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「かもかもまい」のこと

ことのはじまり

PLAYFARMは、実は、いつか子どもたちに子ども(私から見ると孫)ができるまでに、昔、少年期を過ごした時のように、1日中駆け回って、ずぶ濡れ、泥だらけでも怒られない、自由な農村の遊び環境を取り戻しておきたいと思ったことから始まったプロジェクトでした。

・PLAYFARMの姿を考える中で、昔よく食べてた野苺のことを思い出しました。

今、あぜ道の野苺を子ども達が食べるのを躊躇なく見守れるか?

これを無理だと感じた時にふと考えました。

食べ物を育てている農村で、なぜ農薬や除草剤をつかうようになったんだっけ?

農業は食べ物を育てる仕事です。でも、できるだけ安く提供しなければ生き残れないという圧力もありました。
安く提供しても生きていくためには、効率よく育てて収穫して出荷しなければならない。つまりコストを落とさなければなりません。
雑草が生えすぎると生育は悪く、収穫も手間がかかります。除草剤はこの対策がとても簡単にできるように開発されました。革命的に除草コストが下がり、価格面でとても大きく貢献しています。
害虫や病気の被害はもっと深刻です。田んぼや畑、一面、あっという間に全滅することなど普通に起こります。これは人間の手で対処するのは不可能ですが、農薬がそれを可能にしました。こちらも食料の安定供給と価格面での貢献度は極めて高いものです。

これが、みなさんの食べているものが、びっくりするくらいに安く手に入る理由です。(もちろん他にもありますが…)

でも、僕の子どもや孫の暮らしと遊びの環境には、そういう発想はなくていいものだとも思いました。
別に手間が増えてもいい。お金がかかってもいい。
なぜなら、他の誰でもない、私の子どもと孫のためだからです。

結果、PLAYFARMは、地域内の資源だけで維持できる循環する農村の理想の姿を模索するプロジェクトとなり、その主軸となるお米づくりは、子どもたちの体をつくる、食事の中で最も大切なものとして、コストを考慮せず、本当にありたい姿を追求することとしました。

・一つの迷いもない安心なお米
・体を元気にする栄養に富んだお米
・PLAYFARMの理想の姿を表現するお米
これら実現するための米づくりの指針として以下の3つを定めました。

①農薬、除草剤、化学肥料を使わず、自分の持てる力を発揮して成長しきったお米を育てること 

②必要な資材や、稲わらなどの副産物は地域内で全て循環させ、自然で無駄のない農業の形の一部となること

③食べ物への感謝、毎日いきているものをいただいていることを実感できる育て方であること

実現するための大きな課題

田んぼ1枚の面積が広い水田地帯では、雑草が生えてしまうと、機械での刈取りに支障をきたし、また、広大なゆえに手刈りなどは困難で、雑草をどう抑えるかが大きな課題となります。

また、大陸から飛来するウンカという虫は、稲の茎に取り憑き広範囲に稲を枯らしてしまいます。特に雑草がはびこる田んぼは通気が悪く高温多湿になり、ウンカが好む環境となってしまいます。

これらの課題にどう対処するか?悩んだ結果、一つの結論に至りました。

「かもかもまい」

それらの課題に除草剤も農薬も使わずに乗り越えるため選択したのが、田んぼへの合鴨の放牧でした

合鴨は、米づくりから見ると、イネ科以外の草を食べ、ウンカなどの虫も捕食します。そして、水を絶えず攪拌し水中雑草の光合成を妨げてくれます。

そして、合鴨自体も広々とした田んぼに放牧することができ、ストレスなく自然に近い状態で成長することができます。

そしてなにより、安心で元気なお米と、合鴨もいただくことで、元気な体を育むのはもちろん、日々生けるものを食べて生きていることを実感し、恵みに感謝し、大切に食べる気持ちも育んでほしいと思いました。


いわゆる合鴨農法の課題と解決策

調べていくと、合鴨農法の問題点として、田んぼの中にフンをすることをあげる記事などを見受けました。

これは、フン=未分解の有機物が、水の中という酸素の少ない場所では、嫌気性の微生物の餌となって、環境が腐敗型に傾くことを危惧するものです。

※以降、腐敗、発酵という表現は、腐敗=人間に悪影響 発酵=人間に好影響
と理解していただければと思います。

発酵型の良い土は、好気性の微生物の分解作用によってできるというのが常識ですので、ある意味では正しい考えかもしれません。

私たちは、よりよい水田環境を実現するため以下のことに取り組むことしました。

・餌へのこだわり
野草や藻などを多くし、穀物を少なく。しかも自家栽培で
餌の量を最低限にし、水田内の動植物でできるだけ賄うように
つまり、外のもの由来のフンを減らせないか?と思ったのです

・鴨の生活環境の工夫
鴨がフンをする場所をコントロールできないか?とも考えました
餌場と休憩場所を兼ねた鴨の家をつくります
竹林管理で発生する竹をチップとパウダーにし、厚く敷き詰め、水面よりも高い場所に広い居住空間を作り、鴨を滞在させます。

・乳酸菌と酵母の活用
竹には乳酸菌が多く含まれています。乳酸菌は嫌気性でも発酵状態をつくってくれる有益な微生物です。鴨の家を竹チップとパウダーで作るのもこれが理由です。
竹チップとパウダーを熟成させ、鴨の家に追加していきます。
同時に、パンで使うイースト菌と納豆から育てた培養液を鴨の家に散布し、有機物の分解を促します。
また、田んぼへの水の取り込み口にも大量の発酵竹チップとパウダーの層をつくり、その中を浸透させて水を入れることで、田んぼへ乳酸菌を拡散させ水中有機物の分解を促します。

・鴨の家などの再利用
鴨の家や水口の層は竹チップとパウダーでできていますが、米づくりの後は、しばらく熟成させた後、畑に散布して浅く耕すことで、有用な微生物の餌となり、土づくりの良い資材として循環していきます。

・竹林も整備され、おいしい筍も楽しめます
今年も、4月の庭づくり部ワークショップでは、おいしい筍のまぜごはんを食べました。

山も元気に、筍もおいしく、お米もおいしく、鴨もおいしく、土も元気に
このような好循環をつくるこめづくりの姿をイメージして、このお米づくりの形を

「かもかもまい」

と名づけました。

最後に、「かもかもまい」が創る未来

このように、とても私的な動機で始めたプロジェクトですが、もしも、このような考え方に共感してくれる方がたくさんいたら、または増えていったら

PLAYFARMを核として、「かもかもまい」の田んぼを増やしていきたいと思います。もしも30kg毎年食べたい人が1人増えたら、50〜70㎡程度田んぼが増えていく計算です。

そして、PLAYFARMと「かもかもまい」の田んぼで構成される、その新しい農村は、至る所に野苺が実をつけ、それを子供達がパクッとたべれるような素敵な村です。

私たちは、志を同じくしてくれる方々と一緒に、豊かな村を作っていきたいと考えています。

PLAYFARMがある地域は、その昔、豊福村(とよふくむら)と呼ばれていました。

豊福という文字は、神前に捧げるお供えの器に作物や酒が乗っている様子を表し、豊かな福(さち)に感謝し、神に祈りを捧げるという意味が込められているそうです。

風土に、恵みに感謝して豊かに暮らす。そんな豊福村をみなさんと一緒に再興するのが私たちPLAYFARMと「かもかもまい」の夢です。

かもかもまいを育てて、食べて、いっしょに村づくりしませんか?


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