のメインとして時間的にも長く生活するところは賃貸なので、音を楽しもうと思えば(いい音、即ち大きい音で聞こうと思えば)どうしてもヘッドフォンに頼らざるを得ません。そしてWindows PCの場合、わざわざ「Dolby Access」を導入しなくても「Windows sonic for headphone」というのが標準で付いており、これはいわゆる疑似サラウンドですが、それでもヘッドフォンでそれなりのサラウンド感は楽しめます。

でも、しかしやっぱりヘッドフォンでは、、、。という思いがどうしても残ってしまうのは確かでしょう。そこで第3の選択肢として出てくるのが首掛け式のネックスピーカーとなるでしょうか。いくつかのメーカーが既にDolby Atomos対応のものを出しているようです。金額的には3万円付近のようですが、買ってよかったか、そうでないかはいろいろな意見、コメントがあるようです。

もう少し安価なものとしては、やっぱりDolby Atomos対応ではなく、このような疑似サラウンドのものとなるようです。できれば、この両者を聴き比べてみたいのですが(個人的には実はそんなに変わらない気がする)、どなたかもう、試してみた方はいらっしゃいますでしょうか。あるいはヘッドフォンではなくイヤフォンのほうが、これは私の勝手な印象ですが、耳で鼓膜で聞くだけではなく、耳全体、骨をも使って聞くような印象があるのでDolby Atomosのような立体音響には向いているのかもしれません。いずれにせよ、このあたり、聞き比べてみたことのある方の率直なご意見をお伺いしたいところです。

しかし、そんなことを検討している間に、Apple vision Proのようなゴーグル型機器が普及し、音と映像はそれを使って立体映像、立体音響で楽しむ、という時代が案外早く来てしまうかもしれません。プレイヤーとしてまさにゲームの世界に入って行くタイプのいわゆるゲーマーと呼ばれる人たちにとっては、Dolby Atomosに代表される立体音響がなければならない存在と既になっているのでしょうが、スクリーンに映し出されるものを見るという映画鑑賞派の人にとっては、まだそこまでではないかな、それよりも普通のステレオでもいいのでとにかくスピーカーでそれなりの音量が出せればいいのかな、というのが現状での私の素直な印象です。空間オーディオというものはやはり空間があってこそ成り立つもので、逆に言えば、空間があれば(そしてその空間を自分のためだけに自由に使えるような環境、つまりは周囲の迷惑を気にしなくていい環境があれば)それに越したものはないかな、と思いました(ちなみにVRの場合、確かにいろいろな方向から音が聞こえてきますが、それはその場所に音の出るユニット(仕掛け)を置いているからです。つまりVRの場合は、もう、事実上の「空間」であり、音を出したいところに出したいボリュームでスピーカーを設置できるのです)。だからこそ人はライブハウスに行くのですし、野外フェスに行くのですから。



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