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『HAIM・Women in Music Pt. III』アルバムレビュー【音楽】

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HAIM

Women in Music Pt. III

本日はカリフォルニア出身の3姉妹バンド

ハイムで Women in Music Pt. IIIをレビューさせて頂ければとと思うのですが、

今作は彼女たちの3枚目のフルレングスアルバムになっており、

2010年に発表された彼女たちのリリースアルバムは単にキャッチーなポップロックサウンドだけではなく3姉妹奏でるケミストリーは相性抜群でリリース1週目にして全英チャート1位を記録し一躍世界で注目の姉妹バンドとなりました。

本作はボーナストラックを抜いて13曲の構成となっており、

彼女たちがデビューしてから、ミュージシャンのクラフトというよりも

女の子たちがギターで歌っていると呼ばれ続け、

それに対しての葛藤や闘いがテーマとなっております。

今作を一言で表すと

威厳と自身

です。

単にミュージシャンとして最高の作品を届けるだけではなく、

今作は、女性として音楽業界で彼女たちが感じてきた

冷たい風を吹き飛ばすかのような自信とそれを裏付ける力強いサウンド歌詞が

曲の裏側から伝わってきます。

そして、

女性は男性よりも最高のロックを出来るんだということを証明したアルバムです。

Los Angels

風を切るような爽やかなサウンドは

カラッとしたロサンジェルスの並木道を歩いているかのような気分にさせてくれるのですけど、皮肉にもこの曲は彼女たちの地元ロスを離れて、これから何をしていこうか考える内容の曲になっています。

ベースにあるドラムのテンポやギターメロディは西海岸を想起させらるのですが、

そこに乗っかるサックスやピアノはニューオーリンズやニューヨークの色が色濃く出ています。

そこにある種のLAプライドを感じました。どこへ行こうと彼女たちのホームはLAにあり、

そのプライドは街が変わっても変わることのない揺るぎない信念を音から感じることが出来ると思います。

The Steps

は非常にこのアルバムの中でも

かなりキャッチーでエモーショナルな曲になっております。

この曲は、付き合ってる彼氏が自分の一挙手一投足に切れる歌で

Every time I think that I've been takin' the steps
You end up mad at me for makin' a mess I can't understand

という歌詞の中で

彼氏を音楽業界に重ね合わせて歌っているようにも聞こえました。

この曲はこのアルバムの顔だと思っていて、

そんな音楽業界に対し

クソが私たちやってやるわ

とポジティブで戦う姿勢が示されている

ハイム史上もっともエネジェティックな曲です。

I know Alone

様々な形をしたボーカルエフェクトと独特のギタートーンは、

森の中で一人自然を感じているような感覚になります。

一人になりたいけど、一人になりたくない不思議な時ってありますよね。

この曲はそんな気分にぴったりな曲で

サウンド的に非常にthe1975のNOACFの全体的な雰囲気に似ていて、

神秘的でありながら非常に近代の機械的でもあり、

その中にハイムの感情が魂となって渦巻いています。

Gasoline

これまで様々なドラッグを扱った曲はありましたけど、

ガソリンをドラッグとして扱う曲はこの曲以外に聞いたことがありません。

ジョンメイヤーを想起させるブルージーなギターに、

ダニエルの悲しい感情が支配した頃には曲の中でもう雨が降り始めているでしょう。

Gasoline, pretty please
I want to get off But you're such a tease
Throw the keys back to me
Go on and kick off your boots In the passenger seat

というラインは

とても美しく彼女の心情を車に例え巧みに表現されています。

6曲目のマイケルジャクソンを連想させる3amを通して

7曲目

Don’t Wanna

に入っていくんですけど、

この曲はhaimの中でベストソングだと思います。

メロディックなサビにクラシックな構成

シンプルで整った構成どれをとっても最高です。

夏の暑い日にお洒落な格好でお洒落な街を歩きたくなる

何も考えずにただただノレル曲です。

Leaning On You

ボブディランを想起させるようなフォークなサウンドとテンポ

とにかく明るくリバーブのかかったアコースティックソロは、

このアルバムの中で個人的に一番好きですし、

めちゃくちゃ耳に残ります。

Was I fearless at seventeen years old
Or was I faking it, I was just a kid leaving home
Now I get scared for reasons I don't know
Is it just because I ain't tough enough Being alone

という歌詞でこれまで見せてきた強気のHaimが

弱さを見せ始めます。

古き良き南部アメリカの農場を連想させられる曲です。

この曲からアルバムはアコースティックな方向にスイッチして、

10曲目のI've Been Down

11曲めのMan From The Magazine

も同じフォークチューンで歌われるのですが、

この曲でこのアルバムとなるテーマ

セクシズムの考え方を持った男に

どれだけ疲弊させていくか強く歌われます。

このアコースティック3連続は

非常にアルバムのテーマに結びついています

All That Ever Mattered

このアルバムで一番大胆なサウンド・歌詞で大胆すぎてびっくりしました。

最後のギターソロはどこかジャックホワイトや尖っていた時期のジョンメイヤーを想起させられました。

曲の終わり方もぶつ切りでハイムの中でもっとも実験的な曲と言えるのではないのでしょうか。

全体的にみると、

3曲毎に曲のトーンや方向性がガラッと変わるのですが、

women in musicという大きなテーマが下地にあることで一貫したイメージを持って聞くことの出来るコンセプトアルバムでした。

サウンド・歌詞含めこれまでのハイムの中で最も大胆で上手に構成されていて

概ね全ての曲がリードシングルになり得るほど良曲に溢れた

今年を代表するレコードだと思います。

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