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男性の女性化を応援する「女装サロン」の危険な現状

「女装サロン」を知っていますか?

 近年、男性の女装・女性化を応援するサービスとして「女装サロン」というものが増えています。インターネット検索で調べたところ、首都圏だけでも実に25近くの店舗・サービスがありました。(2023年6月時点)

首都圏の「女装サロン」等の一覧を表にまとめたものの一部

 こうしたサロンは、男性が女物といわれる服装を着用し、女性を模倣したメイクやヘアセットを施すといったサービスを提供しています。
 さらに多くのサロンでは、「女性らしい」とされる振る舞いや仕草、ボイスレッスンなども提供しており、男性が「女性らしさ」を模倣することを積極的に促しています。

 以下、いくつかの女装サロンが掲げる主旨やコンセプトを掲載します。

 普段、男性でいらっしゃっている中でホンのわずかな時間だけでも違う自分に「変身」してみてはいかがでしょうか?もう一人の貴女に出逢えますよ^^そしてきっと思いがけない新しい世界が広がります^^

 出し惜しみせずサービスをご提供いたします^^「男性」から「女性」に変身する高揚感を感じますよ。そして「女性力」が高ければ高いほど高揚感が増すんですよ^^

 男性として生きるというのは「地位」や「プライド」等々・・・様々な重圧の中で生きています。世の中で定着してしまっている「男性」としての生き方・・・。 「女性」になることによって「男性」としての自分から開放されるんです。それによって「男性」に戻った時に「男性」でいることの喜びを感じるんです。きっ と「男性」でいる重圧が心地良く感じると思いますよ。

 ほんのわずかな時間だけでも違う自分になり人生を満喫してみませんか?「女装」をしてあれがしたいこれがしたい・・・。皆様の「やりたい!!」を実現することが私達の使命だと思っています。

女装サロン「ラビリンス」(西東京市)

 パス装とは、目的とするもののカテゴリーに馴染み、カモフラージュする施術の総称です。
 女装される方なら男性とバレにくい、あるいはバレない事を目的に行い、TPOや時代関係なく好きなものを着て好きなメイクをするのを少し我慢していただく場合もあったりする、女性に見える為に客観視を主体とした施術を表し、男装される方なら女性とバレにくい、あるいはバレない事を目的に行い、TPOや時代関係なく好きなものを着て好きなメイクをするのを少し我慢していただく場合もあったりする、男性に見える為に客観視を主体とした施術を表します。

パス装専門カウンセリングサロン「ハイクオリティ」(新宿)

男性から女性へ、どうしたら楽しく越境できる?
変身を充実したものにするためにどうする?
女装っ娘さんの最大の関心ですよね

純女の私でも「女」である事の追及はつきません
新しいランジェリーひとつ身につけるだけでも不思議に気持ちが違いますよね?
このお洋服にはどんなメークが似合うの?
しぐさはどんなふうに?
女性として外出して楽しくお買い物をしてみたい
いろんな所に出かけてみたい・・

どんどん女性として欲張りになりましょ
そうする事であなた自身がもっと素的な「女の子」になれるから
おしゃべりしたり、写真とったり、お食事に行ったり
楽しみに来て頂けるサロンにして行きたいです。

自分を好きになれるようなあなたの女装をもっともっと輝かせましょう。
そしてまだ女装経験のない方にも内に秘めた思いがあるのなら
是非、チャレンジして欲しいです。

HIMEに来てめいいっぱい「女の子」しましょ
誰にでも綺麗に可愛くなれる素質はあります。

「女の子」になる女性らしさの追及
お手伝いをさせて頂けたら嬉しいです。

女装サロン「HIME」(横浜)

 このような主旨・コンセプトによって為される「女装サロン」のサービスは、一見すると男性の女装を支援しているだけのように見えます。

 しかし、前回の記事にも書いた通り、男性が女性を模倣するという行為の背景にはミソジニー(女性蔑視)があり、男性の女装という行為を無批判に応援・推奨することは、女性差別に繋がる可能性が非常に高いと言えます。(詳しくは前回の記事をお読みください)

 男性に対して、さらには社会に対して「よかれ」と思って提供されている「女装サロン」のサービスは、具体的にどのような問題に繋がっていく可能性があるでしょうか。

「女装サロン」のサービス内容

 まずは「女装サロン」のサービスについて解説していきます。

◆基本サービス

 多くのサロンで共通して提供されているサービスは以下の通りです。

 ・メイク
 ・ヘアセット
 ・衣装レンタル
 ・着替えスペースの提供
 ・写真撮影

 サービスの提供時間は、30分という短いものから数時間にわたるものまで。
 値段も1万円以下の気軽なものから、後述のサービスまで含めた20,000円~50,000円のコースまで幅広く。

