無料塾経過レポート(7〜9時間)
10月3日「ウォームアップとか何か?/クラウン」
今後何度も使うK'sスタジオにて初稽古。
直近のワークショップで扱った「ウォームアップとは何か?」という問いから始める。
ウォームアップと聞いて、まず真っ先に思い浮かぶのは自分の身体、心、感性。それらを温める。でもウォームアップにはもう1つの側面がある。
それは空間。僕らはこの空間を温めることが出来る。お互いや空間を認識すること。そしてそこから更にこの場が創造的にしていく。
空間の中で1人だけが動くというワークをやる。最初は皆に躊躇が見られる。各々が正しくやろうとしている感じ。でも果たしてこのゲームは自分だけが正しくやれればうまくいくのか?
答えはNO。例えば2人同時に動いたらどちらかが止まればいいし、誰も動かなかくなったら自分が動けばいい。自分一人が正しくやるのではなく、チーム全体で正しくすればいい。そうすれば各々の責任は減る。やることに対する恐れや不安が減れば、より自由になれる。そうすると先に行ける。どういう動き方をするか、全体のテンポや流れをどう受け取るかという選択が出来るようになる。余裕が出来て、遊びが生まれる。これこそが創造的な空間。
そうやって共通認識を作り直した後にリトライすると、皆大胆になった。失敗が存在しない(正確にはお互いでカバーし合えば問題ないという認識)とわかるとこうも自由になるのか。
ちなみに躊躇というのは、今この瞬間の属性のものではなく、未来のもの。未来のことを考えると、躊躇が生まれる。「今動いたらうまくいくんだろうか?」「もしかしたら邪魔しちゃうんじゃないか?」…。今は行くか行かないかしかない。
そこからクラウンに入る。前回の記事でも書いたことだが、クラウンをやる理由は、舞台上への恐れを取り除くためだ。人から見られること、失敗すること、恥ずかしい思いをすること…、舞台上では普段見せたくない自分を見られる可能性がある。だからこそそれをOKにしていく必要がある。でなければ繕った表現をし続けるだけだ。
先程のワークでも、恐れや不安があるから先に行けないという話をしたが、これは全てに繋がっていると思う。脚本を演じる時でも、ちゃんと演じなきゃという恐れや、読み込みに対する不安があると、その先にいけない。大切なのは、恐れや不安を取り除くこと、それが出来れば、俳優は自ずと創造性を発揮してくれる。
俳優は人前に立つことを恐れている。見られることを恐れている。評価されることを恐れている。それが例えポジティブなことであっても。「可愛いよ」「かっこいいね」と言われても「いやいやそんなことないです」とか「なるほどね」みたいな反応をして、受け取らない。期待されることが怖い。幸せになることが怖い。後で嫌な思いをしたくないから、本当に傷つきたくないから、ネガティブになり、否定し、言い訳をする。
そうやって段々、人を受け取らなくなっていく。影響を受けなくなっていく。でも演技ではそれを求められる。だからそういうフリをする。受け取っているように見えるようにする。でも、それだとお客さんには通用しない。クラウンだとそれが「笑い」という答えとなって表れる。嘘をついたり、誤魔化している人を、お客さんは笑わない。
そうやって化けの皮を剥がされる、えぐいワークだと思うが、だからこそシンプルで面白い。今後もこの無料塾は、そこを軸に進んでいく。
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