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無料塾 経過レポート(1〜6時間経過)

誰にも頼まれてないけど、無料で100時間俳優(29歳以下)に教える企画「無料塾」が9月16日からスタート。
※Twitterハッシュタグでは「#演劇無料塾」

10月3日現在で9時間(3時間×3回)が経過し、だいぶチームが作られてきたので、ここいらから経過報告と日誌の意味も込めて、定期的に記事を書くことにした(と言いながら途端にやめてしまうかもしれないが)

1日目(9月16日)「インプロ」

オンライン上での顔合わせはしたが、実際に会うのは初めてなので、まずは自己紹介と安全な場作りをするためにインプロから入る。
稽古場は成長するために失敗する場所なので、世界一安全じゃないといけない。だからまずは失敗を楽しむゲームをいくつか。自然と笑いがそこらじゅうで起こる。
最初は皆ドギマギしていたけど、休憩時間になると和気藹々と皆自然と話すように。大体こういう時って1人2人は輪から外れる人が出てくるのだけど、全然そんなことが起きず、「良い人達を選んだなあ」という気持ちと「良いチームだなあ」という想いでしみじみ。
僕が思ういい俳優の条件の1つに「Good Natured(人当たりの良さ)」があると思ってるのだけど、このメンバーはまさにそんな感じだ。

後半では、よりチャレンジングなゲームに挑戦。テーマは「考える前に動く」。
準備してから動くのは社会では当たり前のことだが、舞台のような創造的な場ではそれでは遅い。衝動はすぐに去っていってしまう。「今!」というタイミングでまず身体を動かし、後のことはやってみてから何とかする、という思考回路にしていく必要がある。
例えば、3人で1つの絵を作るゲーム。「私は木です(ポーズ)」「私はりんごです(ポーズ)」「私は木こりです(ポーズ)」。これの逆をやる。ポーズ、ポーズ、ポーズ、で何?身体が先で発想が後。
実際にやってみると、身体を動かしさえすれば、それが発想を与えてくれることに気付く。アイデアは捻り出すのではなく、外から勝手にやってくるもの。そこに責任はない。だから自分はなるべく空でいる。そうすると必要なものがやってくる。

最後に記念撮影(1人休み)

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2日目(9月25日)「クラウン」

少し空いて2日目。前回休んだかばちゃんが初合流(代わりにけいけいが休み)
今日もインプロしようと思っていたが、前回があまりにも良かったので、もう必要性を感じずクラウンへ突入。

僕がクラウンをまずやりたいのは、舞台上ないし人前に立つ恐れを取り除きたかったからだ。
ほとんどの俳優は、舞台上や人前を恐れている気がする。第四の壁なるもので観客との間に壁を作り、舞台上でのみで作品を完結させようとする。そういう作り方はもちろんあってもいいが、俳優自身が開かれているのかそうでないのかは見ていると良くわかるし、ほとんどの人が開かれていないと思う。
だから僕はまず皆を舞台上に、人前に立たせたかった。そしてそこはどういう場所なのかを肌で感じて欲しかったのだ。

クラウンをやると、自分自身が観客の前でさらされる。
それが怖くなり、ほとんどの人は笑いで誤魔化したり、お客さんを見ないようにする。
でも、それだとクラウンの目的である「お客さんのウケ」が取れない。「ウケる」とは「受け入れられる」ということだから、まずはお客さんに受け入れられないと、愛されないといけない。
そのためにありのままの自分自身を晒すのだ。嘘をついたり、隠したりすると、見ている人は警戒する。それが顕著に現れるのはクラウンの恐ろしいとことでもあり、面白くシンプルなところ。言い訳が通用しない。

初回であるこの日は、それぞれの課題(恐れを感じた時にどうするのか)が明らかに。
笑って誤魔化す人、頭でいろいろ考えてなんとかしようとする人、やたら拒否する人、見られないように目を背ける人、なんでも大袈裟にやる人…。
GOOD!わかってよかった!あまりにも自然に隠して、わからない人もいるから!そういう人は大変。でもクラウンの面白いところは、自然に隠せたとしても結果が出ない(ウケない)ところ。
今回のメンバーは皆正直&素直&GOODNATUREDだから、そんな心配は要らなかった。何度かやれば自然と変わっていくだろう。

そして同時に魅力も見えた。むしろ僕はクラウンのこっちの側面の方が好きかもしれない。でも大概こういう魅力は本人が気づかずに隠してしまっていることが多い。なぜなら僕らは普段笑われないように生きているから。それはいわば愛されないように生きているような感じ。
クラウンだと、その人から思わず漏れる魅力が見れる。特に不安定な時、恥ずかしかったり、失敗しちゃった時こそ見える。完璧に、完結してしまっているものからは魅力は生まれない。なぜならもうそれ以上関われないから。不安定だからこそ、僕らはお互いにバランスを取り合う、コミュニケーションを取る。お客さんとの間でそれをやる。最もリスクの高いコミュニケーション。でもそれが出来れば、シーンでも、舞台上でも出来るはずなのだ。


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