 どこも、知り合いに知られたくない・見られたくないという気持ちに配慮した形でサービスが提供されており、サロンによっては「完全予約制」や「主張型」、問い合わせるまで店舗の場所がわからないような形になっていたりします。

◆女性化レッスン

 スタッフによる一方的なサービスだけでなく、男性が自分で女装・女性化できるようにサポートする「レッスン」というサービスを提供しているサロンも多くあります。
 女性化「レッスン」といえば、レッスンスクール「乙女塾」が有名ですが、それと同様のサービスといえます。

 具体的には以下のようなレッスンが行われています。

 ・メイク、ヘアセット
 ・ボイストレーニング
 ・「女性らしい」仕草・歩き方

 サロンによっては「女子力UP応援」という言葉や、問題点として後述する「パス」という言葉などが使われていたりします。

◆カウンセリング

 カウンセリングの内容には非常に幅があります。

 女装を始めるにあたって、どのようなイメージを希望するのかというものから、「夜空カウンセリング」(女装サロン「cotton」自由が丘・大阪梅田)や「ジェンダーフィッティング」(女装サロン「アルテミス」横浜)という名称で、その人の「ジェンダー」や「アイデンティティ」に対して積極的に介入するようなものもあります。

◆同行・交流

 多くのサロンで、メイク・女装後に買い物・カフェなどに外出することができ、それにスタッフ(多くの場合は女性。女装男性が女性として馴染むためか)が同行するサービスを提供しています。(トイレのことが気になる方がおられると思いますが後述します)

 前述の「女子力UP応援」を唱うサロンは、「恋話トーク」と称して、「女性と恋話ができる」というサービスを提供しており、そのサービスを担う女性アルバイトを募集しています。(女装サロン「Hobby roomセレブレディ」六本木)

 また、複数のサロンで、女装男性と女装男性が好きな女性が集う交流イベントなども企画されています。

◆スタッフについて

 外出に同行するスタッフが女性が多いことは前述しましたが、サロン自体の経営者・代表者、メイクなどを行うスタッフも女性であるところが多いです。

 また、前述の通り、同行やイベントのために女性アルバイトを募集しているサロンもあります。

具体的な懸念・問題点

 「女装サロン」の理念・コンセプトや、実際に提供されているサービスから、どのような懸念・問題点が考えられるでしょうか。

◆「女性らしさ」の模倣

 「女装サロン」では、男性が女装することによって「女の子になる」「女性らしさを身に纏う」「女性を模倣する」こと、「女性化」を積極的に推奨・応援しています。サロンによってはそのような「模倣」「女性化」は、メイクや衣装だけではなく、女声を出せるようになるボイストレーニングや、「女性らしい」仕草を身につけるためのレッスンにまでおよびます。

 そこで身につけることが目指されているのは、いわゆる社会一般でいわれる「女性らしさ」「ジェンダー規範」といわれるものでしょう。多くの女性が、社会によって押しつけられる「女性らしさ」や「ジェンダー規範」による女性差別に苦しんでいます。それは、女性差別を解消していく、そのために「ジェンダー規範」を解体していく、そのことと完全に逆行します。自ら女装をし、積極的に「女性らしさ」を身につけよう「模倣」しようとする男性のなかには、女性にその「女性らしさ」を押しつけようとする考え方があるでしょう。無意識かもしれませんが、それがまさに、前回の記事にも書いた女装男性の内にあるミソジニー(女性蔑視)です。男性がそのことを意識せずに、それを「趣味」として行うということは、女性に対する侮辱的行為ではないでしょうか。

◆女装男性からトランス女性へ

 また「女装サロン」によっては、男性の女装を、女性の「模倣」にとどまらせることなく、実際に「女性になる」ということへと積極的に向かわせていってしまう可能性があります。

 前述したような、アイデンティティやジェンダーにまで介入するような「カウンセリング」によって、男性の「女性になりたい」という願望を引き出したり、無批判に肯定したり、その実現の手助けをしたりということがあるでしょう。
 実際に女装を続ける中で、本当に「女性になりたい」と思うようになっていく女装男性が存在するということも、以前記事に書きました。

 「女装サロン」(レッスンスクール「乙女塾」も含む)の主旨・コンセプトや、そこで提供されるサービスによって、女装男性がいわゆる「トランス女性」になっていくということが起こっていると考えられます。

