背に焦がす エピローグ 5 (了)
島崎は再び路面電車に揺られていた。
ポツリポツリと光る家々の灯りが、窓の外で糸を引く。車内の客は自分ひとりだ。
「俺は、何しにここへ来たんだろう」
帰り道になっても未だ判然としない、己れの取った行動の意味を考える。
俺は……俺はミハルの「痕跡」を追って来たつもりでいた。
だが、自分をここへ連れてきたのは千夏なのではないか。
あのセブンイレブンのおっさん、キタジマが、ミハルの住む下北沢に呼び寄せられたように。
千夏ちゃん。千夏ちゃんよ。
あんたは、そうやって俺たちを動かして