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【目指せソムリエ#20】地中海の恩恵を受けるラングドック・ルーション

はじめに

プレ・ソムリエの皆さん、こんにちは!新年度の疲れが出やすい季節ですが、体調を崩されたりはしていませんか?勉強に疲れたら、外に出てリフレッシュして下さいね!私も家にこもって仕事をしている事が多いのですが、やっぱり外に出て日光を浴びると、身体が元気になるのを感じます。日に日に湿度も高まり梅雨の気配も忍び寄ってきたので、今のうちにたくさん太陽チャージしておきたいですね。

今回は温暖で太陽に恵まれた地中海性気候のラングドック・ルーション地方についてです。

ボルドーに住んでいた頃、フランスで仲良くなったソムリエールの友達とラングドック地方まで車で旅行したのはとってもいい思い出。地中海の青さが懐かしいです!


ラングドックの中心都市のモンペリエは歴史的な建造物が立ち並ぶ旧市街が魅力で、入り組んだ小道を探索しているとわくわくしてきます♪


ラングドック・ルーション地方の概要

ラングドック・ルーション地方は、フランス南部の地中海沿岸に位置する産地です。この地方は、プロヴァンス地方の西側を流れるローヌ川を境に、西隣に広がっています。

ラングドック・ルーションという名前は、ラングドックとルーションの合併に由来しています。この地域では、フランス語の南部方言であるオック語がラングドック地域で話されていますが、ルーション地方では日常的にカタルーニャ語を話す人々が今も多く存在しています。

典型的な地中海性気候の影響で、ラングドック・ルーション地方のブドウ畑は「トラモンタン」と呼ばれる乾いた冷たい風から保護され、過度の暑さや乾燥から病害のリスクが少ない特徴があります。

この地方の気候の恵まれた条件から、フランスでは有機栽培を実践している畑の面積の1/3、世界の有機ブドウ畑の7%に相当する面積が存在しています。

かつては低価格で大量生産されるワインの供給地として知られていましたが、1980年代に品質の追求に重点を置くようになり、同時期にフィトゥーサン・シニアンミネルヴォワコルビエールなどの地域がA.O.C.(原産地呼称統制)を取得しました。

ラングドック地方にはガールの水道橋(ポン・デュ・ガール)やニームの円形闘技場など、古代ローマの遺跡が数多く存在しています。

ポン・デュ・ガール


また、ガロ・ローマン期に建てられたカルカッソンヌの城塞都市は1997年「歴史的城塞都市カルカッソンヌ」として、ユネスコの世界遣産に登録されました。

カルカッソンヌ

ラングドック・ルーション地方のブドウ品種

ラングドック・ルーションの代表的な品種といえば、ピクプールカリニャンサンソーなどがありますが、この地域は他にもヴァラエティに富んだ様々なブドウ品種が栽培されています。ローヌ地方のすぐ南西であり、プロヴァンス地方のすぐ西であり、スペインにも隣接する地域であるため、南ローヌの品種、プロヴァンスの品種、スペインの品種などもみられます。

ラングドック・ルーション地方の郷土料理・チーズ

ラングドック・ルーション地方の郷土料理はプロヴァンス地方と同様に地中海気候の影響を受け、魚介やオリーブオイル、トマト、ハーブを使用したものが多くあります。たら鱈とジャガイモをピュレ状にしたブランダード・ド・モリュ、カルカッソンヌやカステルノダリー名物の白インゲン豆を煮込んだカスーレは人気の定番メニューです!また、牧畜が盛んなカマルグ地方と隣接している事から、カマルグ名物の雄牛の煮込んだガルディアンヌ・ド・トローもこの近辺の伝統的な料理として愛されています。

ラングドック地方のA.O.C.ワイン

ラングドック地方の産地は地中海沿岸に広がる地域です。

広域A.O.Cラングドックは栽培面積1万haで年間生産量40万hℓに及ぶ大きな産地です。ラングドック+コミューン(地理的名称)を持つA.O.Cは11個あり、基本的には赤ワインのみですがロゼが造られる地域もあります。