◆「パス」「女性スペース」の問題

 そしてさらに問題なのは、男性の女装というサービスを提供する「女装サロン」において、「パス」という言葉が使われているということです。

 はじめに主旨・コンセプトを紹介したサロンでは、「パス装」という言葉で、まさにそのことがはっきりと述べられていました。

 パス装とは、目的とするもののカテゴリーに馴染み、カモフラージュする施術の総称です。

パス装専門カウンセリングサロン「ハイクオリティ」(新宿)

 つまり「パス」とは、「目的とする『女性』というカテゴリーに馴染み、カモフラージュする」ということなわけです。

 このサロンに限らず、多くのサロンで、外出に女性スタッフが同行するサービスが提供されています。サロンによっては、同行だけではなく、そこで「女性らしい」仕草や歩き方の手ほどきがあり、「女子力UP応援」が為され、女装男性が社会で女性として自分を「カモフラージュ」する術が提供されるわけです。

 そこで問題となってくるのが、「女性スペース」の問題です。
女性として自分を「カモフラージュ」した男性は、トイレなどの「女性スペース」を使用するようになるでしょう。なぜなら、その男性の見た目や仕草は、もはや女性として「カモフラージュ」されているのですから、男性スペースを使用する方が違和感が生じるわけです。

 以前記事にも書きましたが、女性用トイレなどの「女性スペース」は、女性の安心・安全、そして社会における女性の権利のために作られたものです。そこに男性が入ることはあってはならないことであり、たとえ女装した男性であってもそれは許されないことです。

 それにも関わらず、この「女性スペース」・女性用トイレのことについて、注意事項・禁止事項としてきちんとホームページ上に記載しているサロンは、私が調べた中ではわずかに3件しかありませんでした。(首都圏約25件中)

 女装サロン「ラビリンス」(西東京市)では、以下のように「男女兼用トイレ」を利用する旨が書かれていました。

Q.外出の際のトイレはどうなっていますか?
A.なるべくサロンで済ませていただきますし、田無駅周辺でしたら男女兼用のお手洗いの場所は把握いたしております。

女装サロン「ラビリンス」(西東京市)

 女装サロン「マイプリ」(東京・詳細は非公開)では、「基本的に多機能目的トイレを利用」と書かれていました。「基本的に」とはどういうことでしょうか。多機能トイレが無い場合には、例外的に女性用トイレを使用することもあるということでしょうか。

 女装サロン「アルテミス」(横浜)(前述の「ジェンダーフィッティング」カウンセリングを行っているサロン)では、はっきりと禁止事項に書かれており、しかも数回来店までは「外出禁止」ともされていました。
 しかし、注意深く見てみると、コンセプトページの「女装外出について」の部分に「安易にお考えの方は無茶な行動に出る」「アルテミスは多くの方たちに女装外出を楽しむことの出来る女性レベルに到達していただくよう、努力を惜しみません」というような記述がありました。これはともすれば、複数回来店するなかで、「安易」ではなく完全な「パス」を目指していくならば、将来的には「女性スペース」を使用することも可能、とも読むこともできるのではないでしょうか。

 記述があったのは上記の3店舗のみでした。「女装サロン」の多くは、男性が女装をすることで女性として自分「カモフラージュ」し、「パス」することを積極的に推奨・応援しておきながら、そのことが男性の「女性スペース」利用というあってはならないことに繋がっていくという可能性・危険性について無自覚であるといえるでしょう。
 またサロンの中には、むしろ完全な「カモフラージュ」「パス」によれば、男性の「女性スペース」利用も可能であるという考え方もあるように見受けられます。
 このような「女性サロン」の現状は、「女性スペース」を安心・安全に利用したいと願う女性からすれば、たまったことではないのではないでしょうか。

【閲覧注意】さらに【危険・問題】と思える内容

 以上、「女性サロン」の主旨・コンセプトやそこで提供されるサービスにおける懸念・問題点について述べました。
 以下もまた懸念・問題点ですが、前述したものよりもさらに【危険・問題】と思われることがらについて取り上げます。

◆タック

 「タック」という行為をご存じでしょうか。それは、男性が男性器を股の間に隠し、目立たないようにする行為です。(想像したくもない方もおられるでしょうが……)
 その目的は、基本的には男性が女装する際、股間が膨らんで見えることを避けることですが、インターネット上では、この「タック」によって自分を女性として「カモフラージュ」し、「女性スペース」へ、それも女性用浴場へ侵入している男性の存在が報告されています。【閲覧注意

 「タック」はどうやら男性の女装界隈では割と一般的なことのようで、あるサロンのQ&Aページには当然のように「タックの使用はできますか?」という質問が、用語の説明もなしに載っていました。

 そして、前述の女装サロン「HIME」(横浜)のホームページには、実際の「タック」の方法が、写真(モザイクあり)とともに丁寧に掲載されています。【閲覧注意


「タック」の方法ページ

 前述の「パス」「女性スペース」の部分でも述べましたが、ここでもそのような「カモフラージュ」が、どのような問題に繋がっていく可能性があるのかということについて、まったく無自覚のまま情報・サービスを提供しているサロンに、大きな問題があると思います。

◆性的嗜好

 「女装サロン」が提供するサービスに、「衣装レンタル」がありました。
 そこでレンタルされる衣装の中には、いわゆる「学生服」の衣装があります。一般的に「コスプレ」衣装としても存在する「学生服」ですが、それが「女性らしさの模倣」「女性化」に用いられるということに、違和感を覚えるのは私だけでしょうか。
 また「撮影」サービスの中で、「グラビア撮影」のサービスを提供するサロンもあります。「グラビア」は、一般的に「女性としてのセクシーさ」が求められるものです。「女性らしさの模倣」「女性化」として、「セクシーさ」が追求されるということにもどこか違和感を覚えます。
 それらの背後には、前回の記事の中でも書いた、男性の「フェティシズム」があるのではないかと感じます。

 さらに過激なサービスとして、女装サロン「ラビリンス」(西東京市)においては、「束縛撮影」というサービスが提供されています。女装をした男性を、縄で束縛し、その束縛された姿を撮影するというものです。
 以前、都内で開催された「異性装の日本史」展について記事でご紹介しましたが、そこにも同じような作品【閲覧注意】が「異性装」として展示されていました。まさにそれと同様の写真を撮影するというサービスです。これもまた、男性の「フェティシズム」の現れでしょう。

 そして驚くべきことに、このサロンはサロンへの「子どもの同伴が可能」とされています。このような異様な男性のフェティシズムを、子どもが目にする可能性があるというのは、まったくあり得ないことではないでしょうか。しかし、このサロンのホームページには、そのことへの配慮も注意書きも皆無です。

おわりに

 いかがでしたでしょうか。今回は、男性の女装・女性化を推奨・応援するサービスを提供する「女装サロン」の実情について紹介し、そこにある懸念・問題点について述べてきました。

 多くの「女装サロン」において提供されているサービスは、一見、男性の「趣味」としての女装を、ただ応援しているだけのように見えます。しかし、男性の女装というミソジニー(女性蔑視)が背後にあるその行為を、無批判に肯定し推奨・応援することには、具体的な問題へと繋がっていくいくつもの可能性・懸念が示唆されることがお分かりいただけたと思います。

 前回の記事にも書きましたが、私は男性の女装というミソジニー(女性蔑視)を背景とする行為自体に反対するものです。(男性が単にスカートのような形状の服を着ることと、「女を装う」「女性を模倣する」「女装」は、本質的に異なる行為です。詳しくは記事をお読みください)

 しかし、私のこの主張を受け入れないにせよ、「女装サロン」の経営者は、自分たちが男性に対して提供しているサービスが、どのような問題を引き起こす可能性があるのかをきちんと理解し、それを防ぐための対策や注意喚起を徹底する必要・責任があるでしょう。
 少なくとも、女装をした男性が「女性スペース」を利用することを断じて禁止するなど、明確な注意事項やガイドライン等を設けるのは、「女装サロン」の最低限の責任であると考えます。

 現在、社会においては、実際に「女性スペース」に侵入する男性の事件が多発しています。多くの「女装サロン」が、その主旨・コンセプトや提供する具体的なサービスによって、男性によるそのような事件・犯罪行為を無自覚に推奨・誘発してしまっている可能性があるということに思いを巡らせるべきです。

 そしてさらには、男性の女装・男性による「女性らしさの模倣」「女性化」ということが、ただ男性の「趣味」に留まる行為なのか、社会に生きる多くの女性に対して、「無害」なものなのかということについても、きちんと考えていただきたいと思います。

 多くの方がこの記事をお読みくださり、「女装サロン」というものの現状と、そこに存在する懸念・問題点・危険性に気づいてくださることを願っています。
 私自身は今後、各サロンに対して、具体的な問い合わせや申し入れを行っていきたいと考えています。ご賛同いただける方は、応援・サポートもいただけると嬉しいです。よろしくお願い致します。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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