ラングドック地方のA.O.Cワインの中心産地は東側のエロー県と西(ルーション)側のオード県です。

下記の2つはエロー県とオード県にまたがるA.O.Cです。

オード県にはスパークリングワインの有名なリムーがあります。A.O.Cリムーはスティルワインのみでメルロー主体の赤ワイン、モーザック、シャルドネ、シュナンを使用した白ワインが認められています。

スパークリングのA.O.Cは3つあり、それぞれ主要品種や製法が異なります。(リムー・ブランケット・ド・リムーはモーザック90%以上で瓶内2次発酵、リムー・メトード・アンセストラルはモーザック100%でアンセストラル方式、クレマン・ド・リムーはシャルドネ主体で瓶内2次発酵)です。

瓶内2次発酵とアンセストラル方式の違いってなんだったっけ・・・?という方は【目指せソムリエ#9】の最後にある、スパークリングワインの製法にもう一度目確認しておきましょう!

ルーション地方のA.O.C.ワイン

ルーションはピレネー山脈に接していて、かつてカタルーニャの一部でもあったため、現在もその文化が色濃く残っています。

また、ルーション地方はフランス最大の天然甘口ワインであるV.D.N.(ヴァン・ドゥー・ナチュレル)の産地でもあります!リキュールワインのV.D.L(ヴァン・ド・リキュール)は造られていません。

ルーション地方のA.O.C.は全てピレネー・オリエンタル県に位置しています。

甘口の酒精強化ワイン、V.D.N.とV.D.L.

ラングドック・ルーション地区はフランスの甘口酒精強化ワイン、V.D.N. とV.D.L.の中心産地です。ついでに他の地域のV.D.N. とV.D.L.もここで確認しておきましょう!V.D.N. とV.D.Lはタイミング

V.D.N.とは

Vins Doux Naturels (ヴァン・ドゥー・ナチュレル)は天然の甘口ワインの事です。果汁のアルコール発酵中にアルコールを添加してワイン酵母の活動及びアルコール発酵を停止(Mutage ミュタージュ)させて造ります。果糖が全てアルコールに変わる前に発酵が止まるので、天然の甘みがワインに残った甘口ワインとなります。

ラングドック・ルーション地方には下記のようなV.D.N.のA.O.Cがあります。

ラングドック・ルーション以外ではローヌやコルスでV.D.N.が造られています。

▲ルーション地方でグルナッシュなどを使用して造られるバニュルス。甘口赤ワインはチョコレートにもよく合います♡

V.D.L.とは

Vin de Liqueur (ヴァン・ド・リキュール)はリキュール・ワインと呼ばれる特殊なワインで、果汁のアルコール未発酵(一部発酵中の場合もあり)のブドウ果汁にブランデーなどのアルコールを添加し、樽またはタンクにて熟成を行った甘口ワインです。VDNとの違いは、アルコール発酵を添加するタイミングが微妙に違う、という事です!添加するアルコールは地方により異なります。

▲ コニャック地方の、ピノー・デ・シャラント。ブドウ果汁にアルコール度数60度以上コニャックを加えて造られます。ピノー・デ・シャラントは白ワインだけでなく、赤ワインやロゼワインの生産も認められています。

おわりに

ようやく、フランスも残すところはシュッド・ウェスト地方のみとなりました!フランスが最もボリュームのあるところなので、ここを乗り越えると少し気持ちが楽になりますね。とはいえ、ソムリエ試験の範囲はまだまだ広く、覚える事が盛り沢山です。あと試験まで3ヶ月程なので、後悔のないように頑張っていきましょう!

プルールではラングドック・ルーション地方をはじめ、世界各国のワインを取り扱っています。

オンラインショップにはほんの一部のみの掲載なので、ワインをご希望の方はお気軽にこちらまでご相談ください☆
また、よく見直しをしているつもりなのですが、noteの間違いに気がついた方はこっそり教えて頂けるととても助かりますm(_ _)m

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